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第82話 迷宮の家7

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 沙衣は、迷路の家の中を霧で満たす。
 彼女は家の中の構造を把握しようとするが複雑すぎてできない。
 しかし、彼女は家の中で迷うことはない。
 沙衣と美湖は、家の中に入って行く。
 沙衣は、水で刀と盾を作る。
 しばらく進むと2人は立ち止まる。
 周囲から気配がするのだ。
 沙衣は、空中に無数の水の刃を作り出し、周囲の壁を切りつける。
 2人の前にお座敷様が現れる
 「酷いことをしますね。私の家ですよ。」
沙衣は、お座敷様に問答無用で切りかかる。
 お座敷様は刀を避け、手刀を沙衣の首を狙って突き入れる。
 沙衣は、盾で防ぐとお座敷様は壁の中に消える。
 沙衣と美湖は、背中合わせになり、死角をなくす。
 お座敷様は、美湖の正面に再び現れる。
 美湖は手をかざし陽の光を当てる。
 お座敷様は、怯むが焼くほどの効果はない。
 沙衣が、隙を逃さず袈裟切りにする。
 お座敷様は切られるがすぐに傷は消える。
 彼は、また壁の中に消える。
 沙衣は、美湖に言う
 「しぶといわね。」
 「強力ね。陽の光が効かないわ。」
2人は再び背中合わせになる。
 お座敷様は、沙衣の前に現れ手刀の突きを放つ。
 沙衣は、水の盾で手刀を防ぎつつ、刀でお座敷様の首に突きを入れる。
 お座敷様の手刀は盾を突き破り、沙衣の腹に穴を開ける。
 彼は首に刺さった刀を抜くと
 「勝負ありましたか。」
と言い、勝利を確信する
 美湖は、稲荷の使いにもらった勾玉に沙衣の傷が癒えるように願いを込める。
 沙衣の腹の傷口はふさがって行くが、彼女は動かない。
 お座敷様は、美湖に笑いながら言う
 「あなただけですよ。どうします。」
 「あなたを退治します。」
美湖は手をかざし陽の光を当てる
 「それはもういいですよ。死になさい。」
お座敷様は、手刀で美湖の首をはねようとする。
 その時、彼は床から突き上げてきたとげに串刺しにされる。
 空中には無数の水の刃が浮かび上がりお座敷様を切り刻む。
 お座敷様は、瀕死のはずの沙衣が起き上がるのを見る。
 彼は一瞬にして追い詰められたことを知る。
 「お前たち金持ちになりたくはないか。」
お座敷様の問いに沙衣は答える
 「あなたを退治すると大金が入るの。」
 「私と契約すれば金に困らないのだぞ。」
 「自分で稼ぐわ。」
沙衣は水の刀を作り出す。
 彼女はお座敷様が霧散するまで切り続ける。
 迷路の家から霧が消えていく。
 家に中から2人が出てくる。
 2人は家の前で宣言する
 「お座敷様を退治しました。」
マスコミが殺到するが2人は逃げ出す。
 その後、迷路の家は取り壊される。
 沙衣と美湖のことはしばらくマスコミが騒いだが2人は沈黙を続ける。
 彼女たちは高校生活に戻ったのだ。
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