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第2章 骸帝編
第36話 vs二人の鬼神!!
しおりを挟む「まぁ、アモレ……からアルと試験に挑んでもらう……が、普通に決闘か?」
悩むシーカーは決闘方法をアモレに聞く。
「私は何でもいいわ、でもするなら戦いの方がいいかな」
「考えるより、先に手を出せって事か……」
するとオーガスターはソファーから立ち上がり、前に堂々と出てきた。
「せっかく男女コンビがいるんだ、ここはタッグバトルってのはどうかなぁ?」
「タッグバトル……か、う~ん……」
するとアルとアモレは、すぐに息が合ったように同時に手を挙げた。
「私は賛せ~い‼︎……っ?」
アモレがアルに拳を突き出し、ドヤ顔で挑発してきた。
「私の柳……じゃなくてオーガスターはとても強いわよ~あんな紫色の芋男に負けるわけがないわよ~」
「な、芋男……シーカーだって貴方の男を簡単に倒して見せるわ‼︎」
さっきまでアルちゃんさんと言っていたが、急にオーガスターの事になった途端、態度が変わりアルに挑発をしてきた。2人は睨み合い、膠着状態になった。
そしてシーカーは芋男と言われ、微妙に悩んだ顔になり、それをSyoに聞く。
「芋男って褒め言葉?」
「自分で調べろ……」
するとオーガスターは一旦シーカーに話しかけて来た。
「シーカー、あんたは自分の事をどう思っている?」
「どうゆう事だ?」
「強いと思っているか、弱いと思っているか」
その問い、シーカーは悩む事なくはっきりと言った。
「そんなのは分かる訳がねぇ、今も昔も自分の事を最強と思った事はない。もし世界ランキングで1位なったとしてもだ、ランキングにいないだけで、俺より強い奴がごまんといるかもしれない。逆に最強は1つの弱点にもなるからな」
「ふふ……はっはっはっは‼︎」
その答えを聞き、オーガスターは口を大きく開けて高らかに大笑いした。その大笑いにアモレもアルも睨み合いが止まってしまった。
「俺と同じだ、強さを求めない。ただ戦いに夢中になった、すると俺は気づいたら日本ランキング1位になった。だがそれが終着点ではない、もちろん世界1位になってもだ‼︎1位だろうが最下位だろうが、考える事は一緒だ‼︎俺より強い奴を探し……倒す‼︎」
「それがオーガスターか……」
「この世界で鬼神と呼ばれ、戦いを挑む者が減って飽き飽きしていた。だが、シーカー‼︎お前の噂を聞いたら胸の中にいる鼓動を激しく俺を呼び覚まして来た‼︎勝負と行こう‼︎」
その圧倒的迫力に押され気味なSyoはシーカーにこそっと聞く。
「予想と違って熱血系の人っぽいな……」
「あぁ……迫力も心も常人以上だ……身体が震えてしょうがねぇ……ワクワクして来たぜ」
そしてシーカーは前に出てオーガスターに聞く。
「よし‼︎ならバトルフィールドはどうする‼︎」
「俺の作ったフィールドはどうだ⁉︎」
「作ったフィールド?」
オーガスターはフィールドの説明を簡単に言う。
「決闘用に作ったフィールドだ、特殊ルールに地図による位置確認はなし、召喚獣なし、2対2のどっちかが居なくなるまでの勝負だ。フィールドの中身は来てからのお楽しみだ」
「なら早速行くぞ‼︎」
そう言うとアルがシーカーの元にしかめっ面の急ぎ足で来た。
「タッグバトルって……本当に大丈夫なの⁉︎」
「そもそもお前が手挙げたんじゃねぇか?」
「……そうだけど……」
「まぁ何とかなるって、そこは‼︎お前は強いんだからな‼︎」
そう言われるとアルはパァーッと花が咲いたみたいに笑顔になった。
「強い……私が……」
「あぁ、凄く強いさ‼︎」
「私……頑張ります‼︎」
ーーーーーーーーーーーーーー
移動したフィールドは大量の木が生い茂っており、変な昆虫が飛び交っている森のようだった。
シーカー達は全員別々の場所に配置され、オーガスターが言った通り、地図には敵と味方の場所は一切分からない状態である。
シーカーはメサで地図を見るが場所は全然分からなかった。
「本当にお互いの場所は分かんないようだな……」
