器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。

武雅

文字の大きさ
40 / 121

お約束のトラブル2

しおりを挟む
絡んで来た冒険者と訓練場で戦う事になったけど、なんかギャラリーは賭けを始めてるし、相手は凶悪な笑みを浮かべてるし…。

なんでこんな事になったのかと思っていると、バイルと呼ばれてるガラの悪い冒険者が斬りかかって来る。
「おらぁ~、死ねや!!」

明らかに技術とか関係なしに腕力で剣を振るうスタイルのようで、バイルの動きを冷静になってよく見ると次に何処を狙って来るのかが何となくわかる。
うん、よくよく考えたら無言で斬りかかって来るリビングアーマーとかの方が怖いし動きも予測しずらかったけど、人相とガラが悪いだけで力任せに剣を振るだけの相手だと自分でも驚く程気持ちに余裕が出来たきがする。

カトレアやリビングアーマーよりも動きは遅いし何より剣を力任せに大振りするだけで余裕で躱せる。
後は、相手を倒す方法だけど、とりあえず剣を抜き魔力を纏わせたら、バイルが剣を振り下ろす瞬間に合わせて剣で横に薙ぐ。
剣と剣がぶつかり合った瞬間、若干の手ごたえはあった物の自分の剣はスッパリとバイルの剣を斬る。

「なぁ、なぁ、何しやがったぁ~~~!!!」
慌てて後ろに飛びのいたバイルは、自信の剣が真ん中あたりから綺麗に斬られている事に驚き、夢でも見ているかのように剣を見つめている。

「いや、普通に剣を振っただけだけど、何で剣に魔力を纏わせてないの? 基本って聞いたんだけど?」
「はぁ? 剣に魔力を纏わせるだぁ~? 何が基本だ!! 普通はそんな事簡単に出来るもんじゃ無いんだよ!!」

バイルは斬られた剣を握ったまま怒鳴り声を上げる。
「そうなの? まあその辺は後でカトレアに聞くとして武器無しでまだやるんですか? 剣も半分の長さになっちゃいましたし、魔力を纏わせることが出来ないなら自分の剣を防げませんよ?」
そんな自分の言葉にバイルは苦虫を嚙み潰したような顔をし地面に唾を吐く。

「くそっが!!」
そう言うと、バイルはそのまま背を向けて訓練場を出て行ってしまった。

「勝者カツヒコ!!」
ダイルンさんが自分の勝利を告げると、そのまま残ったオッズのメンバーに「次は誰だ?」 と問いかけているが、声をかけられたオッズのメンバーはお互いを見合った後、そのまま訓練場を出て行ってしまった。

魔法使いぽい人いたからどんな魔法を使うのか少し楽しみにしてたんだけど…。
訓練場に居るギャラリーはオッズと言うパーティーが勝つ方に賭けていたであろう人達が訓練場を出て行ったオッズの4人組にブーイングを飛ばし、自分に賭けていたと思われる人は大喜びしてる。
まさか自分の倍率高かった?

そんな事を思いつつ、自分も訓練場を後にしようとすると、ギャラリーの中から、筋肉隆々で露出度が高い鎧を着たお姉さんが飛び出してきた。

「おい、あんた名は何て言うの!」
「カツヒコですがどうかしましたか?」

「そうかカツヒコか、その歳で魔纏を扱えるのは珍しい逸材だ! 1つ私と立ち会いな!」
「嫌ですよ、戦う理由無いし、明らかにさっきの人達より強そうだもん!」

「ガァハハハハハ!!! 当たり前だ! 行くぞ!!!」
そう言うとお姉さんは筋肉を隆起させたと思った瞬間、手に持ったバトルアックスで斬りかかる。

「うわぁ!! いきなりすぎるし、戦うなんて言ってないし!!!!」
そう言いながらバトルアックスを避け、距離を取る。
この人、見かけに見合わず動き早いし動きに無駄がない、何より自分より体格が良いから圧がすごいうえに、腹筋はバキバキに割れてるし、何より胸元の谷間がすごい!!
これは絶対に垂れてない!!!

