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第1章 聖女誕生
第20話 仕組まれた宴
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パーティー会場には、有力な貴族とダミアン王の腹心の貴族が集められている。ミリアが会場に入るとダミアンが席を立ちエスコートする。
「今日は楽しみましょう。」「そうですわね」
ミリアはダミアンに触られることが嫌だったが我慢する。ダミアンはミリアが美しくなっていることに驚く。手を出したいところだが、今日こいつは死ぬのだ。
主催のロホスが挨拶をする。
「この宴が国の安寧の一石になることを願っています。ダミアン王に。」「「「ダミアン王に」」」
ミリアはグラスのスパークリングワインの匂いを嗅いで異常がないことを確認して、口にする。
厨房ではパウラがやることがなく棒立ちしている。すると声をかけられる。
「おい、これを持って行け。」「はい。」
パウラは渡された前菜をミリアの所へ持って行く。ミリアはパウラの状態が普通でないことに気づく。だが、殺気はない。料理に毒が入っているなら、この給仕の思考から分かる。
給仕から読み取れるのは恐れだった。前菜を口にするが異常はない。そこへ右隣にいるダミアン王が話しかける。
「試合のことは若気の至りでした。謝罪しますので許していただけませんか。」「試合のことですか忘れていましたわ。」
ダミアンがイラッとする。この女、俺にあれだけのことをして忘れていただと、俺は一生忘れないぞ。
ミリアにはダミアンがウソをついていることはお見通しだった。魔法で表面上の思考を読むだけなら相手に気づかれずにすることが出来る。
続いて、パウラはスープを運んでくる。パウラの様子は変わらない。何か仕掛けがあるはずだ。スープを飲みながら周囲の人の思考を探る。
そして、ロホスについている男が自分に注目していることに気づく。この男が仕掛けの全貌を知っているはずだ。だが深く思考を探ると気づかれてしまう。
パウラが魚料理を運んでくる。男の緊張が高まる。間違いない、この魚料理が本命だ。ダミアンが話しかけてくる。
「ミリア嬢は魚が苦手でしたかな。止まっていますよ。」「いいえ、好きですよ。」
ダミアンが笑う、こいつ知っているのではないか?ミリアはフォークに刺した魚の身を口に運ぶ。ロホスと男の口元が笑みに歪むところが見える。
ミリアはポイズンヒールを自分にかけながら魚の身を口に入れる。味はおかしくない、咀嚼して嚥下する。すると体に震えがくる。ポイズンヒールをかけているのにこんな・・・
ミリアが椅子から崩れ落ち床に倒れる。せき込み、魚の身と血を吐き出す。ダミアンが寄り添う。
「毒かもしれない。医者を早く。」
ミリアの頭に男の声が聞こえる。「即効の致死性の毒だ。もう死んでいる。」そして、ロホスの声が聞こえる。「やったぞ。殺したぞ。」
ロホスがパウラを指さし警護の兵に命令する。
「あの給仕をとらえよ。料理を運んでいたのはあの女だ。」
警備の兵がパウラを取り押さえる。
「毒を盛ったのか。」「私は何も知りません。料理を運んだだけです。」
兵の問いにパウラが涙を流しながら訴える。ミリアはパウラが本当のことを言っていると判断する。ポイズンヒールを続けて回復を待つ。ロホスが大声で言う。
「お前のような女を見たことがないぞ。誰に雇われたー」「分かりません。黒い布で顔を隠していました。」
ミリアはポイズンヒールをかけ続けて、体が動くようになる。そこに兵が駆け付けて部屋から出そうとする。
「まって、やることがあるわ。」
ミリアの声にダミアンが驚く。
「まだ、生きているのか。」「ダミアン王、どういうことですか。」
「いや、君の様子から死んだものと思ってしまったんだ。」「大丈夫です。毒が強力でしたけどポイズンヒールをかけていましたから。」
ミリアは兵の手を払いのけて立ち上がる。ロホスと男の顔色が変わる。ロホスが叫ぶ。
「女の首をはねよ!犯人はその女だ!」「いやー」
パウラが叫ぶとパウラの手から炎が出る。取り押さえていた兵が思わず手を離す。
「何をやっている。さっさと殺さないか。」「おやめなさい!その娘は私が保護します。」
「ミリア嬢、何を言っている。あなたを殺そうとしたんだぞ。」「殺そうとしたのは、その男です。」
ミリアはロホスの横にいる男を指さして言う。ロホスが慌てながら言う。
「彼は私の執事だ殺すわけないだろ。」「魔法で調べれば。その男とロホス様が私に毒を持ったことが分かります。」
「ミリア嬢は毒のせいで混乱されているのだ。部屋からお出ししろ。」「兵たち、ロホスと男を捕えなさい。」
兵はミリアの命令に従う。兵たちがロホスと男を取り押さえる。ミリアはさらに言う。
「バルタザール騎士団長を呼びなさい。」「はっ。」
ロホスはあがきながら言う。
「お前たち、何をしているのか分かっているのかー、殿下、お助け下さい。兵たちにご命令を・・・」
ダミアンはうろたえる。ミリアがダミアンに言う。
「まさか、ロハスに命令したのはダミアン王でしょうか。思考を読んで見せましょうか。」「私は関係ない。その者たちを連れて行け。」
「殿下、あんまりです。お助け下さい。」
ロホスと男は兵に連行されていく。ミリアは床に崩れて怯えているパウラに話しかける。
「きれいな赤髪ですね。私はミリア・アース次期聖女です。お名前は?」「パウラ・ヴァイスです。私、何も知らなかったんです。」
「分かっています。でも、料理を運べば何かが起こると知っていましたね。」「はい、従わないと殺される・・・理由にはなりませんね。」
「私に仕えなさい。魔法は教えてあげましょう。」「でも、病気の母がいます。」
「あなたに拒否権はありませんよ。」「はい。」
そこへバルタザール騎士団長が入って来る。
「今日は楽しみましょう。」「そうですわね」
ミリアはダミアンに触られることが嫌だったが我慢する。ダミアンはミリアが美しくなっていることに驚く。手を出したいところだが、今日こいつは死ぬのだ。
主催のロホスが挨拶をする。
「この宴が国の安寧の一石になることを願っています。ダミアン王に。」「「「ダミアン王に」」」
ミリアはグラスのスパークリングワインの匂いを嗅いで異常がないことを確認して、口にする。
厨房ではパウラがやることがなく棒立ちしている。すると声をかけられる。
「おい、これを持って行け。」「はい。」
パウラは渡された前菜をミリアの所へ持って行く。ミリアはパウラの状態が普通でないことに気づく。だが、殺気はない。料理に毒が入っているなら、この給仕の思考から分かる。
給仕から読み取れるのは恐れだった。前菜を口にするが異常はない。そこへ右隣にいるダミアン王が話しかける。
「試合のことは若気の至りでした。謝罪しますので許していただけませんか。」「試合のことですか忘れていましたわ。」
ダミアンがイラッとする。この女、俺にあれだけのことをして忘れていただと、俺は一生忘れないぞ。
ミリアにはダミアンがウソをついていることはお見通しだった。魔法で表面上の思考を読むだけなら相手に気づかれずにすることが出来る。
続いて、パウラはスープを運んでくる。パウラの様子は変わらない。何か仕掛けがあるはずだ。スープを飲みながら周囲の人の思考を探る。
そして、ロホスについている男が自分に注目していることに気づく。この男が仕掛けの全貌を知っているはずだ。だが深く思考を探ると気づかれてしまう。
パウラが魚料理を運んでくる。男の緊張が高まる。間違いない、この魚料理が本命だ。ダミアンが話しかけてくる。
「ミリア嬢は魚が苦手でしたかな。止まっていますよ。」「いいえ、好きですよ。」
ダミアンが笑う、こいつ知っているのではないか?ミリアはフォークに刺した魚の身を口に運ぶ。ロホスと男の口元が笑みに歪むところが見える。
ミリアはポイズンヒールを自分にかけながら魚の身を口に入れる。味はおかしくない、咀嚼して嚥下する。すると体に震えがくる。ポイズンヒールをかけているのにこんな・・・
ミリアが椅子から崩れ落ち床に倒れる。せき込み、魚の身と血を吐き出す。ダミアンが寄り添う。
「毒かもしれない。医者を早く。」
ミリアの頭に男の声が聞こえる。「即効の致死性の毒だ。もう死んでいる。」そして、ロホスの声が聞こえる。「やったぞ。殺したぞ。」
ロホスがパウラを指さし警護の兵に命令する。
「あの給仕をとらえよ。料理を運んでいたのはあの女だ。」
警備の兵がパウラを取り押さえる。
「毒を盛ったのか。」「私は何も知りません。料理を運んだだけです。」
兵の問いにパウラが涙を流しながら訴える。ミリアはパウラが本当のことを言っていると判断する。ポイズンヒールを続けて回復を待つ。ロホスが大声で言う。
「お前のような女を見たことがないぞ。誰に雇われたー」「分かりません。黒い布で顔を隠していました。」
ミリアはポイズンヒールをかけ続けて、体が動くようになる。そこに兵が駆け付けて部屋から出そうとする。
「まって、やることがあるわ。」
ミリアの声にダミアンが驚く。
「まだ、生きているのか。」「ダミアン王、どういうことですか。」
「いや、君の様子から死んだものと思ってしまったんだ。」「大丈夫です。毒が強力でしたけどポイズンヒールをかけていましたから。」
ミリアは兵の手を払いのけて立ち上がる。ロホスと男の顔色が変わる。ロホスが叫ぶ。
「女の首をはねよ!犯人はその女だ!」「いやー」
パウラが叫ぶとパウラの手から炎が出る。取り押さえていた兵が思わず手を離す。
「何をやっている。さっさと殺さないか。」「おやめなさい!その娘は私が保護します。」
「ミリア嬢、何を言っている。あなたを殺そうとしたんだぞ。」「殺そうとしたのは、その男です。」
ミリアはロホスの横にいる男を指さして言う。ロホスが慌てながら言う。
「彼は私の執事だ殺すわけないだろ。」「魔法で調べれば。その男とロホス様が私に毒を持ったことが分かります。」
「ミリア嬢は毒のせいで混乱されているのだ。部屋からお出ししろ。」「兵たち、ロホスと男を捕えなさい。」
兵はミリアの命令に従う。兵たちがロホスと男を取り押さえる。ミリアはさらに言う。
「バルタザール騎士団長を呼びなさい。」「はっ。」
ロホスはあがきながら言う。
「お前たち、何をしているのか分かっているのかー、殿下、お助け下さい。兵たちにご命令を・・・」
ダミアンはうろたえる。ミリアがダミアンに言う。
「まさか、ロハスに命令したのはダミアン王でしょうか。思考を読んで見せましょうか。」「私は関係ない。その者たちを連れて行け。」
「殿下、あんまりです。お助け下さい。」
ロホスと男は兵に連行されていく。ミリアは床に崩れて怯えているパウラに話しかける。
「きれいな赤髪ですね。私はミリア・アース次期聖女です。お名前は?」「パウラ・ヴァイスです。私、何も知らなかったんです。」
「分かっています。でも、料理を運べば何かが起こると知っていましたね。」「はい、従わないと殺される・・・理由にはなりませんね。」
「私に仕えなさい。魔法は教えてあげましょう。」「でも、病気の母がいます。」
「あなたに拒否権はありませんよ。」「はい。」
そこへバルタザール騎士団長が入って来る。
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