短編秋・冬編/ゲーセンの巫女

湯殿たもと

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久保田義重の回想?

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久保田義重の回想


放課後、文芸部室。

「はははははは、これは傑作だ」


「なーに2ちゃんねる見て笑ってんだ」

「5ちゃんねるだよ」

「知らねー」

「三十路で恋愛経験なしなんて笑いしか出ないなははは」

「ほう、そこまで笑うなら久保田は恋愛経験あるんだろうな」

「なんで俺の話になる」

「人のこと笑うくらいだからな」

「そうか、じゃあ聞かせてやろう、これは俺が中学生のときの話だ。中二の夏休みか?、じいちゃんちの近くの夏祭りのことだ」

疑わしいが聞いておくことにする。


「俺はその祭りはいとこと行ったんだよ、あ、二つ年下の女だな。明日香いうんだけど、あすかっていうのはあしたに香りだ」

「ほう」

「で、その明日香が迷子のガキんちょ連れてきたんだよ、当時は俺もガキだけど、で、祭りの運営のところまで連れていったんだ、それで、そのガキの姉さんが十分くらいして迎えにきたんだよ」

その姉さんか。

「ま、それはどうでも良くて」

「ちょっと待て、その姉さんはどうしたんだよ」

「知らねーよ」

「知らねーよのよ、てっきりそいつと恋したんかと思ったぞ」

「違うぞ、で、迷子を帰したあと、祭りやってる神社の裏に行ったんだよ、なんとなく。そしたら綺っ麗な巫女さんが倉庫の鍵をガチャガチャやってたんだよ。巫女さんは俺と同じくらいの年に見えたな」

「その巫女さんに恋したのか」

「違うな、話は最後まで聞け、話を元に戻す。その倉庫の中から女の声が聞こえたんだよ、ごめんなさいっ!出して~って、まあ巫女さんと喧嘩した友達かなんかだろうと思ったな。年もそのくらいだったし。俺は巫女さんを注意して中の子を出してやったんだ」

「その娘か」

「最後まで聞けって。で、その中の娘がちょいとお金持ちの子供だったらしくて、お礼に好きなもの奢ってくれるっていうんだ。俺は奢られた飯久しからずっていうことで射的をやったんだよ。それで熊のぬいぐるみをまず落として、弾が余ったからチョコボールを落としたんだ。熊をそのリッチ娘にあげてチョコボールを明日香にあげたんだ」

「うんうん」

「で、祭りから帰って次の日にチョコボールを開けたんだよ、そしたら金のエンゼルだったんだよ、そしたら明日香が悪いからおもちゃ缶はもらってくれ、というんだ。おもちゃ缶そんなにもらってほしいならこっちの頼みも聞いてくれって言ったんだ。実は明日香のことが気になって仕方ありません、いとこだけど付き合ってくださいって」

「そしたら」

「大人しくおもちゃ缶もらってくれた」

「駄目じゃねーか!」

そもそも祭りのくだりいるか?この話。

「そこからだ。俺がチョコボール買うたび必ず金のエンゼルを当てるようになったのは」

久保田は鞄から未開封のチョコボールを三つ出した。アーモンド、いちご、キャラメル。

一つずつ包装を解いた。三つすべて金のエンゼルだった。

「どうだ?」

この話を信じるか信じないかは、これを読んだあなた次第です・・・









「話変わってんじゃねーか!」

完。
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