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あなたのための私のこれから
第29話 姉の事情(16)
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イオニスの膝の上で小さくなる。
触れ合う下半身が双方裸で、しかもぬるぬるしていた。加えてイオニスはそそり立っている。
とりあえずお互い下半身を拭ってパンツを穿かないかと提案したいが、脱いだのも剥いたのも濡らしたのもすべからく俺の犯行なので、さすがに言い出しづらい。
「鎖はどちらへ?」
「消えました」
苦し紛れの質問を、すぱっと切り捨てるような即答だった。
一層縮む俺。顔も上げられず、どうすればと黙り込む俺の頭上で、何度かためらうような気配がして。
「私の伴侶になってください」
はっきりと告げられた。
「っ普通好きとか……あ、愛してるとか、そういうのを挟むものでしてよ!? 大体、どうせまた紛らわしい言葉選びなのでしょう!?」
「すみません。恋情で以て人と接した経験がなく……こうも持て余すものなのですね」
つい反射的に言い返せば、イオニスは今さら恥ずかしそうに視線を泳がせる。とても顔がいい。
「ずっとあなたに恋焦がれておりました」
声もいい……!
これは仕方ないな、仕方ない。だから――俺は肩に添えられたイオニスの右手へ、自分の左手をそっと重ねた。
「次は、お尻を叩くくらいでは許しませんので」
「レジーナ殿……!」
努めて澄まし顔を決めれば、強く抱き締められる。
「……もう」
俺は身体の力を抜いて、そっと目を閉じた。
イオニスが落ち着いて腕を緩めたところで、俺は顔を上げた。まだ訊かなければいけないことがある。
誤解が解けたら解けたで生まれた、新たな疑問。お互い思い違いはあったにせよ、両想いならば夜逃げするかのごとくいなくなった理由がわからない。
「わけをお訊きしても?」
俺の問いに、イオニスはわずかなためらいを見せた。
いいさ、待ってやるとも。これから先ずっと一緒と思えば、気長にもなれるというものだ。意気込む俺だったが、
「ラバルトの件であなたと話した後、村のご夫人が訪ねてこられて――」
俺が以前会った見合い相手との結婚を考えていて、また会う予定であり、イオニスがいると勘違いされる、俺に迷惑がかかると言われたらしい。
断らずにいたせいで勘違いされたか? 俺に言ってくれれば……ドリスさんよお。
「私は気持ちを抑え切れず、あなたの許へ……」
うん? ……夢ではなかったのか。
「眠るあなたの顔を眺めていたのですが、その……意識が定かではないあなたに、私はまた……」
イオニスが言葉を濁す。
「あの時のことは覚えておりますのでご心配なく。先に手を出したのは私ですわ」
「……そうでしたか。しかしあの時の私は一刻も早く、あなたから離れなければと思いました」
んーつまりつまり? 俺の早とちりにぷっつんして応じるも、俺の寝落ちで正気に戻り、私はなんて自制心がないんだーと暴走したわけね。
「私を起こして、お訊ねになればよろしかったのですわ」
「あなたを怖がらせてしまうと思いました」
「そもそも他に相手がいて、あのような告白を受け入れるわけがありませんでしょう」
「そ、う、ですね。視野が狭くなっておりました。ラバルトからも忠告されていたのに」
イオニスは噛み締めるように言って、またぎゅっとしてくる。
「これからはちゃんと相談してくださいね」
俺もイオニスの背中に腕を回した。そして――、
「……よろしいですか?」
しばらく抱き合った後、囁くように訊ねられた。
反省したのなら……うん。俺は目を閉じる。
唇に触れる、柔く温かな感触。それは今までで一番、穏やかで優しい口付けだった。
俺は相変わらずイオニスの膝の上だが、逞しい胸に背中を預けてと少し状況が変わっていた。背後から伸びる手が、一方的に身体を弄ってくる。
すでに一回した後ではあるし、すぐに入れてくれても構わなかったのだが。やはり心配だから、念のためにとのことだ。
大切にされて悪い気はせず、俺はイオニスに身を委ねたのだった。
「ん……♥」
少し下を見れば、イオニスの手に揉まれる俺のおっぱいが視界に入る。
男の大きな手にも余る巨乳が歪められる光景はいやらしい。さりげなく親指で先っぽを押し捏ねてくるあたりもとてもいやらしい。なのに手付きそのものはとても優しくて、まるで壊れ物でも扱うかのようだ。
嫌ではない。むしろ気持ちいいが……こちらだけが喘ぐしかない状況に加え、まだ理性を保てる刺激なのでつい身の置き方を考えてしまう。これまでは何かを考える余裕なんてなかった。
要するに、すごく照れるんだよ!
