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初めての仲間
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多くの冒険者の視線がニーミャに向けられる。彼女は周りを見ないようにしているのか、視線を下に向けている。
(……まぁ、そうか。何気にこいつもこいつで苦しんでたもんな)
結論から言えば、彼女はギルドでは独りぼっちであった。
高い実力と巧みな魔法技術を持っている彼女であるが、その変わった口調や尊大な態度が裏目に見たのか、近寄ってくる人は誰もいなかった。
さらに、幼い体型や女性など様々な要因からバカにされることも多くない。
勇者であるアリシア達がいることで女性による差別は無くなってはいるが……それでも完全になくなることはなかった。
「……失望したか?」
すると、ニーミャが力無く笑いそう言ってきた。
「お主には高々と宣言したが、中々上手くいかなくてな。強さはあっても、どうにも出来んことがあるとはのぉ……ははっ、なんだか笑ってしまうのじゃ」
「……見返してやるとは思わなかったのか?」
「思ったさ。それに何度も奴らには実力を示してきた。だが……どんなことをしても我に近づこうとする者はいない。一人がこんなに寂しいものとは思わなかったのじゃ」
「………」
「……お主にも飛び火が散るかもしれんからな。そろそろ我は行くとしよう……また会おう、カラ」
そう言って、ニーミャは足を引きずりながら俺から離れようと、ギルドの出口へと歩いて行った。
——見捨てるのか?
頭の中でそんな声が聞こえてきた。誰の声かは……薄々分かっている。それに、聞こえてなくても原作のお前と同じように行動するだろうぜ。
心の中でそう呟き、俺は彼女のその華奢な腕を掴んだ。
「……カラ?まだ何か用があるのか?」
「あぁ、一つ聞きたいことがあってな。パーティーの編成ってどうすればいい?」
「?パーティー??……それはまた別の登録をせねばならんから、また受付のところに行く必要があるが……」
「そうか……じゃあ行くか」
そのままニーミャの腕を引っ張って再び受付場に行こうとする。
「か、カラ!?何をするのじゃ!?」
だが、正気を取り戻したニーミャに止められてしまった。
「何って、そりゃあお前とパーティーを組むために登録しに行くんだが」
「ぱ、ぱぱぱぱパーティーだと!?我とか!?!?」
「あぁ、何か問題でもあるか?」
「い、いやいやいや……さっきの我の嫌われよう見たであろう?こんな我とパーティーを組んだら何されるか……」
「んなもんどうでもいいだろ。周りに言わせておけば……あーでも、方針は決めたほうが」
「お、お主はきちんと話を聞け!!!」
「?」
突如大声で遮られて首を傾げてしまった。なんだよ、そんなに嫌なのか?逆にショックを受けるんだが……。
「……坊主、そいつはやめといたほうがいいぜ」
すると、酒を飲んで椅子に座っている一人の男がそう声を掛けてきた。
周りの奴らも俺に向けられる視線が鋭い。
「そいつはぁ強さは一丁前だが、それ以外はダメダメだ。そいつの食費は高いわ、無駄にプライドは高いわ、それに加えてまだちびっこのガキだ」
「……さっきから言わせておけば……喧嘩を売っておるのか貴様?」
ニーミャがぎりっとスキンヘッドの男を睨み返して、そいつの元に向かおうとする。だが、俺は行かせないように彼女の腕を強く握る。
「……カラ、行かせてくれ。我も言われっぱなしは我慢ならん……!」
「……お前の気持ちは分かるが、少し耐えてくれ」
彼女にそう言って、俺に忠告してきたその男の方を向く。
「忠告は助かるが、俺はこいつとパーティーを組みたいんだ。だからそういう風に言うのはやめてくれ」
「……何故そこまでそいつに拘る?あんたは初心者だが、一人でもやっけけるだろ?それにもっと自分にあった人材を探すべきだ」
「……そんなこと言われたってなぁ」
俺はニーミャの方を見る。多分俺の発言に驚いたのか、可愛らしい目でパチパチと瞬きをしている。
「こいつほどの人材が他にいないからな」
たった一言、それだけ言っておいた。すると冒険者の視線がさらに鋭くなった。あ、あれ?もしかして……こいつらのこと煽っちゃったか?