「私はルイーズって言うんだ、一応Bランクの冒険者よ!」
「いや、BランクがDランクに襲い掛かるってどうなんですか!!!!」

「ふん、夜這いをされたわけでも無いんだ、男ならランクなんて気にせずかかってきな!!」
そう言いながらルイーズと名乗った女冒険者はバトルアックスを器用に操って襲い掛かる。
何とか剣で防いではいるけど、一撃一撃が重く、剣とバトルアックスがぶつかるとその度に剣が弾かれ身体が後ろに飛ばされる。
この人も武器に魔力を纏わせてる。
ていうかバトルアックスの柄が約1メートル以上はある上に両刃の斧は50センチぐらい、合計で2メートル近い長さの得物だけど、柄を持つ位置を変えて間合いに変化を与え反撃の隙を与えてくれない。

「なんだぁ~、こんなもんかぁ~? 本気出してかかって来いよ、私は魔法をあまり使わないけどカツヒコは使ってもいいんだぞ。 男だったら本気でかかってきな! それともカツヒコには付いてないのか? それとも縮こまってるのか~?」

「いやいや、ルイーズさんあなた一応女性でょ! なんて事サラッと言ってるんですか!!」

一旦間合いを取ったルイーズさんに向かってそう言いながら、左手の指先に魔力を集め、バスケットボール大の火の玉をイメージし連射する。

「おお! 魔法も使えるんじゃないか! いいね~、手加減なんかしないで本気で撃ってきな! こんなんじゃムダ毛処理代わりにもならないよ!」
「いや、女性がそのセリフおかしいですから!!!」

火弾を気にぜず一気に間合いを詰めて来るルイーズさん、恐らくこのまま普通に正面からぶつかっても押し返されるのが目に見えるので、身体強化をし体と剣に魔力を今以上に流し込み勢いよく前に出る。
間合いに入ったのかルイーズさんが顔がニヤリと笑った気がした瞬間、地面を強く踏み込み勢いを止め、その際に行き場を失った力で身体を回転させるように身をひねり遠心力を利用して剣を叩きこむ。

ガキィィィーン!!
ドッス!!!!!

金属と金属がぶつかり合った音がした直後、腹にバトルアックスの石突が突き刺さり鈍い音と共にそのまま訓練場の壁まで飛ばされる。

「う~ん、まだまだだね~。 最後の一撃は良かったけど無駄に回転した事で私の動きから目を離したのが失敗だね。 とは言え若いくせに魔纏をそこそこ使いこなせて身体強化も魔法もスムーズに発動できる。 鍛えればもっと伸びるよ」

ルイーズさんはそう言うと、「あ~楽しかった~」と言いながら訓練場を去って行った。

ていうか、革鎧着てたけど、思いっきり痛いし、動けないんですけど…。

「まあ格上相手に一応は善戦したわね。 とは言え無駄な動きも多いし、あの女、ルイーズが言ってた通り、回転で相手から目を離したのは愚策ね」
「いや、格上相手に頑張ったんだから優しい言葉とか無いの?」

「ないわ、むしろ私からしたらあの程度なら勝てないまでももっと追い込むぐらい出来なかったことに呆れてるぐらいだわ。 まああのチンピラまがいの冒険者じゃ対人戦の練習にはならなかったし、丁度良かったじゃない」
「確かに勉強にはなったけど、痛みで体が動かない…」

そう言う自分にカトレアは「自分の限界を超えた身体強化を使った結果なんだから回復魔法を全力で使ってなおしなさい」と言われてしまった。

一応自分の身体が耐えられるぐらいの身体強化をしたつもりだったのに、いつの間にか身体にダメージを与えるぐらいの身体強化をしていたみたいだ…。

もっと身体強化の精度を上げないと、戦いが終わった後動けなくなるって最悪だからな…。

それにしてもカトレアが剣の練習をもっとしようと言う顔をしてるのが気になる…。
剣の修行も大事だけど、依頼を受けようね、依頼の合間に剣技の修行にしようね。

お願いだから剣技の修行の合間に依頼とか言わないでね…。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

処理中です...