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第1章 魔法士

第1話 あれ~

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 俺はセールスのため歩いている。おじいちゃん、おばあちゃんのために羽毛布団を売るのだ。今のうちに寒さに備えなくてはならない。
 当然、今は真夏である。午前中に6セットの布団を売っている。俺は会社の中で営業成績が優秀で社長も期待している。
 昼に休むのも惜しい、夕方までに20セットの布団を売りたいのだ。
 俺はまだやれる。なのに体が重く、頭痛がしている。歩いて次の家に行かなければあと5分歩けば3か月前にサプリメントの定期購入をしてくれたおばあちゃんの家がある。
 力を振り絞れ、あれ手がけいれんしているぞ、おかしいな、あれ・・・あ・・れ・・

 俺が気がつくと広くて何もない殺風景なところにいる。そして目の前には美しい女性がいる。薄着でいまにも大きなお胸がこぼれそうだ。これは羽毛布団を売らなくては
 「お嬢さん、すぐに秋が来て寒くなりますよ。肌触りが最高の羽毛布団を紹介します。」「あなた、訪問販売はもういいのよ。」
女性は汚物を見るような目で俺を見る。そして俺に言う。
 「本当に地獄へ落としてやりたいわ。」「何を言っているんだ。俺が布団を売ることで会社が潤い、おじいちゃん、おばあちゃんが喜ぶんだぞ。」
 「何言っているの。あなたが布団を売ったせいでおじいさん、おばあさんは子供や孫に責められているのよ。」「それは子供や孫の心が狭いせいだ。」
 「あなた、クズね。熱中症で死んでざまあみろだわ。」「失礼な。誰が死んでいるって。」
 「あなたよ。」「俺、死んでいるの。」
 「私は、女神テイア。あなたに役目を与えるわ。」「人をクズ呼ばわりしておいて、何が役目だ。」
 「なら、地獄へ行く?」「それはちょっと。天国がいいかな。」
 「あなたが天国に行けるわけないでしょ。役目を受けるか地獄行のどちらかよ。」「役目はどんなことをするんだ。」
 「召喚される勇者がアレだから、あまたは前もって転生して彼を導くのよ。」「アレって何。」
 「アレはアレよ。」「なぜ隠す。」
 「女に・・・よ。」「声が小さいですけど。」
 「女にだらしないのよ。」「なら、他の者にすればいいだろ。」
 「もう決まっているから厄介なのよ。」「どうせ魔王を倒すんだろ。問題ないと思うけど。」
 「魔王が美少女なのよ。」「鼻の下伸ばして返り討ちにあうのか。」
 「そうよ。」「俺なら言いくるめるから戦わなくてもいいよ。」
 「バカね。相手は魔族よ。」「何がバカだ。魔族なんて知るわけないだろ。」
 「魔族は言葉を話すけど話は全く通じないのよ。」「ああ、そう言う奴いるわ。警察官なんて俺の話全然聞いてくれないもんな。」
 「あなた、根っからの小悪党ね。」「テイア、失礼だぞ。」
 「女神なんだからテイア様と言いなさい。」「はい、はい、テイア様。」
 「あなたを勇者召喚の16年前に転生させます。そして勇者を導くのです。」「こらチートスキルの付与はないのか。」
 「そうですね。勇者を他の女に取られても困りますからチャームの能力を付与しましょう。」「もうちょっといいやつ。」
 「魔力を向こうの人のおよそ10倍にしましょう。」「まあ、そのくらいかな。でもBLはごめんだぞ。」
 「BLとは?」「男同士がラブラブだ。」
 「大丈夫です。あなたは女に転生するのです。」「ちょっと待て。」「待ちません。」
ここから俺の意識は途切れる。
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