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128話 まだ学生だよ

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 夕食が終わり、九郎と玉枝、つよしは帰ることになる。つよしは九郎にアパートのカギを返す。つよしは九郎に言う。
 「今夜も玉枝さん、泊まって行くのか。」「明日、お祓いがあるからね。」
 「うらやましいな。」「姉が泊まるだけだよ。」
 「美人だろ。」「それは否定しない。」
 「九郎、社本さんと一緒に暮らすのか。」「まだ、考え中だよ。」
 「僕は九郎がうらやましいよ。」「どうしてだい。」
 「社本さんともお父さんともうまくやっているじゃないか。」「確かにそうだけど、僕の場合、周りにせかされているんだよ。」
 「みんな認めているんだろ。」「そうだけど、まだ学生だよ。」
 「僕なら迷わないけどな。」「つよしは大変そうだものね。」
九郎とつよしの悩みは尽きない。
 九郎はつよしと別れてアパートに帰ると風呂に入る。玉枝が全裸で風呂に入ってきて九郎の体を丁寧に洗う。
 玉枝は九郎に言う。
 「あやめちゃんの家に同居する話どうするの。」「まだ、決めていないけど、同居したら結婚を決めたようなものじゃないかな。」
 「そうともいえるけど・・・」「まだ学生だから、それは早いと思うんだよね。」
 「どんな仕事するか決めているの。」「決めていないけど、就職するつもりだよ。」
 「同居したら、仕事は神職になるかもね。」「神主かあー、似合わないよね。」
 「一久さんなら仕事を強制することはないけど、氏子や町内の人はどうかしら。」「みんな、入り婿だと決めてかかっているよね。」
 「決めるのは九郎ちゃんだからね。」「玉枝さんはどうするの。」
 「どういうこと。」「僕がアパートを出たら一緒にいるの。」
 「私は、生涯九郎ちゃんといるつもりよ。」「まさか結婚しても、添い寝や混浴をするつもり?」
 「そのつもりよ。おじいちゃんになっても安心ね。」「僕はあやめに睨まれないかと心配だよ。」
九郎は風呂を出ると講義のレポートをまとめてから寝る。当然のように玉枝がベットに入って添い寝する。
 彼は今夜も玉枝の色香と戦いながら眠りにつく。
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