短編秋・冬編/ゲーセンの巫女

湯殿たもと

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ゲーセンの巫女

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ゲーセンの巫女


閑古鳥っていうのがどういう鳥なのか知らないけど(かっこうらしい)、こおろぎや鈴虫やまつむしは必死に鳴いている。そんな山里に私の暮らす村がある。ちんちろりん、りんりん、ぎーぎー。本当に虫しかいない。

私は神社の家に生まれたのだけど、兄は巫女で食べていくことは厳しいから勉強して就職するしかないという。高校を卒業したら外に出て働くのか。現に兄は隣町で働いている。

でも、私はこの家や村や自然や神社が大好きだから、できたらこの村で暮らしたい。

外を掃除していると近所のおじいさんやおばあさんが声をかけてくれる。

「この村を盛り上げるにはどうしたらいいでしょうか・・・」

「そうじゃな、ここは山の上の高校と隣町の中間にある。学生が集えるところがあれば良いんじゃが・・・」

「そうですねぇ」


思い付いてしまった。これしかない。


二ヶ月後。

神社の敷地に出来たのはゲームセンター。

「わあ何か作ってると思ったらゲーセンか!どこにそんな金があった!?」

「倉にいろいろあったじゃん?壺とか。あれを東京のそういう店に売ってきたらなんと」

「勝手に売るな!ったく。しかしゲーセンなんて作ってどうするんだ」

「山の上の高校の学生をターゲットにして巻き上げるの」

「そう上手く行くとは思えないけどなぁ」


こうして「アミューズメントセンターミコ」は平日の夕方と土日に営業を開始した。予想通り上の高校から生徒がたくさんやって来た。格闘ゲーム、リズムゲーム、UFOキャッチャー、ホッケー、プリクラ、ガンシューティング、なんでもある。

ゲームをすると小腹が空くから、近所の方におはぎやおにぎりを作ってもらってそれも売り出した。なかなか売り上げは上々。

「案外人がくるもんなんだなぁ。でもな、ブームってものがあるからな。これからはそうはいかんぞ」

兄は意地悪なことを言う。今にみてろ。


オープンから二週間ほどたったある日、家に新聞記者が来た。おはぎが美味しくてSNSで話題となっているという。ゲームをしないでおはぎだけ買いに来る人もいるらしい。全く知らなかった。記者の取材の近所の人と答える。取材が終わると近所のおじいさんがこんなことを言う。

「ゲームセンターが賑わっているのは良いことじゃが、少しマナーの悪い学生がいるのじゃ、少し正してほしいのう」


ゲームセンター内では確かに順番を守らない人がいた。格闘ゲームで遊んでいる男子高校生だった。

「そこの男子・・・さん、順番は守ってね、後ろ並んでるでしょ」

そこには男子小学生が一人並んでいた。

「うるせーよ、そんなの勝手だろ」

「そうだよ」

「ソーダソーダ!」

「いうことを聞けないっていうんだね?」

「なんだよやんのか?!」

「こいつのしちゃいましょうアニキ」

「ゲームで、勝負だよっ」

「望むところだ!」


・・・・・・

「私の勝ち」

「くっ女子でこんなに強いとは」

「大丈夫ですかアニキ」

「今度から順番守ってね、マナーを守った上で練習して、また勝負しようね」

「今度こそは俺が勝つからな!それまで誰にも負けるんじゃないぞ!アネキ」

いつの間にアネキと呼ばれている。握手を求められてそれに答える。

小学生が笑顔で格闘ゲームの椅子に座る。

「僕もお姉さんと対戦したいな」

小学生はニコニコ笑顔でそういった。

「いいよ!待たせたね。勝負だよっ」


小学生はニコニコ笑顔だったのに、ボコボコにやられ泣きっ面で帰ったのは言うまでもなかった。

「アネキ、さすがに小学生には手加減しないと・・・」

「あちゃ~」


ゲーセンの巫女 完
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