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エイナざまぁ編
第52話 恐怖の手紙 (エイナside )
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※ 残酷と思われる描写がありますので、お気を付け下さい。
痛い。
悲しい。
どうして。
色々な感情が、言葉が、頭の中を駆け巡った。
ナミは言った。
反省していたなら許してあげるつもりだったと…。
反省していたなら、って、私は何を反省すれば良かったの…?
もし、その反省をしていたなら、こんな事にならなかったの…?
鏡の中に映る私は泣きはらしたせいか、別人のように醜くなっていた。
それだけじゃない。
両方の頬にバツ印がナイフで描かれ、傷から血が流れ出していた。
「あああああ」
手で頬に触れると、べたりと血がついた。
痛い。
酷い。
どうしてこんな事が出来るの…?
「もういいわ」
私の顔に傷をつけた男にナミは冷たい声で言い放つと、私の方に目を向けた。
「痛いでしょう?」
「痛いに決まっているじゃない!」
「傷の手当はしてあげるわ。私だって鬼じゃないから」
ナミはそう言うと玄関の方に歩いていき、戻ってきた時には白衣を着た老爺を連れてきた。
「手当をしてあげて」
「承知しました」
老人は持っていたカバンの中から白い布を取り出して、私に言った。
「応急処置しか出来ません。顔に傷が残る事を覚悟して下さい」
医者らしき老爺は、言われなくてもわかっている事を告げてから治療を始めた。
私の顔の傷は一生残ると言われていたから覚悟はしていたけれど、15日後、顔に巻かれていた包帯をとってみると、くっきりと傷跡が残っていて、大きく息を吐いた。
ティービーは私の頬の傷跡を見て笑う。
「お前だって同じ事をしたんだから自業自得だ。まあ、彼女達は聖女様に治してもらったみたいだけどな」
「私も治してもらえるかしら…」
「さあな」
ティービーは胸の前で腕を組み、まだ笑っている。
「何が面白いのよ!」
「ちょっとは反省したのか? 俺は悪党だと自覚しているが、お前は自覚していないようだからもっとタチが悪い」
「……私は…、どうしたらいいの?」
「俺に聞くなよ。とにかく、一人ひとりに謝ったらどうだ?」
正直、ここまでされてやっと、彼女達が私を憎んでいる事に気が付いた。
今までは親衛隊が悪いと思っていると思い込んでいた。
だけど、ナミの私に対する憎悪を目の当たりにして、少しだけ目が覚めた気がした。
「そうね…。謝るわ。それが出来るならだけど…」
私はどうせ、この場所から外へ出られないのだから、どうしようもないのよ…。
「出来るかもな。俺はまた新たにお前の事で金をもらう事になったんだ。良かったな。国に帰れるぞ」
「…どういう事…?」
「さあな。依頼者がとても金持ちだということだけ教えておいてやる。とにかく明日には出発する。夜が明ける前に出発するから準備をしておけよ」
そう言って、私の返事を待たずにティービーは家から出て行き、すぐに南京錠がかけられる音が聞こえた。
もう逃げる気はサラサラない。
だって、私にはもう昔の可愛さはない。
顔に傷がついた私なんて、きっと誰にも愛されない…。
それがわかって、やっと気が付いた。
顔に傷をつけられた彼女達は、こんな気持ちになっていたのだろうかと。
ショックで悔しかったでしょう。
しかも婚約者まで奪われて…。
そう思うと、私はテーブルに突っ伏して大声を上げて泣いた。
夜明け前、予告していたとおりにティービーが現れ、泣きはらした私を見て笑ったけれど慰めてくれる事もなく、用意された馬車に乗る様に指示してきた。
そして、私は無事に国境を越える事が出来た。
ティービーが警備隊に賄賂を渡したようだった。
新しく私が住む事になった家は、今まで住んでいた家と同じ様な木造の小さな一軒家だった。
世話係が用意されていて、家の外に出られない様にされているのは今までと一緒だ。
中に入ると、テーブルの上に手紙が置かれている事に気が付いた。
開けてみると、私宛だった。
手紙には要約すると、こう書いてあった。
『お前のせいで全て奪われた。
だから、せめてその可愛い顔で僕を慰めるように。 』
そんな事を言われても私はもう昔の私じゃないのに…。
読み進めて、差出人の名前を見てゾッとした。
この手紙の差出人は、クズーズ殿下だった。
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本作をお読みいただき、本当にありがとうございます!
