3 / 5
ゲーセンの巫女
しおりを挟む
ゲーセンの巫女
閑古鳥っていうのがどういう鳥なのか知らないけど(かっこうらしい)、こおろぎや鈴虫やまつむしは必死に鳴いている。そんな山里に私の暮らす村がある。ちんちろりん、りんりん、ぎーぎー。本当に虫しかいない。

私は神社の家に生まれたのだけど、兄は巫女で食べていくことは厳しいから勉強して就職するしかないという。高校を卒業したら外に出て働くのか。現に兄は隣町で働いている。
でも、私はこの家や村や自然や神社が大好きだから、できたらこの村で暮らしたい。
外を掃除していると近所のおじいさんやおばあさんが声をかけてくれる。
「この村を盛り上げるにはどうしたらいいでしょうか・・・」
「そうじゃな、ここは山の上の高校と隣町の中間にある。学生が集えるところがあれば良いんじゃが・・・」
「そうですねぇ」
思い付いてしまった。これしかない。
二ヶ月後。
神社の敷地に出来たのはゲームセンター。
「わあ何か作ってると思ったらゲーセンか!どこにそんな金があった!?」
「倉にいろいろあったじゃん?壺とか。あれを東京のそういう店に売ってきたらなんと」
「勝手に売るな!ったく。しかしゲーセンなんて作ってどうするんだ」
「山の上の高校の学生をターゲットにして巻き上げるの」
「そう上手く行くとは思えないけどなぁ」
こうして「アミューズメントセンターミコ」は平日の夕方と土日に営業を開始した。予想通り上の高校から生徒がたくさんやって来た。格闘ゲーム、リズムゲーム、UFOキャッチャー、ホッケー、プリクラ、ガンシューティング、なんでもある。
ゲームをすると小腹が空くから、近所の方におはぎやおにぎりを作ってもらってそれも売り出した。なかなか売り上げは上々。
「案外人がくるもんなんだなぁ。でもな、ブームってものがあるからな。これからはそうはいかんぞ」
兄は意地悪なことを言う。今にみてろ。
オープンから二週間ほどたったある日、家に新聞記者が来た。おはぎが美味しくてSNSで話題となっているという。ゲームをしないでおはぎだけ買いに来る人もいるらしい。全く知らなかった。記者の取材の近所の人と答える。取材が終わると近所のおじいさんがこんなことを言う。
「ゲームセンターが賑わっているのは良いことじゃが、少しマナーの悪い学生がいるのじゃ、少し正してほしいのう」
ゲームセンター内では確かに順番を守らない人がいた。格闘ゲームで遊んでいる男子高校生だった。
「そこの男子・・・さん、順番は守ってね、後ろ並んでるでしょ」
そこには男子小学生が一人並んでいた。
「うるせーよ、そんなの勝手だろ」
「そうだよ」
「ソーダソーダ!」
「いうことを聞けないっていうんだね?」
「なんだよやんのか?!」
「こいつのしちゃいましょうアニキ」
「ゲームで、勝負だよっ」
「望むところだ!」
・・・・・・
「私の勝ち」
「くっ女子でこんなに強いとは」
「大丈夫ですかアニキ」
「今度から順番守ってね、マナーを守った上で練習して、また勝負しようね」
「今度こそは俺が勝つからな!それまで誰にも負けるんじゃないぞ!アネキ」
いつの間にアネキと呼ばれている。握手を求められてそれに答える。
小学生が笑顔で格闘ゲームの椅子に座る。
「僕もお姉さんと対戦したいな」
小学生はニコニコ笑顔でそういった。
「いいよ!待たせたね。勝負だよっ」
小学生はニコニコ笑顔だったのに、ボコボコにやられ泣きっ面で帰ったのは言うまでもなかった。
「アネキ、さすがに小学生には手加減しないと・・・」
「あちゃ~」
ゲーセンの巫女 完
閑古鳥っていうのがどういう鳥なのか知らないけど(かっこうらしい)、こおろぎや鈴虫やまつむしは必死に鳴いている。そんな山里に私の暮らす村がある。ちんちろりん、りんりん、ぎーぎー。本当に虫しかいない。

