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プロローグ
ブツノ王国は農産物の輸出で多くの富を得ている緑豊かな国だ。国民性としては自分優先思考の人が多く、他人への思いやりが欠けていると言われている。
もちろん、すべての人がそうではない。そのような人が目立つだけで、優しい人たちはたくさんいる。
そんなブツノ王国内では百年に一度、癒しの力を持った人間が生まれると言われていた。
癒しの力というのは、人間などの動物の怪我を癒す力のことを言う。
十七年前がちょうど百年目に当たる年だった。どの家に生まれてくるかは見当がつかず、平民の家に生まれることもあった。そのこともあってか、この年は出産が特に多くなったのだそうだ。
言い伝え通りに、ソイコット伯爵家の子供が癒しの力を持って生まれてきた。赤ちゃんの時にどうやって、その子供が癒しの力を持っているのか判断できるのかというと、答えは単純なものだ。
男の子なら額に、女の子なら胸元に国の紋章が刻まれているからだ。
ソイコット伯爵家に生まれた子供は双子だった。一人が私、アビゲイルでもう一人が兄のゼッシュだった。
ゼッシュは幼い頃から癒しの力が使え、大怪我を負った人でも生きていれば助けることができた。
それに対して私は傷を治すことはできても、欠損した体の修復をすることはできなかった。両親はゼッシュのことばかり可愛がり、私のことは陰で落ちこぼれと罵ってきた。私が生まれなければ、ゼッシュはもっとすごい力を持って生まれてきたはずだというのが、両親の感想だ。
外面の良い両親だったので、使用人たちの前では差別をする様子は見せず、はたから見れば、私たち家族は仲の良い家族だったと思う。
使用人たちに助けを求めても、こんな嘘をついていたと両親に報告されるだけで、陰で父からは暴力をふるわれ、傷ができれば、他の人に気づかれないように自分で傷を癒すように命令された。
結婚してしまえば、この苦しみは終わると思っていた。
そんな考えが甘かったと実感したのは、十七歳になった時。
私の婚約者であるブツノ王国の第二王子シドロフェス様と、私の親友でありゼッシュの恋人でもあるポメラが抱き合っているシーンを目撃してからだった。
もちろん、すべての人がそうではない。そのような人が目立つだけで、優しい人たちはたくさんいる。
そんなブツノ王国内では百年に一度、癒しの力を持った人間が生まれると言われていた。
癒しの力というのは、人間などの動物の怪我を癒す力のことを言う。
十七年前がちょうど百年目に当たる年だった。どの家に生まれてくるかは見当がつかず、平民の家に生まれることもあった。そのこともあってか、この年は出産が特に多くなったのだそうだ。
言い伝え通りに、ソイコット伯爵家の子供が癒しの力を持って生まれてきた。赤ちゃんの時にどうやって、その子供が癒しの力を持っているのか判断できるのかというと、答えは単純なものだ。
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それに対して私は傷を治すことはできても、欠損した体の修復をすることはできなかった。両親はゼッシュのことばかり可愛がり、私のことは陰で落ちこぼれと罵ってきた。私が生まれなければ、ゼッシュはもっとすごい力を持って生まれてきたはずだというのが、両親の感想だ。
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