エールやお気に入り登録、しおりも励みになっております。
次話から「クズーズさまぁ編」に移りますが、番外編的な話も交えつつになります。
引き続き、お読みいただけると幸せです。
そして、本日から「私にだって幸せになる権利はあるはずです!」をアルファポリスさんの方でも連載をはじめました。
ご興味ありましたら、読んでいただけますと嬉しいです。
痛い。
悲しい。
どうして。
色々な感情が、言葉が、頭の中を駆け巡った。
ナミは言った。
反省していたなら許してあげるつもりだったと…。
反省していたなら、って、私は何を反省すれば良かったの…?
もし、その反省をしていたなら、こんな事にならなかったの…?
鏡の中に映る私は泣きはらしたせいか、別人のように醜くなっていた。
それだけじゃない。
両方の頬にバツ印がナイフで描かれ、傷から血が流れ出していた。
「あああああ」
手で頬に触れると、べたりと血がついた。
痛い。
酷い。
どうしてこんな事が出来るの…?
「もういいわ」
私の顔に傷をつけた男にナミは冷たい声で言い放つと、私の方に目を向けた。
「痛いでしょう?」
「痛いに決まっているじゃない!」
「傷の手当はしてあげるわ。私だって鬼じゃないから」
ナミはそう言うと玄関の方に歩いていき、戻ってきた時には白衣を着た老爺を連れてきた。
「手当をしてあげて」
「承知しました」
老人は持っていたカバンの中から白い布を取り出して、私に言った。
「応急処置しか出来ません。顔に傷が残る事を覚悟して下さい」
医者らしき老爺は、言われなくてもわかっている事を告げてから治療を始めた。
私の顔の傷は一生残ると言われていたから覚悟はしていたけれど、15日後、顔に巻かれていた包帯をとってみると、くっきりと傷跡が残っていて、大きく息を吐いた。
ティービーは私の頬の傷跡を見て笑う。
「お前だって同じ事をしたんだから自業自得だ。まあ、彼女達は聖女様に治してもらったみたいだけどな」
「私も治してもらえるかしら…」
「さあな」
ティービーは胸の前で腕を組み、まだ笑っている。
「何が面白いのよ!」
「ちょっとは反省したのか? 俺は悪党だと自覚しているが、お前は自覚していないようだからもっとタチが悪い」
「……私は…、どうしたらいいの?」
「俺に聞くなよ。とにかく、一人ひとりに謝ったらどうだ?」
正直、ここまでされてやっと、彼女達が私を憎んでいる事に気が付いた。
今までは親衛隊が悪いと思っていると思い込んでいた。
だけど、ナミの私に対する憎悪を目の当たりにして、少しだけ目が覚めた気がした。
「そうね…。謝るわ。それが出来るならだけど…」
私はどうせ、この場所から外へ出られないのだから、どうしようもないのよ…。
「出来るかもな。俺はまた新たにお前の事で金をもらう事になったんだ。良かったな。国に帰れるぞ」
「…どういう事…?」
「さあな。依頼者がとても金持ちだということだけ教えておいてやる。とにかく明日には出発する。夜が明ける前に出発するから準備をしておけよ」
そう言って、私の返事を待たずにティービーは家から出て行き、すぐに南京錠がかけられる音が聞こえた。
もう逃げる気はサラサラない。
だって、私にはもう昔の可愛さはない。
顔に傷がついた私なんて、きっと誰にも愛されない…。
それがわかって、やっと気が付いた。
顔に傷をつけられた彼女達は、こんな気持ちになっていたのだろうかと。
ショックで悔しかったでしょう。
しかも婚約者まで奪われて…。
そう思うと、私はテーブルに突っ伏して大声を上げて泣いた。
夜明け前、予告していたとおりにティービーが現れ、泣きはらした私を見て笑ったけれど慰めてくれる事もなく、用意された馬車に乗る様に指示してきた。
そして、私は無事に国境を越える事が出来た。
ティービーが警備隊に賄賂を渡したようだった。
新しく私が住む事になった家は、今まで住んでいた家と同じ様な木造の小さな一軒家だった。
世話係が用意されていて、家の外に出られない様にされているのは今までと一緒だ。
中に入ると、テーブルの上に手紙が置かれている事に気が付いた。
開けてみると、私宛だった。
手紙には要約すると、こう書いてあった。
『お前のせいで全て奪われた。
だから、せめてその可愛い顔で僕を慰めるように。 』
そんな事を言われても私はもう昔の私じゃないのに…。
読み進めて、差出人の名前を見てゾッとした。
この手紙の差出人は、クズーズ殿下だった。
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