私は神社の家に生まれたのだけど、兄は巫女で食べていくことは厳しいから勉強して就職するしかないという。高校を卒業したら外に出て働くのか。現に兄は隣町で働いている。
でも、私はこの家や村や自然や神社が大好きだから、できたらこの村で暮らしたい。
外を掃除していると近所のおじいさんやおばあさんが声をかけてくれる。
「この村を盛り上げるにはどうしたらいいでしょうか・・・」
「そうじゃな、ここは山の上の高校と隣町の中間にある。学生が集えるところがあれば良いんじゃが・・・」
「そうですねぇ」
思い付いてしまった。これしかない。
二ヶ月後。
神社の敷地に出来たのはゲームセンター。
「わあ何か作ってると思ったらゲーセンか!どこにそんな金があった!?」
「倉にいろいろあったじゃん?壺とか。あれを東京のそういう店に売ってきたらなんと」
「勝手に売るな!ったく。しかしゲーセンなんて作ってどうするんだ」
「山の上の高校の学生をターゲットにして巻き上げるの」
「そう上手く行くとは思えないけどなぁ」
こうして「アミューズメントセンターミコ」は平日の夕方と土日に営業を開始した。予想通り上の高校から生徒がたくさんやって来た。格闘ゲーム、リズムゲーム、UFOキャッチャー、ホッケー、プリクラ、ガンシューティング、なんでもある。
ゲームをすると小腹が空くから、近所の方におはぎやおにぎりを作ってもらってそれも売り出した。なかなか売り上げは上々。
「案外人がくるもんなんだなぁ。でもな、ブームってものがあるからな。これからはそうはいかんぞ」
兄は意地悪なことを言う。今にみてろ。
オープンから二週間ほどたったある日、家に新聞記者が来た。おはぎが美味しくてSNSで話題となっているという。ゲームをしないでおはぎだけ買いに来る人もいるらしい。全く知らなかった。記者の取材の近所の人と答える。取材が終わると近所のおじいさんがこんなことを言う。
「ゲームセンターが賑わっているのは良いことじゃが、少しマナーの悪い学生がいるのじゃ、少し正してほしいのう」
ゲームセンター内では確かに順番を守らない人がいた。格闘ゲームで遊んでいる男子高校生だった。
「そこの男子・・・さん、順番は守ってね、後ろ並んでるでしょ」
そこには男子小学生が一人並んでいた。
「うるせーよ、そんなの勝手だろ」
「そうだよ」
「ソーダソーダ!」
「いうことを聞けないっていうんだね?」
「なんだよやんのか?!」
「こいつのしちゃいましょうアニキ」
「ゲームで、勝負だよっ」
「望むところだ!」
・・・・・・
「私の勝ち」
「くっ女子でこんなに強いとは」
「大丈夫ですかアニキ」
「今度から順番守ってね、マナーを守った上で練習して、また勝負しようね」
「今度こそは俺が勝つからな!それまで誰にも負けるんじゃないぞ!アネキ」
いつの間にアネキと呼ばれている。握手を求められてそれに答える。
小学生が笑顔で格闘ゲームの椅子に座る。
「僕もお姉さんと対戦したいな」
小学生はニコニコ笑顔でそういった。
「いいよ!待たせたね。勝負だよっ」
小学生はニコニコ笑顔だったのに、ボコボコにやられ泣きっ面で帰ったのは言うまでもなかった。
「アネキ、さすがに小学生には手加減しないと・・・」
「あちゃ~」
ゲーセンの巫女 完
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
妹の仇 兄の復讐
MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。
僕、孝之は高校三年生、十七歳。妹の茜は十五歳、高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。
その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる