サンライズ

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夏休み編

サンライズその8 夏休み編

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サンライズ その8 夏休み編4



翌朝。今日は雨。しとしとという感じで、近くの山のかなり低いところに雲がかかっている。

今日も何をするでもなく、だらっとして午前中を過ごしていると、巫女の荒海さんが「あれ?」と一言。

「どしたの荒海さん」

「お茶を切らしちゃって」

なるほど、高そうな器はほとんど空だった。吹浦さんはこのお茶じゃないと嫌だとか、そういう理由があるらしくて、買いに出掛けることになった。

「電車にのって行くんだけど来る?」

「そんな遠いのか」

「好きなお茶っ葉がそこにしか売ってなくて」

「そうなのか」

せっかく遠くに来たので、部屋にこもっているより有意義だと思ってついていくことにする傘をさして駅まで。こちらに来るときはバスだったから解らなかったけど、駅までがわりと遠く、三十分はかかってやっと到着。そこからは赤い列車で何駅か進む。トンネルの隙間から海がちらちら見える。疲れはとれたから、やって来た日より天気は悪いけどきれいに見えた。

大きな駅で列車を降りると、五分ほど歩いてショッピングモールに着いた。ここの中のお茶の専門店で荒海さんは慣れた感じでお茶を選ぶ。こういう専門店に入ったのははじめてなので、いろいろな茶葉を見比べる。

「もう済んだよ」

茶葉を持ち、さらに他の店もちょっと見たあと、そのショッピングセンターを後にした。天気がよければ、もっと町を見たかったが、今日はとりあえず帰ることになった。

町でも列車の中でも、聞きなれないことばを話すお年寄り、見慣れない制服を着た学生たちを見かけた。自分にとっては旅先の見知らぬ町角、しかしその人たちにとっては故郷、そんな当たり前といえば当たり前だけど、ちょっと不思議な感覚が好きだ。

再びネグラの家のもよりの駅に降り立つ。雨は小雨になり雲の隙間から青空が見えはじめた。駅から見える日本海は日差しを受け輝いていた。

今日も夜は、九尾と吹浦さんは酒が入ってどんちゃん騒ぎ、荒海さんは明日は補講がありますから、と言って家へ帰っていったのでふたりの酔っぱらいの世話をさせられた。二人が寝た頃には自分ひとりが静かな中に取り残されていた。川の流れすら聞こえてくる、そんな静かな中ではかえって眠れなかった。星を三分ほど眺めてみたあと、布団に入る。入ってしまえば眠れるだろう。

・・・・・・

何か気配を感じる。カツンカツン!窓を叩く音が聞こえ布団から出てみると、そこには・・・・・・人影。窓を開ける。

「こんばんは」

「誰?」

「夜風が涼しいですよ、遊びましょ」

なんだこいつ。頭の中にハテナマークが浮かんでいると、そのハテナマークが爆発することが。

「東海ひので君」

「なんで名前知ってるのさ」

「知ってるものは知ってるからね」

・・・・・・なんだよなんだなんだ。

「遊びに行こう」

「今から?夜中だよ」

「行こうよ、ほら」

とか言って無理やり手を引いて連れていかれる。なぜか山にさしかかる。どこに連れていくつもりだ。ごつごつしていてこけそうになる。しかし彼女(たぶん)の腕の力はやたらと強い。振りほどいて逃げるのも無理だ。それに土地勘のない夜の山は遭難しかねない。

「大丈夫?ついてこれる?」

「ちょっと休ませてくれ」

いったん休憩。山の中、まわりはやたらと静かな環境だった。さっきとはちがい彼女は何か考えているのか、静かだ。

休憩を終えさらに拉致される。山の上のほうに開けたところがあった。寝静まっている町がそこにあった。ここはどこだろう。何をされるのか。

「さっそく何かしましょ、縄跳び?竹馬?」

何を言い出すんだこいつ。

「みんな寝ているじゃないか、それに俺も眠い」

「それじゃ私の家に泊まっていきなよ」

「そうするか」

もうなんでもいい。だるい。適当に答えて建物に入る。あらかじめ敷かれていた布団に寝る。

彼女とほんのすこし話すとすぐ眠ってしまった。


続きます。



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