22 / 64
第1章 聖女誕生
第22話 聖女になる
しおりを挟む
貧民街で私が治療したことは、うわさが広がり王都ダルヴィーク中に知られることになった。宮廷騎士団の中で、私は聖少女ミリアと呼ばれて秘かに人気者になっていた。
キルケが私に懇願する。
「治療ができるならば、お母さまを治して。」「もうすでにしましたが原因が分からないのです。毎朝、ヒールをかけて延命することしかできません。」
「そんな、お母さまは国のために尽くしてきたのに。」「ごめんなさい。」
私は毎朝、ディアナに気づかれないようにヒールをかけている。今朝も気配を消して部屋に忍び込み、ディアナにヒールをかける。
「ミリア、もういいのですよ。私の死は神託にあります。」「気づいていたのですか。」
「毎朝、優しい気の流れを感じれば気づきますよ。それより、貧民の治療をしたそうですね。」「申し訳ありません。」
「謝ることはないわ。今ならミリアが聖女になることを反対するものはいないはずです。」「大げさになってしまいました。」
「あなた、こちらに」
従騎士のボニファーツ・ゼーテがディアナの傍らに来る。
「私はもうベットから動けません。聖女の引継ぎの準備をお願いします。」「お前は何も心配することはない。きちんと役目を果たすよ。」
ディアナの夫で従騎士のボニファーツが言う。
翌日にはディアナの部屋に司教、ダミアン王、エッケハルト宰相、バルタザール騎士団長と私が集められる。ディアナが私に言う。
「聖女になって、この国を守りますか。」「はい、一命をとして成し遂げます。」
「良い答えです。この国をお願いします。」「お任せください。」
「あなたの従騎士が決まるまでボニファーツが守ります。」「はい。」
ボニファーツが部屋のある机の引き出しからペンダントを取り出して、私に差し出す。
「聖女の証です。お受け取り下さい。」「ずいぶん重そうなペンダントですね。」
「この国の重みです。」「私は、この重みを忘れずに役目を果たします。」
金のチェーンに大きなルビーのペンダントトップがついている。無くしたら大変だ。金庫を買うことにしよう。
私はペンダントを付ける。これで聖女の引継ぎが終わる。司教が私に言う。
「聖女ミリア・アースよ。聖女ディアナに恥じない聖女になってください。」「はい。」
こうして、私たちはディアナの部屋から出る。部屋の外には、キルケとパウラが待っていた。私は部屋に戻るとキルケとパウラが入って来る。
「これで聖女様だね。ダミアン王がいやらしそうな目で見ていたから気をつけてね。」「王様は、ミリア様のことが好きなんですか。」
パウラの質問にキルケが笑いだす。パウラは何かまずいことを言ったのではないかとうろたえる。
「私とダミアン王は仲が悪いのよ。ダミアンが好色の目で見ていることは気づいているわ。」「私に何かできないでしょうか。」
「パウラはまず魔法を覚えなくてはいけないわね。今日は昨日教えたことを復習していて。」「はい。」
私は聖女になってもディアナにヒールをかけ続けた。しかし、聖女誕生パーティーの前日、ディアナは私に言う。
「もう、ヒールは結構よ。」「それでは死んでしまいますよ。」
「これは女神ケレスの神託にあったことだから受け入れます。」「私は死んで欲しくない。キルケが悲しむわ。」
「もう、十分よ。従騎士はもう決めているのでしょ。」「はい、今は農夫をしています。」
「まあ、愉快だわ。ダミアン王は黙っていないと思うけど。」「大丈夫です。とても強い人ですから。」
これが、私とディアナの最期の会話となった。
翌日、聖女誕生パーティーが開かれる。私はダミアン王にエスコートされて会場に入る。私はすでに貧民街の件で人気が出ていたので大きな拍手で迎えられる。ダミアン王が私に言う。
「このまま、結婚式でもしないか。」「冗談が過ぎますわ。」
「ミリア、君は美しくなった。妻に欲しいと思っている。」「ごめんなさい。心に決めた人がいるの。」
ダミアン王の手が震える。怒りをこらえているらしい。そこへ宮廷騎士が私の前に出る。
「ラース・ローデンバルトと申します。従騎士に立候補します。お手をお取りください。」
ラースは跪き右手を差し出す。私は会場に声が通るように言う。
「私は従騎士を決めています。ウォール・ヤーン、彼が私の従騎士です。」
パーティー会場はざわめく。皆、騎士にそのような者に心当たりがなかったのだ。
キルケが私に懇願する。
「治療ができるならば、お母さまを治して。」「もうすでにしましたが原因が分からないのです。毎朝、ヒールをかけて延命することしかできません。」
「そんな、お母さまは国のために尽くしてきたのに。」「ごめんなさい。」
私は毎朝、ディアナに気づかれないようにヒールをかけている。今朝も気配を消して部屋に忍び込み、ディアナにヒールをかける。
「ミリア、もういいのですよ。私の死は神託にあります。」「気づいていたのですか。」
「毎朝、優しい気の流れを感じれば気づきますよ。それより、貧民の治療をしたそうですね。」「申し訳ありません。」
「謝ることはないわ。今ならミリアが聖女になることを反対するものはいないはずです。」「大げさになってしまいました。」
「あなた、こちらに」
従騎士のボニファーツ・ゼーテがディアナの傍らに来る。
「私はもうベットから動けません。聖女の引継ぎの準備をお願いします。」「お前は何も心配することはない。きちんと役目を果たすよ。」
ディアナの夫で従騎士のボニファーツが言う。
翌日にはディアナの部屋に司教、ダミアン王、エッケハルト宰相、バルタザール騎士団長と私が集められる。ディアナが私に言う。
「聖女になって、この国を守りますか。」「はい、一命をとして成し遂げます。」
「良い答えです。この国をお願いします。」「お任せください。」
「あなたの従騎士が決まるまでボニファーツが守ります。」「はい。」
ボニファーツが部屋のある机の引き出しからペンダントを取り出して、私に差し出す。
「聖女の証です。お受け取り下さい。」「ずいぶん重そうなペンダントですね。」
