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神無月編
サンライズその17 神無月編
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サンライズその17 神無月編その7
十月も半分を過ぎたそんなある日の朝。体が動かない、起き上がれない。いきなりそんな状況に陥った。ケータイの目覚ましの曲がループして、そして姉さんが部屋に入ってくる。
「ひーくん朝だよ、そろそろ起きないと」
「う・・・ああ・・・・・・」
「ひーくん?」
声がうまく出せない。うぐぐ・・・・・・これはまずいかも。
「ひーくん大丈夫!?」
はるかもやってくる。口すらろくに動かせず、もごもごとも喋れない。
「はるか、ここで見てて、私は救急車呼んでくる」
きぼう姉さんは部屋を出て電話しているらしい。はるかはぽろぽろ涙をこぼす。すまない・・・・・・原因はやはり幽霊なのだろうか。それとも普段の生活習慣で体がやられてしまったのか。幽霊だろうな。すぐ救急車が到着して、病院に運ばれた。記憶が途切れ途切れだが、医者が困った顔をしたのは覚えている。そして気がつけば既に午後二時。点滴を受けていた。
「ひので君、気がついた?」
近くには湯殿が座っていた。
「まさかこうなるとはね・・・・・・ひので君、意識はある?私テレパシー使えるから、なにか考えて私に伝えて」
テレパシーだと?あいつそんなのまで使えるのか。赤の他人に心を覗かれるなんて恐ろしいな。
「ずいぶん失礼なことを考えるんだね」
人の心を覗くほうが失礼だろう。
「普段から覗いてないよ、それより今日の詳しい状況を教えて」
俺は今日起きた記憶をすべて出来るだけ詳細に思い出した。それを聞いた湯殿はうんうんと頷く。
「幽霊に体を乗っ取られつつあるのかもしれないよ、でも大丈夫。それなら解決できるから」
湯殿はそう言って廊下に出ていった。しばらかして戻ってくる。
「九尾さんの知り合いの、除霊のスペシャリストを呼んでもらったから、もうすぐなおるよ」
まじか!頼りになる。出来たらもうすぐなおるのを家族に伝えてくれ。
「おっけー」
なんだかんだで二時間くらいたって、病室に湯殿が呼んだ、除霊のスペシャリストがやってきた。まだ幼い、子供の巫女さん。
「はじめまして、東海さん」
初めまして。・・・・・・まだ小学校低学年、もしかしたら幼稚園かもしれないが、ひとりで来るとは立派なものだ。
「ひので君は今、うまく喋れないんだ、憑いてる幽霊を追い払ってもらうために呼んだんだよ」
「わかりました、やります。東海さん目を閉じてください」
目を閉じて待っていると子供の巫女さんは呪文を唱える。そして・・・・・・
「目を開けてください、もう大丈夫ですよ」
「・・・・・・はろー。ないすとぅーみーちゅー」
「喋った!」
喋れる。腕も動かせる。体も動かせる。よっしゃあああああああっ!!!
「巫女さんありがとう」
「どういたしまして」
やっと復帰だあああああっ!と急に立ち上がって、点滴の台車がバランスを崩し倒れてきて竿の先が直撃し頭を抱えることになった。
治ってもすぐ退院とはいくわけもなく、「幽霊に取りつかれている」というのが原因なら科学ではわかりようもないし、それを話してみれば余計に長引きそうなので、大人しく病院で過ごすことになった。きぼう姉さんやはるかだって、単に幽霊の仕業だとは考えていないだろう。巫女さんに治してもらった俺と、湯殿や九尾の部下といった妖怪たちのみが解ることだった。
結局退院したのはそれから一週間もあと、十月も終わりに差し掛かっていた。九尾もそろそろ帰ってくるころだろう。敵もひとり撃破、ひとり祓ったわけだし、そんなに脅威でもあるまい。
続きます。次回神無月編完結です。
十月も半分を過ぎたそんなある日の朝。体が動かない、起き上がれない。いきなりそんな状況に陥った。ケータイの目覚ましの曲がループして、そして姉さんが部屋に入ってくる。
「ひーくん朝だよ、そろそろ起きないと」
「う・・・ああ・・・・・・」
「ひーくん?」
声がうまく出せない。うぐぐ・・・・・・これはまずいかも。
「ひーくん大丈夫!?」
はるかもやってくる。口すらろくに動かせず、もごもごとも喋れない。
「はるか、ここで見てて、私は救急車呼んでくる」
きぼう姉さんは部屋を出て電話しているらしい。はるかはぽろぽろ涙をこぼす。すまない・・・・・・原因はやはり幽霊なのだろうか。それとも普段の生活習慣で体がやられてしまったのか。幽霊だろうな。すぐ救急車が到着して、病院に運ばれた。記憶が途切れ途切れだが、医者が困った顔をしたのは覚えている。そして気がつけば既に午後二時。点滴を受けていた。
「ひので君、気がついた?」
近くには湯殿が座っていた。
「まさかこうなるとはね・・・・・・ひので君、意識はある?私テレパシー使えるから、なにか考えて私に伝えて」
テレパシーだと?あいつそんなのまで使えるのか。赤の他人に心を覗かれるなんて恐ろしいな。
「ずいぶん失礼なことを考えるんだね」
人の心を覗くほうが失礼だろう。
「普段から覗いてないよ、それより今日の詳しい状況を教えて」
俺は今日起きた記憶をすべて出来るだけ詳細に思い出した。それを聞いた湯殿はうんうんと頷く。
「幽霊に体を乗っ取られつつあるのかもしれないよ、でも大丈夫。それなら解決できるから」
湯殿はそう言って廊下に出ていった。しばらかして戻ってくる。
「九尾さんの知り合いの、除霊のスペシャリストを呼んでもらったから、もうすぐなおるよ」
まじか!頼りになる。出来たらもうすぐなおるのを家族に伝えてくれ。
「おっけー」
なんだかんだで二時間くらいたって、病室に湯殿が呼んだ、除霊のスペシャリストがやってきた。まだ幼い、子供の巫女さん。
「はじめまして、東海さん」
初めまして。・・・・・・まだ小学校低学年、もしかしたら幼稚園かもしれないが、ひとりで来るとは立派なものだ。
「ひので君は今、うまく喋れないんだ、憑いてる幽霊を追い払ってもらうために呼んだんだよ」
「わかりました、やります。東海さん目を閉じてください」
目を閉じて待っていると子供の巫女さんは呪文を唱える。そして・・・・・・
「目を開けてください、もう大丈夫ですよ」
「・・・・・・はろー。ないすとぅーみーちゅー」
「喋った!」
喋れる。腕も動かせる。体も動かせる。よっしゃあああああああっ!!!
「巫女さんありがとう」
「どういたしまして」
やっと復帰だあああああっ!と急に立ち上がって、点滴の台車がバランスを崩し倒れてきて竿の先が直撃し頭を抱えることになった。
治ってもすぐ退院とはいくわけもなく、「幽霊に取りつかれている」というのが原因なら科学ではわかりようもないし、それを話してみれば余計に長引きそうなので、大人しく病院で過ごすことになった。きぼう姉さんやはるかだって、単に幽霊の仕業だとは考えていないだろう。巫女さんに治してもらった俺と、湯殿や九尾の部下といった妖怪たちのみが解ることだった。
結局退院したのはそれから一週間もあと、十月も終わりに差し掛かっていた。九尾もそろそろ帰ってくるころだろう。敵もひとり撃破、ひとり祓ったわけだし、そんなに脅威でもあるまい。
続きます。次回神無月編完結です。
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