エンドロールに誰を流そう

大野

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君はどんな人

私はエスパーではないわ

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「私はエスパーではないよ。ふふっ、本当に、あなたと話しているとこそばゆい気持ちになる。さっき、図書室のドアが急に開いて驚いた?」

彼女の話はコロコロと変わる。
掴み所がなくて、彼女は私の中核をしっかりと掴んでいるのに、私には掴ませない。
ひゅるひゅるとすり抜けていく。
やっぱり、まだ想像の中ではないのかしら。

「ええ、とっても。でも、あなたがエスパーなのであれば、なにも不思議ではないわ。
エスパーなら、私が来るタイミングくらい、分かりそうだもの。」

想像なのでは、と思い始めると
自信が持てた。
だって、想像の中の私は、真っ黒な髪に、真っ黒な瞳、ノースリーヴのワンピースが似合う、普通の人だもの。

「もう、さっきからそればっかりだね。
違うよ、来てくれるかなって、ずっとそわそわしちゃって、見ていたの。
そしたら、ドアの小窓からあなたの姿が少し見えたので、思わず入って来るのを待たずに開けてしまったの。」

「本当に?」
今の言葉が信じられない、といった面持ちで聞き返す。

「嘘をついたって仕方がないよ。嘘をついていいのはエイプリルフールだけでしょう?」

彼女は端正な顔を綻ばせて、次はなにから話そうか、と目線を泳がせている。

「私は、毎日のように嘘をついているわ。」

彼女に聞こえないくらいの音量で、ぽそり、と呟く。

「え?なんて言ったの?」
キラキラと眩しい瞳で、声で、言葉で、聞き返して来る。

「本の話をしましょう?」
宝石に、私は目をそらして、自分の手をぐぐっと強く握る。



「そうだね。」
少し不満そうな声色で、彼女は本の話を始める。
宝石は少しだけ、鈍くなった。
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