「この国の重みです。」「私は、この重みを忘れずに役目を果たします。」
金のチェーンに大きなルビーのペンダントトップがついている。無くしたら大変だ。金庫を買うことにしよう。
私はペンダントを付ける。これで聖女の引継ぎが終わる。司教が私に言う。
「聖女ミリア・アースよ。聖女ディアナに恥じない聖女になってください。」「はい。」
こうして、私たちはディアナの部屋から出る。部屋の外には、キルケとパウラが待っていた。私は部屋に戻るとキルケとパウラが入って来る。
「これで聖女様だね。ダミアン王がいやらしそうな目で見ていたから気をつけてね。」「王様は、ミリア様のことが好きなんですか。」
パウラの質問にキルケが笑いだす。パウラは何かまずいことを言ったのではないかとうろたえる。
「私とダミアン王は仲が悪いのよ。ダミアンが好色の目で見ていることは気づいているわ。」「私に何かできないでしょうか。」
「パウラはまず魔法を覚えなくてはいけないわね。今日は昨日教えたことを復習していて。」「はい。」
私は聖女になってもディアナにヒールをかけ続けた。しかし、聖女誕生パーティーの前日、ディアナは私に言う。
「もう、ヒールは結構よ。」「それでは死んでしまいますよ。」
「これは女神ケレスの神託にあったことだから受け入れます。」「私は死んで欲しくない。キルケが悲しむわ。」
「もう、十分よ。従騎士はもう決めているのでしょ。」「はい、今は農夫をしています。」
「まあ、愉快だわ。ダミアン王は黙っていないと思うけど。」「大丈夫です。とても強い人ですから。」
これが、私とディアナの最期の会話となった。
翌日、聖女誕生パーティーが開かれる。私はダミアン王にエスコートされて会場に入る。私はすでに貧民街の件で人気が出ていたので大きな拍手で迎えられる。ダミアン王が私に言う。
「このまま、結婚式でもしないか。」「冗談が過ぎますわ。」
「ミリア、君は美しくなった。妻に欲しいと思っている。」「ごめんなさい。心に決めた人がいるの。」
ダミアン王の手が震える。怒りをこらえているらしい。そこへ宮廷騎士が私の前に出る。
「ラース・ローデンバルトと申します。従騎士に立候補します。お手をお取りください。」
ラースは跪き右手を差し出す。私は会場に声が通るように言う。
「私は従騎士を決めています。ウォール・ヤーン、彼が私の従騎士です。」
パーティー会場はざわめく。皆、騎士にそのような者に心当たりがなかったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~
あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。
それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。
彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。
シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。
それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。
すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。
〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟
そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。
同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。
※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。
お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
パーティーの役立たずとして追放された魔力タンク、世界でただ一人の自動人形『ドール』使いになる
日之影ソラ
ファンタジー
「ラスト、今日でお前はクビだ」
冒険者パーティで魔力タンク兼雑用係をしていたラストは、ある日突然リーダーから追放を宣告されてしまった。追放の理由は戦闘で役に立たないから。戦闘中に『コネクト』スキルで仲間と繋がり、仲間たちに自信の魔力を分け与えていたのだが……。それしかやっていないことを責められ、戦える人間のほうがマシだと仲間たちから言い放たれてしまう。
一人になり途方にくれるラストだったが、そこへ行方不明だった冒険者の祖父から送り物が届いた。贈り物と一緒に入れられた手紙には一言。
「ラストよ。彼女たちはお前の力になってくれる。ドール使いとなり、使い熟してみせよ」
そう記され、大きな木箱の中に入っていたのは綺麗な少女だった。
これは無能と言われた一人の冒険者が、自動人形(ドール)と共に成り上がる物語。
7/25男性向けHOTランキング1位
七億円当たったので異世界買ってみた!
コンビニ
ファンタジー
三十四歳、独身、家電量販店勤務の平凡な俺。
ある日、スポーツくじで7億円を当てた──と思ったら、突如現れた“自称・神様”に言われた。
「異世界を買ってみないか?」
そんなわけで購入した異世界は、荒れ果てて疫病まみれ、赤字経営まっしぐら。
でも天使の助けを借りて、街づくり・人材スカウト・ダンジョン建設に挑む日々が始まった。
一方、現実世界でもスローライフと東北の田舎に引っ越してみたが、近所の小学生に絡まれたり、ドタバタに巻き込まれていく。
異世界と現実を往復しながら、癒やされて、ときどき婚活。
チートはないけど、地に足つけたスローライフ(たまに労働)を始めます。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる