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第2章 骸帝編
第35話 田舎育ちの強戦士(3)
しおりを挟むシーカーのマイホームでは、テンションが低いままのシーカーがソファーに座っていた。流石のウェルズも心配そうに小さな羽を一生懸命羽ばたかせて、シーカーの周りを飛んでいる。
Syoも隼の事でシーカーが色々と悩んでいるのを知っているが、それは過去の話。それをいつまで引っ張ってもらって困ると、思っていた。Syoは頑張ってシーカーに話しかけた。
「そりゃあ隼は強かった俺達よりも……だが、あいつはもう辞めてから何ヶ月も立っている……」
「それもそうだが……」
「俺もメルクリも頑張って仲間を探しているんだ……お前も頑張ろうぜ‼︎あいつ1人のためにそこまで考えなくていいさ‼︎今は目先の未来を守る事だ‼︎」
「そうだな……」
少しテンションが上がり始めたシーカー、するとそこに着物と麦わら帽子を着たメルクリが、虫かごを持って現れた。
「やぁ‼︎君達‼︎探すのは順調かい‼︎」
「オメェ‼︎本当に救いたい気あんのかよ‼︎しかも虫なんて呑気に‼︎」
Syoのツッコみに、メルクリは虫かごを突き出した。その中を見ると、青くサファイアの様に綺麗な色をしたカブト虫が入っていた。
「何、この虫……」
「この虫"サファイアゲイルカブト"は時速200kmも出せる高速の虫だ‼︎オニヤンマなんて目じゃないよ‼︎」
紹介
サファイアゲイルカブト
ピュアーズ・シンピ森林 捕獲難易度☆5
緑が囲まれた森の中で、サファイアの様な煌めいている青色のカブト虫。見つけるのは簡単だ。だが、時速はオニヤンマを超える時速200kmだ。オニヤンマは時速140kmだ。
その速度に捕まえるのは困難であり、カブトがいる半径10m以内に入るとすぐに察知し、飛び去ってしまう。
捕まえるのは困難だが、高く売れて50万Gから最高100万Gで取引されている。また高級な武器や防具の素材にもなるのだ。
「……そんなすごい奴……どうやって捕まえたんだ……?」
「ひ・み・つ‼︎」
「こ、こんにゃろぉぉぉ‼︎」
ムカつく言い方にいよいよ手が出そうになるSyoだが、シーカーが少し笑みが復活しながら優しく宥めた。
「まぁまぁ落ち着けよ、喧嘩はよくないぜ」
「そうそう笑って笑って‼︎シーカー君からも笑顔戻った事だし……これは置いていくよ、じゃあね‼︎」
虫かごをテーブルの上に置き、メルクリはその場から立ち去った。
「あ、ちょっと‼︎」
「あ~いなくなった……ん?」
Syoのメサからメッセージが届いていた。それを見た瞬間、Syoは飛び跳ねるように喜んだ。
「おっ?キタキタァァ‼︎」
「何がだ?」
「俺が呼びかけた仲間だよ‼︎しかも超大物だ‼︎」
「誰だ?」
Syoはシーカーにドヤ顔で顔を寸前まで近づけて言った。
「オーガスターだよ‼︎あのオーガスター‼︎」
「……ま、マジ⁉︎」
「しかもこの後、すぐ来るって‼︎」
「お、おいマジかよ⁉︎本物⁉︎」
シーカーの顔からも喜びの顔が溢れ出していた。2人が騒ぐほど喜んでいるオーガスターとは?
日本ランキング1位の実力を持ち、世界的にもかなりの実力を持っている。仲間は女の子が1人だけである。それに当時攻略不可能だと言われたクエストもクリアした。決闘でも負けなしだと言われている。2人はそんなオーガスターを日本の希望などと呼んでいた。
「本物だって‼︎本物‼︎」
「うわっほーーーい‼︎‼︎」
2人で両手を合わせて叩いて喜んでいると、目の前に2人の男女が現れた。赤色の髪をした黒いバンダナをつけたマントに包まれた男と、露出度の高いくノ一の様な姿の女の子が現れた。男女は2人を見て、戸惑っていた。
「呼ばれて来ました……」
「ここがシーカーって人のホーム……ですよね……」
両手を合わせたままのシーカーとSyoは男女を見て静かにうなづいた。
ーーーーーーーーーーーーーー
2人をソファーに座らせ、Syoは満面の笑みでゴマを擦りながら話し始めた。
「よく来てくれましたぁぁぁ‼︎オーガスター殿‼︎……ってそのお隣のお方は?」
「こいつは……」
「私はアモレと申します。よろしくお願いします」
アモレは芽威でオーガスターが柳星である。
「よ、よろしくお願いします……」
意外と礼儀正しく挨拶するオーガスターの片割れのアモレに、シーカーもSyoも軽く驚き、つい普通に挨拶した。オーガスターの片割れならもっとはちゃめちゃしている人だと勝手に予想していたからだ。
次にオーガスターがキリッとした顔で話しかけた。
「所で、あのメッセージは本当なのか?本当だとしたら俺は何をすれば良いんだ?」
するとシーカーはニヤリと笑い答えた。
「俺と戦う試験に受けてもらう‼︎」
「えっ⁉︎そんな事するの⁉︎」
大声を上げるSyoの口を押さえて、小声で言う。
「しっ‼︎これは俺の作戦だ、伝説のオーガスターの力をこの手で確かめたいだけだ」
「だが、オーガスターは頑固者で噂だ……そんな事……」
「その試験断る‼︎」
「えっ?」
オーガスターが立ち上がり、シーカーを指差した。そして高らかに声を上げた。
「むしろ俺からお前達に言いたい‼︎俺を倒してみろと‼︎」
いきなりの言葉にSyoは驚きに倒れた。
「あ、あぁ……(叫んだだけなのに、なんで迫力……これは予想以上だ)やっぱり一筋縄では行かないって訳ね……分かったぜ‼︎俺があんたを倒したら逆に仲間になってくれるって事だな‼︎」
「もちろん‼︎逆に俺が勝ったらこの件はなかった事にする‼︎そしてこの芽……じゃなくてアモレも受けさしてもらうぜ‼︎」
「えっ⁉︎私も⁉︎」
落ち着いていた表情から急を目を丸めてオーガスターを睨みつけるアモレ。
「お前の実力なら勝てるって‼︎」
「いやぁ……でもぉ……」
「行けるって‼︎お前なら‼︎」
「う~ん……」
2人で言い合っている姿を見てSyoは羨ましそうに見て、シーカーはメサを操作している。
「いいよなぁ……ああゆうの……いつか俺も……」
そうボヤくと、目の前にアイドル衣装のアルとスーツを着た眼鏡の痩せ男が現れた。それにシーカーはビックリしてコケた。
「早っ‼︎」
「シーカー?用事って何?私後でライブが……」
その横で腕時計を見て、1人慌ただしく家の中を走り回る痩せ男。
「1時間の休憩しかないのよ‼︎アルちゃん‼︎お稽古をしないと‼︎」
「分かってるよマネージャーさん。すぐ終わるって……多分」
「多分……て……うきぃぃぃ‼︎」
そしてアルは再びシーカーの方を向く。シーカーは両手を合わせて頭を深く下げた。
「ちょっと頼みが……」
「な、何よ……」
「試験官としてあの女性と戦ってくれないか……」
「試験⁉︎それに女性……って?」
シーカーの後ろにあるソファーを見るとアモレは目を凝らして見ていた。するとアモレはおもむろに立ち上がり、アルを手を両手で握った。
「ま、まさか……あ、アルちゃんさんですか‼︎ダダダ大ファンです‼︎」
顔を真っ赤にし、目を離さないぐらいの鋭い顔でアルを見つめている。その迫力にアルも多少押され気味になる。でも、アイドルして笑顔を崩さずに対応した。
「……え、えぇ……そうよ。ありがとね~」
「小声で聴こえてしまって申し訳ないですが、アルちゃんさんが私と戦うってほ、本当ですか⁉︎」
「あ、いや……う~ん……」
あまりのハイテンションにアルも笑顔を崩してはいないが、内心超困り顔になっている。
シーカーはオーガスターにこそっと聞く。
「あの子アルのファンなの?」
「あぁ……大ファンみたいだな……」
そしてアルもアモレの押しに負けて、よく内容も分からないまま、渋々承諾した……
「えぇ……良いわよ……」
「やった‼︎やった‼︎アルちゃんさんと戦えるんだぁぁぁ‼︎」
ピョンピョン飛び跳ねて喜ぶアモレを横目に、アルは必死にマネージャーを説得している。
「30分も掛かりませんからマネージャー‼︎」
「ダメです‼︎これ以上の遅れは仕事の差し支えに‼︎」
「そこをなんとか‼︎」
「ダメったらダメ‼︎ファンでも何でもアイドルは時間が大事です‼︎1人のファンより大勢のファン‼︎そっちの方がいいんです‼︎契約やらステージ代やら、世界放送やらで色々と金が掛かっているんですから‼︎だがら……」
うだうだとうるさく言うマネージャーにイラつきを覚えた瞬間「ぐへっ⁉︎」と情けない声を上げてマネージャーはその場に倒れた。
「1人のファンも大勢のファンも大事ですね……アルちゃん‼︎」
それはSyoがフライパンで頭を叩き、気絶させたようだ。
「……Syo君」
「礼なんていらないよ‼︎アルちゃんは事前にいっぱい練習してるから、多少の時間なら大丈夫ってファンブックに書いてあったからね‼︎」
「ありがとう……Syo君」
シーカーは呆れて見ていた。
「なんのドラマだよ……さっさと試験を始めるぜ‼︎」
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