宮廷錬成師の私は妹に成果を奪われた挙句、『給与泥棒』と罵られ王宮を追放されました ~後になって私の才能に気付いたってもう遅い!

日之影ソラ

文字の大きさ
1 / 1

閑話 もう一人の末路(ざまぁ補足)

しおりを挟む
 ラウルスが二人の策略に嵌り、自身の罪を国王の前で暴露している頃。
 もう一人の共犯者は研究室でうなされていた。

「終わらない……何なのよ本当っ!」

 バンッとテーブルを叩き、置かれた書類の山が崩れる。
 自分でやったことに腹をたて、残っている書類を腕で薙ぎ払いまき散らかす。

「やってられないわ! こんなの一人が任される量じゃない。これに耐えられる人なんて――」

 本物の天才だけだ。
 そう思った時、彼女の脳裏には姉の姿が浮かんでしまった。
 悔しさに唇をかむ。
 彼女が姉を嫌う一番の理由、それは嫉妬だった。
 気付いていたのだ。
 同じ錬成師だからこそ、姉の規格外の才能に。
 それに見合っただけの努力を、日々積み重ねていたことに。
 そうして気付いた時には大きな差が出来ていた。
 生まれた時間は関係ない。
 才能と努力。
 どちらも劣っている自分では、姉の代わりは務まらない。
 
「何なのよ……いなくなっても邪魔するの?」

 実感してしまったことで、彼女の中の劣等感は膨れ上がる。
 すでに気付いているかもしれないが、彼女は過去の過ちを忘れている。
 その場の勢いで、姉への仕返しで。
 自分の劣等感を慰めるためだけに、人の死に関与したことを。

「失礼する! 宮廷錬成師セリカ・ローレンス」
「え? な、なんでしょう?」

 つけの回収が遅れてやってきた。
 彼女の研究室には険しい表情をした騎士たちが入り込んでくる。
 三人の騎士のうち二人が、セリカの左右に立つ。

「貴女には第一王子暗殺に関与した疑いがかけられている! 真偽を陛下の元で語っていただきたい」
「え、え?」

 ここでようやく思い出す。
 自分の罪を。
 
「ま、待ってください!」
「ご同行願おう。すでに陛下と、元第二王子がお待ちだ」
「元?」
「そうだ」

 彼女の理解が追いつかない。
 それも仕方がないだろう。
 誰も予想していなかったはずだ。
 第二王子が肉親を暗殺したことも、ボロを出すことすら。
 何もわからないまま、二人の騎士に腕を掴まれ引っ張られる。
 
「早く来てください。弁明するなら早いほうが良い。もっとも、元第二王子が自白された時点で……貴女が重罪人であることは変わりませんが」
「そ、そんな……」
 
 彼女は抵抗する力を失う、なすがままに連れていかれる。
 因果応報。
 劣等感を補う方法に、姉を陥れる選択をとってしまった時点で、こうなる未来は確定していた。
 本当の天才で、愚直に努力し、成果を挙げた人こそ報われる。
 身をもって体感した彼女は、次こそ反省できるだろうか?
 もっとも、今世で期待するには……遅すぎた。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
おまけで投稿しておきました。

新作も投稿中です。

『宮廷を追放された錬金術師、善人たちの旅団に拾われ幸せを手に入れる ~私の才能に今更気付いてももう遅い!』

ページ下部にリンクがありますのでよければどうぞ。
しおりを挟む
感想 22

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(22件)

月城 月華
2022.04.18 月城 月華

題名が変更してあります。
作者様の名前でさがしていただければ、なろうばんあります。
ご参考までに

解除
alex
2021.11.23 alex

とても面白そうな作品ですし続きが読みたいです。
しかし「小説家になろう」で、どうしても見つけられません。(泣)

解除
A・l・m
2021.07.23 A・l・m

なろ側の感想が閉じられてるんだなぁ。

王子毒は設計のみ完了時点で『お断り』
レシピを盗まれ『誰かさん』が制作しました。

解除

あなたにおすすめの小説

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

追放された悪役令嬢、規格外魔力でもふもふ聖獣を手懐け隣国の王子に溺愛される

黒崎隼人
ファンタジー
「ようやく、この息苦しい生活から解放される!」 無実の罪で婚約破棄され、国外追放を言い渡された公爵令嬢エレオノーラ。しかし彼女は、悲しむどころか心の中で歓喜の声をあげていた。完璧な淑女の仮面の下に隠していたのは、国一番と謳われた祖母譲りの規格外な魔力。追放先の「魔の森」で力を解放した彼女の周りには、伝説の聖獣グリフォンをはじめ、可愛いもふもふ達が次々と集まってきて……!? 自由気ままなスローライフを満喫する元悪役令嬢と、彼女のありのままの姿に惹かれた「氷の王子」。二人の出会いが、やがて二つの国の運命を大きく動かすことになる。 窮屈な世界から解き放たれた少女が、本当の自分と最高の幸せを見つける、溺愛と逆転の異世界ファンタジー、ここに開幕!

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」 「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」 「ま、まってくださ……!」 「誰が待つかよバーーーーーカ!」 「そっちは危な……っあ」

聖女は神の力を借りて病を治しますので、神の教えに背いた病でいまさら泣きついてきても、私は知りませんから!

甘い秋空
恋愛
神の教えに背いた病が広まり始めている中、私は聖女から外され、婚約も破棄されました。 唯一の理解者である王妃の指示によって、幽閉生活に入りましたが、そこには……

【短編】婚約破棄?「喜んで!」食い気味に答えたら陛下に泣きつかれたけど、知らんがな

みねバイヤーン
恋愛
「タリーシャ・オーデリンド、そなたとの婚約を破棄す」「喜んで!」 タリーシャが食い気味で答えると、あと一歩で間に合わなかった陛下が、会場の入口で「ああー」と言いながら膝から崩れ落ちた。田舎領地で育ったタリーシャ子爵令嬢が、ヴィシャール第一王子殿下の婚約者に決まったとき、王国は揺れた。王子は荒ぶった。あんな少年のように色気のない体の女はいやだと。タリーシャは密かに陛下と約束を交わした。卒業式までに王子が婚約破棄を望めば、婚約は白紙に戻すと。田舎でのびのび暮らしたいタリーシャと、タリーシャをどうしても王妃にしたい陛下との熾烈を極めた攻防が始まる。

姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました

饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。 わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。 しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。 末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。 そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。 それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は―― n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。 全15話。 ※カクヨムでも公開しています

前妻の子であった私は義母義妹に虐げられていましたが、ある日城へ行ったことをきっかけに人生が変わりました。

四季
恋愛
前妻の子であった私は義母義妹に虐げられていましたが、ある日城へ行ったことをきっかけに人生が変わりました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。