「ん……あ……♥」
とはいえ叫ぶのは心の中だけに止める。
「あ……」
イオニスの右手は俺の腹をゆっくりと撫でながら下りていき、足の間に潜り込んだ。
「んん……♥」
少し擦れただけなのに、甘い震えが走る。
太い指は濡れた筋を数回なぞった後、陰核をゆっくりと練り回し、さらには入口のごく浅い所を擦り始める。
「ん……んん……っ♥」
気持ちいいが、なかなか奥へきてくれないもどかしさがどんどん湧いてくる。さりとてねだるなんてことも到底できるわけがなくて、俺は荒い息を吐きながら耐え忍んだ。
「あ……ん……っ♥」
しばらくすると、ついに指が奥へ向かう。
俺は押し広げられていく感覚に感じ入るが、これもまた、少し進んでは止まることを繰り返される。
いいかげん焦らしすぎだろう。むむうと視線を向ければ、イオニスはいたく真面目くさった顔をしていた。
思えば尻に当たるあれは、今にもはち切れんばかり。かなり我慢していることが窺える。
「そこまで念入りに、なさらなくて、も……」
「……もう少しだけ」
「……イオニスさん、は……」
イオニスの手がぴたりと止まる。
「初めてを、やり直したいですか?」
触れ合う下半身が双方裸で、しかもぬるぬるしていた。加えてイオニスはそそり立っている。
とりあえずお互い下半身を拭ってパンツを穿かないかと提案したいが、脱いだのも剥いたのも濡らしたのもすべからく俺の犯行なので、さすがに言い出しづらい。
「鎖はどちらへ?」
「消えました」
苦し紛れの質問を、すぱっと切り捨てるような即答だった。
一層縮む俺。顔も上げられず、どうすればと黙り込む俺の頭上で、何度かためらうような気配がして。
「私の伴侶になってください」
はっきりと告げられた。
「っ普通好きとか……あ、愛してるとか、そういうのを挟むものでしてよ!? 大体、どうせまた紛らわしい言葉選びなのでしょう!?」
「すみません。恋情で以て人と接した経験がなく……こうも持て余すものなのですね」
つい反射的に言い返せば、イオニスは今さら恥ずかしそうに視線を泳がせる。とても顔がいい。
「ずっとあなたに恋焦がれておりました」
声もいい……!
これは仕方ないな、仕方ない。だから――俺は肩に添えられたイオニスの右手へ、自分の左手をそっと重ねた。
「次は、お尻を叩くくらいでは許しませんので」
「レジーナ殿……!」
努めて澄まし顔を決めれば、強く抱き締められる。
「……もう」
俺は身体の力を抜いて、そっと目を閉じた。
イオニスが落ち着いて腕を緩めたところで、俺は顔を上げた。まだ訊かなければいけないことがある。
誤解が解けたら解けたで生まれた、新たな疑問。お互い思い違いはあったにせよ、両想いならば夜逃げするかのごとくいなくなった理由がわからない。
「わけをお訊きしても?」
俺の問いに、イオニスはわずかなためらいを見せた。
いいさ、待ってやるとも。これから先ずっと一緒と思えば、気長にもなれるというものだ。意気込む俺だったが、
「ラバルトの件であなたと話した後、村のご夫人が訪ねてこられて――」
俺が以前会った見合い相手との結婚を考えていて、また会う予定であり、イオニスがいると勘違いされる、俺に迷惑がかかると言われたらしい。
断らずにいたせいで勘違いされたか? 俺に言ってくれれば……ドリスさんよお。
「私は気持ちを抑え切れず、あなたの許へ……」
うん? ……夢ではなかったのか。
「眠るあなたの顔を眺めていたのですが、その……意識が定かではないあなたに、私はまた……」
イオニスが言葉を濁す。
「あの時のことは覚えておりますのでご心配なく。先に手を出したのは私ですわ」
「……そうでしたか。しかしあの時の私は一刻も早く、あなたから離れなければと思いました」
んーつまりつまり? 俺の早とちりにぷっつんして応じるも、俺の寝落ちで正気に戻り、私はなんて自制心がないんだーと暴走したわけね。
「私を起こして、お訊ねになればよろしかったのですわ」
「あなたを怖がらせてしまうと思いました」
「そもそも他に相手がいて、あのような告白を受け入れるわけがありませんでしょう」
「そ、う、ですね。視野が狭くなっておりました。ラバルトからも忠告されていたのに」
イオニスは噛み締めるように言って、またぎゅっとしてくる。
「これからはちゃんと相談してくださいね」
俺もイオニスの背中に腕を回した。そして――、
「……よろしいですか?」
しばらく抱き合った後、囁くように訊ねられた。
反省したのなら……うん。俺は目を閉じる。
唇に触れる、柔く温かな感触。それは今までで一番、穏やかで優しい口付けだった。
俺は相変わらずイオニスの膝の上だが、逞しい胸に背中を預けてと少し状況が変わっていた。背後から伸びる手が、一方的に身体を弄ってくる。
すでに一回した後ではあるし、すぐに入れてくれても構わなかったのだが。やはり心配だから、念のためにとのことだ。
大切にされて悪い気はせず、俺はイオニスに身を委ねたのだった。
「ん……♥」
少し下を見れば、イオニスの手に揉まれる俺のおっぱいが視界に入る。
男の大きな手にも余る巨乳が歪められる光景はいやらしい。さりげなく親指で先っぽを押し捏ねてくるあたりもとてもいやらしい。なのに手付きそのものはとても優しくて、まるで壊れ物でも扱うかのようだ。
嫌ではない。むしろ気持ちいいが……こちらだけが喘ぐしかない状況に加え、まだ理性を保てる刺激なのでつい身の置き方を考えてしまう。これまでは何かを考える余裕なんてなかった。
要するに、すごく照れるんだよ!
「ん……あ……♥」
とはいえ叫ぶのは心の中だけに止める。
「あ……」
イオニスの右手は俺の腹をゆっくりと撫でながら下りていき、足の間に潜り込んだ。
「んん……♥」
少し擦れただけなのに、甘い震えが走る。
太い指は濡れた筋を数回なぞった後、陰核をゆっくりと練り回し、さらには入口のごく浅い所を擦り始める。
「ん……んん……っ♥」
気持ちいいが、なかなか奥へきてくれないもどかしさがどんどん湧いてくる。さりとてねだるなんてことも到底できるわけがなくて、俺は荒い息を吐きながら耐え忍んだ。
「あ……ん……っ♥」
しばらくすると、ついに指が奥へ向かう。
俺は押し広げられていく感覚に感じ入るが、これもまた、少し進んでは止まることを繰り返される。
いいかげん焦らしすぎだろう。むむうと視線を向ければ、イオニスはいたく真面目くさった顔をしていた。
思えば尻に当たるあれは、今にもはち切れんばかり。かなり我慢していることが窺える。
「そこまで念入りに、なさらなくて、も……」
「……もう少しだけ」
「……イオニスさん、は……」
イオニスの手がぴたりと止まる。
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