14 / 46
三女サーシャ
④
しおりを挟む
冒険者ギルドに入ると、ボクはいろんな視線を集めた。
受付にいるお姉さんも微妙な表情で見ている。
ボクの容姿は目立つし、何より一人だから皆も不思議がっているのかもしれない。
そんな視線を気にしながら、ボクは受付に近づく。
「すみません! 冒険者登録ってここで出来るんですか?」
「え、はい。可能ですよ」
「じゃあお願いします」
「かしこまりました。ではこちらの必要事項の記入と、登録手数料をお支払いください」
「はーい」
カキカキと書類に名前を書く。
希望理由という欄には、昔からの憧れだったと記入した。
それから空欄を埋めていって、書き終わった書類を受付のお姉さんに提出する。
「お願いします」
「はい。確認いたしますので、しばらくお待ちください」
しばらく待つ。
その間も、周囲からの視線が気になって仕方がない。
明日からは目立たないように、フードでも被ってきたほうがいいのかな。
二分くらい経ってから、受付のお姉さんが戻って来た。
手にはカードを持っている。
「お待たせいたしました。こちらが冒険者カードになります。冒険者としての身分を証明する物ですので、依頼中は持ち歩くことをお勧めします」
「はい!」
「続いて、これは任意なのですが、冒険者についての説明をご希望されますか?」
「あっ、ぜひお願いします!」
受付のお姉さんはニコリと笑う。
最初にギルドについての説明があって、その後から依頼受注に関する話をされた。
「依頼はあちらのクエストボードが選んでください。難易度な内容によって受注可能人数、報酬などの条件が異なります。最初は簡単な依頼から受けて、慣れてきてから難しい依頼に挑戦することをお勧めしています」
「なるほどぉ~」
「それとこれが一番重要ですが、冒険者になったばかりの方は、基本的に一人では依頼を受けられません」
「えっ、そうなんですか?」
「はい。一か月間は、必ず二人以上のパーティーで依頼を受けて頂きます」
受付のお姉さんの話によると、これは最近になって決まったことらしい。
何でも新人の冒険者が無茶をして、これまでに何人も命を落としているからだという。
「で、でもボクこの街に来たばかりで、知り合いとかもいないし」
「でしたらクエストボードを確認すると良いです。あそこには依頼以外にも、パーティーメンバー募集の張り紙もありますから」
「わ、わかりました」
とにかくパーティーに入らないと、冒険者として働けないのか。
少なくとも一か月はお世話になれる人たちを見つけないと。
「説明は以上になります。何か質問等はございますか?」
「いいえ、大丈夫です! ありがとうございました」
「はい。では最後に一つだけ――」
そう言って、お姉さんは窓口からボクに顔を近づける。
耳元でこっそりと言う。
「パーティー選びは気を付けてくださいね? 貴女みたいに可愛い女の子は、変なトラブルに巻き込まれやすいですから。くれぐれも、危ない人たちには関わらないように」
「はい!」
お姉さんは心配してくれていたようだ。
初めて会ったばかりのボクに、親切にしてくれて嬉しい。
ボクはニコリと笑ってお礼を言う。
「ありがとうございます」
「いえいえ。何かございましたら気兼ねなくおっしゃってください」
冒険者ギルドはもっと怖い場所だと思っていたけど、何だかホッとする。
さて、さっそくパーティーを探さないと。
クエストボードに行けば募集の張り紙があるんだっけ?
後は変な人たちに関わらないように……
ふと、ホールの端っこに座る一人の男性に目が行った。
どことなく危ない雰囲気の中年男性だ。
左腕がない所為もあって、目に留まったのかもしれない。
あの人……一人かな?
でもでも、おじさんだしちょっと怖そう。
お姉さんにも言われたばかりだから、ああいう人には関わらないようにしないと。
でも、何でだろう?