……できるだけ穏便に済まそうと気をつけてたのに。
悲しんでても仕方ない。俺は改めてニーミャの方を見て言う。
「俺じゃだめか?」
「……いや、だが……ほんとにいいのか?」
「あぁ、俺がお前と組みたいんだ」
そう言うと、数秒黙り込んでしまった。
「………一つ……いや二つ、条件がある」
「……なんだ?」
「一つ、しばらくだがモガの街に居てほしいのじゃ。やらねばならんことがある。そして二つだか……」
もじもじと可愛らしく身体を動かしてから、上目遣いをして言ってきた。
「………我を、見捨てないか?」
「……あぁ。見捨てない」
「本当か?用済みとか言って我のこと捨てないか?我と一緒に居てくれるのか?」
「そう言ってるから、俺はお前と組みたいんだが……」
……まぁ少しの間モガの街に滞在するのは妥協するとしてだ。それ以上にこいつがパーティーに来てくれるだけ利点がある。
「じゃ、じゃあ……」
すると、震えながら俺に手を伸ばしてくる。
「……よろしく、お願いします」
「あぁ。こちらこそよろしく頼むよ。大魔法使いさん」
そうして俺は、初めての仲間であるニーミャとパーティーを組んだのであった。
(……まぁ、そうか。何気にこいつもこいつで苦しんでたもんな)
結論から言えば、彼女はギルドでは独りぼっちであった。
高い実力と巧みな魔法技術を持っている彼女であるが、その変わった口調や尊大な態度が裏目に見たのか、近寄ってくる人は誰もいなかった。
さらに、幼い体型や女性など様々な要因からバカにされることも多くない。
勇者であるアリシア達がいることで女性による差別は無くなってはいるが……それでも完全になくなることはなかった。
「……失望したか?」
すると、ニーミャが力無く笑いそう言ってきた。
「お主には高々と宣言したが、中々上手くいかなくてな。強さはあっても、どうにも出来んことがあるとはのぉ……ははっ、なんだか笑ってしまうのじゃ」
「……見返してやるとは思わなかったのか?」
「思ったさ。それに何度も奴らには実力を示してきた。だが……どんなことをしても我に近づこうとする者はいない。一人がこんなに寂しいものとは思わなかったのじゃ」
「………」
「……お主にも飛び火が散るかもしれんからな。そろそろ我は行くとしよう……また会おう、カラ」
そう言って、ニーミャは足を引きずりながら俺から離れようと、ギルドの出口へと歩いて行った。
——見捨てるのか?
頭の中でそんな声が聞こえてきた。誰の声かは……薄々分かっている。それに、聞こえてなくても原作のお前と同じように行動するだろうぜ。
心の中でそう呟き、俺は彼女のその華奢な腕を掴んだ。
「……カラ?まだ何か用があるのか?」
「あぁ、一つ聞きたいことがあってな。パーティーの編成ってどうすればいい?」
「?パーティー??……それはまた別の登録をせねばならんから、また受付のところに行く必要があるが……」
「そうか……じゃあ行くか」
そのままニーミャの腕を引っ張って再び受付場に行こうとする。
「か、カラ!?何をするのじゃ!?」
だが、正気を取り戻したニーミャに止められてしまった。
「何って、そりゃあお前とパーティーを組むために登録しに行くんだが」
「ぱ、ぱぱぱぱパーティーだと!?我とか!?!?」
「あぁ、何か問題でもあるか?」
「い、いやいやいや……さっきの我の嫌われよう見たであろう?こんな我とパーティーを組んだら何されるか……」
「んなもんどうでもいいだろ。周りに言わせておけば……あーでも、方針は決めたほうが」
「お、お主はきちんと話を聞け!!!」
「?」
突如大声で遮られて首を傾げてしまった。なんだよ、そんなに嫌なのか?逆にショックを受けるんだが……。
「……坊主、そいつはやめといたほうがいいぜ」
すると、酒を飲んで椅子に座っている一人の男がそう声を掛けてきた。
周りの奴らも俺に向けられる視線が鋭い。
「そいつはぁ強さは一丁前だが、それ以外はダメダメだ。そいつの食費は高いわ、無駄にプライドは高いわ、それに加えてまだちびっこのガキだ」
「……さっきから言わせておけば……喧嘩を売っておるのか貴様?」
ニーミャがぎりっとスキンヘッドの男を睨み返して、そいつの元に向かおうとする。だが、俺は行かせないように彼女の腕を強く握る。
「……カラ、行かせてくれ。我も言われっぱなしは我慢ならん……!」
「……お前の気持ちは分かるが、少し耐えてくれ」
彼女にそう言って、俺に忠告してきたその男の方を向く。
「忠告は助かるが、俺はこいつとパーティーを組みたいんだ。だからそういう風に言うのはやめてくれ」
「……何故そこまでそいつに拘る?あんたは初心者だが、一人でもやっけけるだろ?それにもっと自分にあった人材を探すべきだ」
「……そんなこと言われたってなぁ」
俺はニーミャの方を見る。多分俺の発言に驚いたのか、可愛らしい目でパチパチと瞬きをしている。
「こいつほどの人材が他にいないからな」
たった一言、それだけ言っておいた。すると冒険者の視線がさらに鋭くなった。あ、あれ?もしかして……こいつらのこと煽っちゃったか?
……できるだけ穏便に済まそうと気をつけてたのに。
悲しんでても仕方ない。俺は改めてニーミャの方を見て言う。
「俺じゃだめか?」
「……いや、だが……ほんとにいいのか?」
「あぁ、俺がお前と組みたいんだ」
そう言うと、数秒黙り込んでしまった。
「………一つ……いや二つ、条件がある」
「……なんだ?」
「一つ、しばらくだがモガの街に居てほしいのじゃ。やらねばならんことがある。そして二つだか……」
もじもじと可愛らしく身体を動かしてから、上目遣いをして言ってきた。
「………我を、見捨てないか?」
「……あぁ。見捨てない」
「本当か?用済みとか言って我のこと捨てないか?我と一緒に居てくれるのか?」
「そう言ってるから、俺はお前と組みたいんだが……」
……まぁ少しの間モガの街に滞在するのは妥協するとしてだ。それ以上にこいつがパーティーに来てくれるだけ利点がある。
「じゃ、じゃあ……」
すると、震えながら俺に手を伸ばしてくる。
「……よろしく、お願いします」
「あぁ。こちらこそよろしく頼むよ。大魔法使いさん」
そうして俺は、初めての仲間であるニーミャとパーティーを組んだのであった。
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