刻印戦記-AlterFrontier(アルターフロンティア)

ワサオ

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第1章 刻印覚醒編

第21話 運も実力のうち?運の勝利者ウィナー(2)

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 こんな時に限って運がいいシーカー。シーカーはもちろん、何故かSyoまで慌てていた。

「お前、こんな時に運を使うなよ!!」
「ウルセェ!!俺だって運使いたくねぇよ。それに俺があのウィナーと戦うだと!?い、いつ?」
「運のあるシーカー君、今から戦うぞ!!もちろん生放送でだ!!
「今から!?」
「さぁ!!挑戦する気があるなら連絡を!!1分以内に!!」

 2人が慌てている間に、画面に1分のカウントダウンが始まった。
 その瞬間、真っ先にSyoへと相談した。

「ど、ど、ど、どうすればいいんだ!?」
「し、しるか俺が!!とにかく戦え!!お金が、武器が、服が全部もらえるんだぜ!!それにあいつ弱そうだし」

 少し悩み残り10秒になった辺りでウィナーが挑発して来た。

「シーカー君、この大チャンス逃すのかい?僕みたいな戦闘初心者に負けるのが嫌かなぁ~それとも臆病になったかなぁ~」

 周りの美女達もシーカーをあざ笑うかのように挑発して来て、ムカついたと共に一気にやる気が湧いて来た。

「そこまで言うならやってやるぜ!!」
「単純な奴……」

 ラスト1秒になった瞬間、即挑戦に受けるとメッセージを送った。
 そして画面の向こうのウィナーにメッセージが届き、それを見るとニヤリと笑う。

「シーカー君が連絡が来た!!挑戦は受けるとのことで、ランダムでフィールドを選択だ!!何が出るかな、何が出るかな!!そぉれ!!」

 フィールド:火山地帯

「火山地帯!?」

 火山地帯と聞き、シーカーは頭を悩ませた。よほど嫌いなようだ。
 一方ウィナーは、シーカーとは真逆で平然としていてメサを操作して装備を決めていた。

「火山地帯は熱いよぉ。何か装備してもいいよ」
「俺はこのままで良い!!フィールドに移動する!!」

 少しばかり頭の中ではお金や武器がもらえる事が嬉しい中、半分は生放送で何百万人も見ている中で戦うのがとても心配なのだ。
 Syoは落ち着かせようと冷静に話題を変える。

「まぁ勝てば有名なるからいいんじゃない?」
「いや、そうゆう問題じゃあ……」

 有名になってもしょうがない。だけど、挑む以上なんとしても勝たないといけない。
 そう思いながら、メサを操作してフィールドに移動した。


 *


 メサで到着した火山地帯フィールド。
 フィールドの至る所に火山があり、常に空は赤く曇っている。そして常にマグマやガスを噴出しており、地面からもマグマが勢いよく噴火しているほどのフィールドだ。
 熱に帯びたゴツゴツとした岩の地面も暑く、まともに立っていられる場所も限られている。

「久しぶりに来たが、やっぱり熱いなぁ……」

 呑気にフィールド内を見渡しながら観光気分で歩き、地面に足を踏み降ろすと踏んだ付近の地面が凹んだ。

「うわぁぁぁ!?」

 踏んだ地面が急に膨れ上がり、その下からマグマが噴出され、踏んだ地面ごとシーカーは上昇して遠くに吹き飛ばされた。
 そして火が燃え上がっている場所に、落下して尻や頭に火がつき、大慌てで炎を振り払った。
 このフィールドは高確率で地面からマグマや炎が噴出し、プレイヤーにダメージを与えるが、こんなにも早くダメージを食らうとは、なんとも運のないシーカーであった。

「あっち!!あちちち!!うぎゃぁぁぁ!!」
「なんて運のない人だ。僕の運を少し分けてあげたいねぇ」

 熱く焦げたシーカーを見て嘲笑うながらフィールドに現れたのは、全身黒く細い機械のスーツを纏ったウィナーだった。顔も機械のヘルメットを被っており、姿だけでは、誰か分からなかった。
 そして何歩も歩きながらシーカーに近づくが、一切噴火は起きず、何事もなくシーカーの元に辿り着いた。

「お、お前がウィナーか?」
「あぁそうだよ。この鎧で僕は勝負する。さっきも言ったが僕は戦闘初心者だ。だから、お手柔らかにお願いするよ」
「本当に勝ったら、お前のお金とか武器をくれるんだろうな」
「もちろん、僕が負ければの話だけどね」

 そんなウィナー嫌味な言い方に対して、シーカーは怒る事もなく平然を装った。
 内心、あの生放送での運命力が戦闘にも反映されるのか、ヒヤヒヤしている。

「もう準備はいいかい?」
「あぁいいぜ。いつでも始めろ」

 シーカーは余裕の表情のウィナーを睨みつけ、いつでも戦えるように拳を構えた。
 どんな戦いをする、あのスーツにはどんな能力があるのか気になる事が多いが、とにかく今は戦いに集中することにした。
 そしてカウントが始まった。
 カウントが始まってもなお、ウィナーは余裕の顔をしていた。

 3・2・1……START

「先制攻撃だ!!」

 STARTの合図が出て、シーカーが進もうとした瞬間に、足元が急に膨れ上がり下からマグマが勢いよく噴火して、遠くに飛んで行った。
 こんな時にも、運に見放されているシーカーであった。
 地面に頭からぶつけて軽くタンコブが出来たシーカー。涙目になりながら、必死にタンコブを撫でていた。

「くっそぉ!!早速かよ!!」
「おいおい僕はまだ何もしてないんだよ。勝手にやられたら困るなぁ」
「いちいちうるさい奴だ!!」

 何も動いていないウィナーに挑発され、頭に来たシーカー。力任せに一気に突進する。
 刻印は使わずにウィナーへと拳を振り下ろした。

「ふっ」

 拳が当たりそうな状況なのに、ウィナーは動く事なく、逆に不敵に笑った。
 その拳が当たる直前、スーツの目の部分が光り輝き、シーカーの拳よりも早い速度で無数の拳がシーカーの胴体に重い攻撃を何発も繰り出した。

「ぐっ……!!」

 重い拳の攻撃でダメージを受けつつ、後方へと弾き飛ばされた。シーカーは綺麗に一回転して地面に着地した。
 あの時飛んできた無数の拳。腹に5発、胸に2発、両腕1発ずつ、そして顎に1発殴ってきた。明らかにシーカーの攻撃速度よりも早く、シーカー自身も今自分がどれくらい攻撃したのかはっきりとは分からなかった。

「痛ぇ……なんだ今のは」
「このスーツは一定の確率で自動防衛システムが発動して、相手の攻撃を瞬時に判断して、相手の一番ダメージを与えるように反撃をしてくれるパーフェクトスーツだ」

 Syoはこの生放送をノートパソコンで見ているが、徐々に増えていく視聴者たち。そして盛り上がりも増していった。

「これも運なのか……」

 Syoも唖然としている中、シーカーは考えていた。今のが確率なら、確率が外れる時も絶対にあると。

「……うわっ、何だ!?」

 突如、地面が大きく揺れ始めた。それと同時に辺りの火山の活動が活発になり、一番デカイ火山の噴火口から勢いよくマグマが噴き出した。その高さは天をも貫かんばかりの勢いで、その中には噴石も混ざり、シーカー達の元に無数の噴石が降り注いできた。

「あぶねッ!!」

 噴石の大きさは様々で野球ボールサイズから人1人を包み込むほどの大きさもある。
 シーカーは降ってくる噴石を色んな方角にジャンプしながら避けている。

「ふん、それくらいなんともないね」

 ウィナーは降り注ぐ噴石に対して微動だにせず、スーツの自動防衛システムが発動し、胸部分が光り輝き一気にビームを放出した。
 小さな噴石から巨大な噴石まで、ビームが当たった物は全て粉々に粉砕された。

「嘘だろ!?ビームも出すのか!?」

 未だ普通に避けているシーカー。ウィナーのスーツから放たれたビームを見て、目をそっちへと奪われた。顔を戻すと巨大な噴石がシーカーの目の前に迫ってきた。

「やられるかァァァ!!」

 焦ることもなく、拳を思いっきり噴石へと食い込ませた。
 噴石に亀裂が走り、何当分にも割れた。そして噴石が降り注ぐが一旦落ち着いた。
 スーツのビームも収まると同時に放出が止まった。

「ふぅ、何とか助かったぜ。さぁ続きと行こうぜ」
「君ぃ……運がないねぇ」

 噴石が落ち着き、戦闘再開しようとウィナーへと身体を向けた。だが、ウィナーは小馬鹿にするようにあざ笑っていた。
 頭上より、大きな影がシーカーを覆った。

「あぁ?」

 ふと影が気になり上を振り向くと、超巨大な噴石が上空より、真っ逆さまに落ちてきた。

「おわっ!?」

 気づいた時には頭上10mも満たない場所にあり、まだ避けられる。すぐに移動しようとした瞬間、別の場所の地面からマグマが噴出し、その勢いで銃撃の速度並みの小石がたまたま飛んできてシーカーの顔にぶつかってきた。

「うっ……」

 その石の当たりどころが悪く、怯み足が止まった。
 そして頭上より落ちてきた超巨大噴石がシーカーを押し潰した。

「シーカー!!」

 Syoは叫んだ。だが、コメントでは運が悪いだの、ウィナーつぇぇぇ!!などと大盛り上がりであった。
 ウィナー自身もやれやれと慈悲深そうに噴石の元へと近づく。

「本当に運悪いねぇ君。火山地帯の大噴火は低確率でしか起きないのに、噴火して、巨大噴石から逃げようとしたら、別の場所から石が飛んできて逃げるのを妨害されて押し潰される。ここまで運が悪い人は初めてだよ」

 そしてウィナーは噴石に背中を向けて、視聴者に向けて語りかけた。

「今回は残念だったねぇ。僕は防衛システムに運良く守られたけど、逆に運が悪かったようだねぇ。って事で僕の勝ちだね」
「あぁ?勝ちだとぉ?誰が運が悪くて負けたってぇ?」

 噴石から声が聞こえてきて、振り向くと巨大噴石がゆっくりと持ち上がってきた。そこにはボロボロになっているシーカーがいた。炎の刻印を発動しているが、かなり疲れが見えていた。

「え?シーカー、君生きてたの?」

 軽くあしらうウィナー。だが、シーカーは持ち上げながらウィナーに言い放った。

「当たり前だ……運如きで負ける俺ではない!!」
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