悪い人じゃなさそうって感じがする。
それに……寂しそう。
「あの、もしかしてパーティーを探してるのかな?」
不意に後ろから話しかけられた。
バッと勢いよく振り向くと、三人の若い男性三人が立っていた。
ボクに声をかけたのは、真ん中にいる人だろう。
「ボクですか?」
「そう。良かったらウチに入らない? ちょうど一人募集しようと思ってたんだよ」
「え、いいんですか?」
「うん。そんなに強くないけど、俺たちのパーティーで良ければ」
見た目は普通のやさしそうなお兄さんたち。
快く声をかけてくれたし、たぶん悪い人たちじゃなさそう。
「ぜひお願いします!」
だからボクは、彼らのパーティーに加わることにした。
「ありがたいよ。この間に一人抜けちゃって、全然新しい人が見つからなかったんだ」
「そうだったんですか?」
「うん。中々ソロで活動している人って少ないからね」
ボクはチラッとおじさんに目を向ける。
ソロというなら、あの人も当てはまりそうだけど……
「あぁ~ あの人には関わらないほうが良いよ」
「えっ、どうしてですか?」
「ベテランらしいんだけど、簡単な依頼しか受けないし、基本的に一人でいる変わり者だからね。変に話しかけると、襲われるかもしれないよ」
「……そんなことはないと思うけどなぁ」
と、ボクは小さく呟いた。
受付にいるお姉さんも微妙な表情で見ている。
ボクの容姿は目立つし、何より一人だから皆も不思議がっているのかもしれない。
そんな視線を気にしながら、ボクは受付に近づく。
「すみません! 冒険者登録ってここで出来るんですか?」
「え、はい。可能ですよ」
「じゃあお願いします」
「かしこまりました。ではこちらの必要事項の記入と、登録手数料をお支払いください」
「はーい」
カキカキと書類に名前を書く。
希望理由という欄には、昔からの憧れだったと記入した。
それから空欄を埋めていって、書き終わった書類を受付のお姉さんに提出する。
「お願いします」
「はい。確認いたしますので、しばらくお待ちください」
しばらく待つ。
その間も、周囲からの視線が気になって仕方がない。
明日からは目立たないように、フードでも被ってきたほうがいいのかな。
二分くらい経ってから、受付のお姉さんが戻って来た。
手にはカードを持っている。
「お待たせいたしました。こちらが冒険者カードになります。冒険者としての身分を証明する物ですので、依頼中は持ち歩くことをお勧めします」
「はい!」
「続いて、これは任意なのですが、冒険者についての説明をご希望されますか?」
「あっ、ぜひお願いします!」
受付のお姉さんはニコリと笑う。
最初にギルドについての説明があって、その後から依頼受注に関する話をされた。
「依頼はあちらのクエストボードが選んでください。難易度な内容によって受注可能人数、報酬などの条件が異なります。最初は簡単な依頼から受けて、慣れてきてから難しい依頼に挑戦することをお勧めしています」
「なるほどぉ~」
「それとこれが一番重要ですが、冒険者になったばかりの方は、基本的に一人では依頼を受けられません」
「えっ、そうなんですか?」
「はい。一か月間は、必ず二人以上のパーティーで依頼を受けて頂きます」
受付のお姉さんの話によると、これは最近になって決まったことらしい。
何でも新人の冒険者が無茶をして、これまでに何人も命を落としているからだという。
「で、でもボクこの街に来たばかりで、知り合いとかもいないし」
「でしたらクエストボードを確認すると良いです。あそこには依頼以外にも、パーティーメンバー募集の張り紙もありますから」
「わ、わかりました」
とにかくパーティーに入らないと、冒険者として働けないのか。
少なくとも一か月はお世話になれる人たちを見つけないと。
「説明は以上になります。何か質問等はございますか?」
「いいえ、大丈夫です! ありがとうございました」
「はい。では最後に一つだけ――」
そう言って、お姉さんは窓口からボクに顔を近づける。
耳元でこっそりと言う。
「パーティー選びは気を付けてくださいね? 貴女みたいに可愛い女の子は、変なトラブルに巻き込まれやすいですから。くれぐれも、危ない人たちには関わらないように」
「はい!」
お姉さんは心配してくれていたようだ。
初めて会ったばかりのボクに、親切にしてくれて嬉しい。
ボクはニコリと笑ってお礼を言う。
「ありがとうございます」
「いえいえ。何かございましたら気兼ねなくおっしゃってください」
冒険者ギルドはもっと怖い場所だと思っていたけど、何だかホッとする。
さて、さっそくパーティーを探さないと。
クエストボードに行けば募集の張り紙があるんだっけ?
