異世界、皇子です

晴れのち曇り

文字の大きさ
21 / 53
三章、帝国内乱

召集

しおりを挟む
「殿下、皇帝陛下からの召集です。件の武装蜂起について殿下も鎮圧に参加せよ。との事です」

ある昼下がり、フリートとミラが雑談に花を咲かせていると、学園に似合わない軍服姿の兵士と思しき男が声をかけた。



男の言葉に少し驚いた風のフリートであったが、直ぐに了承の意を示す。

しかし、それを良く思わない者がここに居た。

「待って、殿下はまだ15歳。戦場に出るには早すぎる」

ミラが男に食ってかかった。

「しかしミラ殿、これは陛下直々の命です。逆らう事は許されない事です。
故に、ご理解頂きたい」

男は極めて冷静にミラに対応する。
まるで取り付く島が無い。

「ーーーっでも!」

更に言い募ろうとする少女。
しかし、それを遮る者が居た。

「ミラ、良い」

「殿下!?」

「十分だ、ありがとう。でもね、皇帝陛下の命を無視するわけにはいかない。
少しでも軍の戦力を割きたく無い、という事だろう。私には自分が自由に動かせる部隊がいるからね」

フリート本人にそう言われては、強く拒否する訳にもいかない。

ミラは渋々引き下がった。

「…………ありがとう。君みたいな人がいてくれるのなら私は幸せ者だよ」

そう言いながら微笑むフリートを見たミラは、意を決したように言う。

「…………ならっ!私も殿下と一緒に行く!これは譲れない」

予想だにしていなかったその言葉に目を見開くフリートは慌てたように言う。

「何を言っている!?君まで戦場に出る必要は無い!死にたいのか!?」

しかし、ミラは顔色を変えずに静かに口を開く。

「私は殿下を死なせたくは無い。それは絶対に嫌。殿下は死ぬ時は一緒と言った。あれは、嘘?」

その言葉に、その眼にフリートは何も言えずにいた。
それを壊すかのように男が口を出す。

「では、フリート殿下とミラ殿、そして殿下の直属の部隊にはテロリストの鎮圧にお手伝い頂ける、という事で宜しいでしょうか?」

「…………あぁ、構わない」

フリートは男に早く行け、とでも言いたげにぞんざいな態度を取る。

「では、失礼致します。…………殿下に女神の御加護があらん事を」

そう言って男は敬礼をして立ち去った。

「女神、か」

そう零すフリートの姿はまるで、道に迷った幼子のようだった。









「死ぬ時は一緒って言った覚えがないんだけどなぁ……」

必死に記憶の糸を手繰り寄せていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

元恋人が届けた、断りたい縁談

待鳥園子
恋愛
シュトルム辺境伯の末娘ソフィに隣国の帝国第二皇子から届けられた『縁談』の使者は、なんと元恋人のジョサイアだった。 手紙ひとつで別れることになったソフィは、素直になれずジョサイアから逃げ回る。 「私に届けなければ、彼は帝国に帰ることが出来ない」 そう思いようやく書状を受け取ろうと決意したソフィに、ジョサイアは何かを言い掛けて!?

処理中です...