背後からは海のせせらぎの音が聞こえて、風を感じた。その方向へと行くと、そこには海があり20mほどの崖がある。ここは絶海の孤島であった。
「……」
アルもそのフィールドに現れ、周りを見渡す。
「まるでピュアース草原みたいな場所ね……気味が悪いわ……」
「フィールドにいる者共‼︎よく聞け‼︎」
「⁉︎」
空からオーガスターの声が響き渡った。オーガスターが戦いの説明を始めた。
「今から30分間‼︎この絶海の孤島で戦いを行う‼︎敵も味方も場所は分からない‼︎見つけて倒すんだ‼︎ルールとしては海に落とされるか、又は体力0になったらそこで脱落となる‼︎味方を先に見つけるか、敵を先に見つけるか……そこは運次第だ‼︎」
シーカーは意気揚々に拳を鳴らし、戦いを待ち遠しくしている。
「さぁ‼︎いつでもOKだ‼︎」
Syoはホームでノートパソコンを使い、その光景を見ていた。もちろんそこからシーカーに連絡を入れるのは不可能になっている。
「オーガスターに勝てれば仲間になってもらえるか……無理があるんじゃないか……」
「シーカー君なら勝てるんじゃないの?」
Syoの背後には海パンとゴーグルをつけたメルクリがいた。やはりいつもどおりニコニコしていた。
「いつの間に……」
「オーガスターの実力も楽しみだけど、敵のコンビネーションも気になる所だね」
「どうゆう事?」
「もしアルちゃんかシーカー達が合流するよりも早く、敵が先に合流して、2人のどちらかに2対1で勝負になったら……」
「やばい……って事?」
「それはこれからだよ」
メサから10秒のカウントが始まり、フィールドにいる全員が身構えた。ワクワクするシーカーや不気味な昆虫達に気味悪がっているアル、準備運動をしているアモレと赤くマグマのように輝いている剣を2つ握るオーガスター。
3・2・1……0‼︎
0になった途端、広さも分からないこの絶海の孤島に4人の戦士が一斉に駆け出した。
シーカーは木と木を素早く飛び移りながら、オーガスター達を探す。
「どこだ‼︎どっちでもいいから出てこーい‼︎」
アルは気持ちの悪い虫達がいる中、草の中を掻き分けて、シーカーとの合流を目指す。
「(まずはシーカーと合流を果たさないと……)」
すると近くの草むらがガサっと、大きく揺れた。
「⁉︎(誰かいるの⁉︎)」
身構えて、その方向をじっと見つめる。緊張感が高ぶり、冷や汗までもが出て来た。そして恐る恐る息を呑みながらゆっくりと近づいた。
「……」
すると草むらの中から、小さな小鳥が飛び出て来た。それにアルは「きゃっ‼︎」とびっくりして後ずさりした。心臓はバクバクと鼓動が早くなり、自分の胸に手を当て落ち着かせた。
「ふぅ……落ち着いて……落ち着いて……」
更に後ろから人の気配を感じた。それはゆっくりゆっくりと忍び寄っていた。敵か味方……迷いが生まれる中、時間制限がある事を思い出し、決心をつけて一気に振り向いた。だが、そこには誰もいなかった。
「……いない……?」
「残念ながらシーカーじゃ……ないんだな」
その声は振り返ったアルの真後ろから聞こえて来たのだ。気配も感じず、急に背後に感じた気配にアルも驚いた。
「(いつの間に⁉︎)」
咄嗟に離れて、その人物を確認する。その人物とは、オーガスターだった。羽織ったマントを脱ぎ捨て、動きやすい軽装へとなった。
「シーカーじゃないようだが、芽威からあんたの事もいっぱい聞いているぜ。武闘派アイドルってな」
「芽威……?でも、それが何よ……」
オーガスターは腕を鳴らし、アルに近づき腕を構えてポーズを整えた。
アルもすぐに構えて、攻撃出来るようにした。再び身体から出て来る冷や汗、雰囲気だけで何か強者の威圧感か押し寄せて来た。
「アイドルだろうが女だろうが、ましてや総理だろうが一切手を抜く事はしない……勝負だ‼︎」
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本当に、ありがとうございます。
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