後は変な人たちに関わらないように……
ふと、ホールの端っこに座る一人の男性に目が行った。
どことなく危ない雰囲気の中年男性だ。
左腕がない所為もあって、目に留まったのかもしれない。
あの人……一人かな?
でもでも、おじさんだしちょっと怖そう。
お姉さんにも言われたばかりだから、ああいう人には関わらないようにしないと。
でも、何でだろう?
悪い人じゃなさそうって感じがする。
それに……寂しそう。
「あの、もしかしてパーティーを探してるのかな?」
不意に後ろから話しかけられた。
バッと勢いよく振り向くと、三人の若い男性三人が立っていた。
ボクに声をかけたのは、真ん中にいる人だろう。
「ボクですか?」
「そう。良かったらウチに入らない? ちょうど一人募集しようと思ってたんだよ」
「え、いいんですか?」
「うん。そんなに強くないけど、俺たちのパーティーで良ければ」
見た目は普通のやさしそうなお兄さんたち。
快く声をかけてくれたし、たぶん悪い人たちじゃなさそう。
「ぜひお願いします!」
だからボクは、彼らのパーティーに加わることにした。
「ありがたいよ。この間に一人抜けちゃって、全然新しい人が見つからなかったんだ」
「そうだったんですか?」
「うん。中々ソロで活動している人って少ないからね」
ボクはチラッとおじさんに目を向ける。
ソロというなら、あの人も当てはまりそうだけど……
「あぁ~ あの人には関わらないほうが良いよ」
「えっ、どうしてですか?」
「ベテランらしいんだけど、簡単な依頼しか受けないし、基本的に一人でいる変わり者だからね。変に話しかけると、襲われるかもしれないよ」
「……そんなことはないと思うけどなぁ」
と、ボクは小さく呟いた。
7
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
婚約したら幼馴染から絶縁状が届きました。
黒蜜きな粉
恋愛
婚約が決まった翌日、登校してくると机の上に一通の手紙が置いてあった。
差出人は幼馴染。
手紙には絶縁状と書かれている。
手紙の内容は、婚約することを発表するまで自分に黙っていたから傷ついたというもの。
いや、幼馴染だからって何でもかんでも報告しませんよ。
そもそも幼馴染は親友って、そんなことはないと思うのだけど……?
そのうち機嫌を直すだろうと思っていたら、嫌がらせがはじまってしまった。
しかも、婚約者や周囲の友人たちまで巻き込むから大変。
どうやら私の評判を落として婚約を破談にさせたいらしい。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない
あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。
王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。
だがある日、
誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。
奇跡は、止まった。
城は動揺し、事実を隠し、
責任を聖女ひとりに押しつけようとする。
民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。
一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、
奇跡が失われる“その日”に備え、
治癒に頼らない世界を着々と整えていた。
聖女は象徴となり、城は主導権を失う。
奇跡に縋った者たちは、
何も奪われず、ただ立場を失った。
選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。
――これは、
聖女でも、英雄でもない
「悪役令嬢」が勝ち残る物語。
地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ
タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。
灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。
だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。
ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。
婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。
嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。
その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。
翌朝、追放の命が下る。
砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。
――“真実を映す者、偽りを滅ぼす”
彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。
地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。
聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~
白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。
王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。
彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。
#表紙絵は、もふ様に描いていただきました。
#エブリスタにて連載しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる