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第一章
17.もしかしてピンチ?
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決闘の翌日。
いつも通り登校した私は、偶然ユートを見つけた。
「チラチラ見られてますね」
「そうだな」
「それにちょっと距離が遠い気がします」
「仕方ないだろ」
昨日の決闘で、ユートが天才魔術師であることがわかった。
あんな場所で堂々と見せたから、噂となって広まるのも早い。
お陰でユートは注目の的になっている。
キャーキャー言われるわけでもなく、ただただ恐れられて、遠目に避けられるようになった。
「あまりいい気分ではありませんね」
「別に、あれが普通の反応だと思うし」
「そうでしょうか?」
「ああ、だから君が普通じゃないんだよ」
ユートは視線を斜め下に向ける。
私は彼の手をギュッと握り、肩と肩が触れ合うくらい近い距離で歩いていた。
「近すぎない?」
「そんなことはありませんよ」
「いや、絶対近いって」
「嫌なら離れます……」
「……別に嫌ではな――」
「だったらこのままですね!」
「おい」
昨日の戦いは、みんなにとっては彼を怖がる理由になったらしい。
でも私にとってはむしろ、彼をもっと好きになる理由になった。
だって格好良いでしょ?
自信満々だったブロア様を軽くあしらうように倒して、国家魔術師の称号まで持っているのよ。
優しくて、笑顔が素敵なだけでも十分だったのに、さらには強いなんて。
もう完璧すぎだと思わない?
「思わない人たちが多くて助かるわ」
「何の話だ?」
「いえいえ、こちらの話です」
ライバルが増えるかもって懸念していたけど、これなら大丈夫そうね。
でも逆に心配だわ。
ユートの穏やかな日々が変わってしまいそう……
「じゃあ俺はこっちだから」
「え、あ、はい」
いつの間にか教室が並ぶ長い廊下までたどり着いていた。
私とユートは違うクラスだから、ここまでしか一緒にいられない。
当たり前のことだけど、やっぱり寂しいわ。
「エミリア」
「はい?」
そんな私に、ユートは背を向けて言う。
「また昼休み、いつもの場所で」
「――はい!」
その一言だけで、私は一日中幸せな気分になれる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「おはよう、システィー」
「ようやく来たわね、エミリア」
「え、うん……」
「待っていたわよ」
教室に入った私は、システィーに声をかけた。
すると彼女はいつもと違って、何かに怒っているようにも見える。
彼女だけじゃなくて、他のクラスメイトもだ。
特に女子生徒は、私のことをジーっと見つめている。
え……えぇ?
何このただならぬ雰囲気。
待ってたって……これから私何かされちゃうの?
「エミリア」
システィーに名前を呼ばれ、私はごくりと息を飲む。
「あなたの恋人……国家魔術師ってどういうことよ!?」
「……え?」
「え?じゃないわよ! なんでそんな重要な情報教えてくれなかったの!」
「え、えぇ……だって知らなかったし」
予想外の言葉に、さすがの私もついていけなくて動揺していた。
もっとこう、怒られるというか罵られるのかと思っていたから。
よくよく考えればシスティーがそんなことするはずないけど、雰囲気的には襲われてもおかしくない感じだったわ。
「ユートが国家魔術師って、そんなに驚くことなの?」
「当たり前でしょ!」
システィーは食い気味でそう言った。
「国家魔術師といったら、誰もが憧れる超エリートよ! そんな人と付き合えるなんて女としてはものすっごいステータスじゃない! エミリアだって貴族なんだからそれくらい知ってるでしょ?」
「そ、それはもちろん知ってるわよ……」
国家魔術師に与えられている権限は、どの貴族のそれをも凌駕する。
基本的に国の許可が降りなければ出来ない魔道実験や、王族しか立ち入れないような部屋にも入ることが出来たり。
その権限をあげればキリがないほどだ。
そんなことは私も知っている。
「でも私は、そんなことでユートと一緒にいるわけじゃないもの。ただ彼のことが好きだから、傍にいたいと思うの」
「エミリア……あなたはそれで良いかもしれないわね。だけど周りはそうじゃないわ。何とかして縁を結ぼうとしてくるはずよ」
国家魔術師との縁を在学中に持てる。
そのチャンスを与えられて、黙っている者は少ない。
システィー曰く、今頃三組でも同じようなことが起きているかもしれないという話だ。
私はユートに限ってそんなことないと思ったけど……
「とりあえず紹介だけしてくれないかしら? 別にエミリアから彼を奪ったりしないわ。そもそも私には婚約者がいるし」
「え、ええ、紹介くらいなら」
「だったら私にも教えて!」
「私にもお願いしますわ!」
システィーに続いて、次から次へと申し出が飛び出す。
私はアタフタしながら思った。
昨日の決闘の影響で、ユートは余計に孤立してしまうと思っていた。
でも実際はその逆……むしろ接近したい人が増えてる。
つまり朝の視線も、怖がっているだけじゃなくて、彼にどうやって近づこうと考えていた?
しかも女の子ばかり。
これってもしかして……ピンチなのでは?
いつも通り登校した私は、偶然ユートを見つけた。
「チラチラ見られてますね」
「そうだな」
「それにちょっと距離が遠い気がします」
「仕方ないだろ」
昨日の決闘で、ユートが天才魔術師であることがわかった。
あんな場所で堂々と見せたから、噂となって広まるのも早い。
お陰でユートは注目の的になっている。
キャーキャー言われるわけでもなく、ただただ恐れられて、遠目に避けられるようになった。
「あまりいい気分ではありませんね」
「別に、あれが普通の反応だと思うし」
「そうでしょうか?」
「ああ、だから君が普通じゃないんだよ」
ユートは視線を斜め下に向ける。
私は彼の手をギュッと握り、肩と肩が触れ合うくらい近い距離で歩いていた。
「近すぎない?」
「そんなことはありませんよ」
「いや、絶対近いって」
「嫌なら離れます……」
「……別に嫌ではな――」
「だったらこのままですね!」
「おい」
昨日の戦いは、みんなにとっては彼を怖がる理由になったらしい。
でも私にとってはむしろ、彼をもっと好きになる理由になった。
だって格好良いでしょ?
自信満々だったブロア様を軽くあしらうように倒して、国家魔術師の称号まで持っているのよ。
優しくて、笑顔が素敵なだけでも十分だったのに、さらには強いなんて。
もう完璧すぎだと思わない?
「思わない人たちが多くて助かるわ」
「何の話だ?」
「いえいえ、こちらの話です」
ライバルが増えるかもって懸念していたけど、これなら大丈夫そうね。
でも逆に心配だわ。
ユートの穏やかな日々が変わってしまいそう……
「じゃあ俺はこっちだから」
「え、あ、はい」
いつの間にか教室が並ぶ長い廊下までたどり着いていた。
私とユートは違うクラスだから、ここまでしか一緒にいられない。
当たり前のことだけど、やっぱり寂しいわ。
「エミリア」
「はい?」
そんな私に、ユートは背を向けて言う。
「また昼休み、いつもの場所で」
「――はい!」
その一言だけで、私は一日中幸せな気分になれる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「おはよう、システィー」
「ようやく来たわね、エミリア」
「え、うん……」
「待っていたわよ」
教室に入った私は、システィーに声をかけた。
すると彼女はいつもと違って、何かに怒っているようにも見える。
彼女だけじゃなくて、他のクラスメイトもだ。
特に女子生徒は、私のことをジーっと見つめている。
え……えぇ?
何このただならぬ雰囲気。
待ってたって……これから私何かされちゃうの?
「エミリア」
システィーに名前を呼ばれ、私はごくりと息を飲む。
「あなたの恋人……国家魔術師ってどういうことよ!?」
「……え?」
「え?じゃないわよ! なんでそんな重要な情報教えてくれなかったの!」
「え、えぇ……だって知らなかったし」
予想外の言葉に、さすがの私もついていけなくて動揺していた。
もっとこう、怒られるというか罵られるのかと思っていたから。
よくよく考えればシスティーがそんなことするはずないけど、雰囲気的には襲われてもおかしくない感じだったわ。
「ユートが国家魔術師って、そんなに驚くことなの?」
「当たり前でしょ!」
システィーは食い気味でそう言った。
「国家魔術師といったら、誰もが憧れる超エリートよ! そんな人と付き合えるなんて女としてはものすっごいステータスじゃない! エミリアだって貴族なんだからそれくらい知ってるでしょ?」
「そ、それはもちろん知ってるわよ……」
国家魔術師に与えられている権限は、どの貴族のそれをも凌駕する。
基本的に国の許可が降りなければ出来ない魔道実験や、王族しか立ち入れないような部屋にも入ることが出来たり。
その権限をあげればキリがないほどだ。
そんなことは私も知っている。
「でも私は、そんなことでユートと一緒にいるわけじゃないもの。ただ彼のことが好きだから、傍にいたいと思うの」
「エミリア……あなたはそれで良いかもしれないわね。だけど周りはそうじゃないわ。何とかして縁を結ぼうとしてくるはずよ」
国家魔術師との縁を在学中に持てる。
そのチャンスを与えられて、黙っている者は少ない。
システィー曰く、今頃三組でも同じようなことが起きているかもしれないという話だ。
私はユートに限ってそんなことないと思ったけど……
「とりあえず紹介だけしてくれないかしら? 別にエミリアから彼を奪ったりしないわ。そもそも私には婚約者がいるし」
「え、ええ、紹介くらいなら」
「だったら私にも教えて!」
「私にもお願いしますわ!」
システィーに続いて、次から次へと申し出が飛び出す。
私はアタフタしながら思った。
昨日の決闘の影響で、ユートは余計に孤立してしまうと思っていた。
でも実際はその逆……むしろ接近したい人が増えてる。
つまり朝の視線も、怖がっているだけじゃなくて、彼にどうやって近づこうと考えていた?
しかも女の子ばかり。
これってもしかして……ピンチなのでは?
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