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8 絶対にお返しします!
興奮する騎士たちと別れ、必要なものを買い終えたレナリナたちは、ヨテルカ邸に向かった。
ヨテルカ邸は三階建ての木造建築で、白く塗られた壁に赤い屋根が特徴的だ。
部屋は客室を含めて50以上あり、横に広くなっている。
邸の周りには手入れされた綺麗な庭園が広がり、リヴェンが言っていたヒマワリもその中の一角で綺麗に咲き誇っていた。
レナリナよりも背の高いヒマワリを見上げる。時折、風に吹かれてユラユラ揺れるが、抱きかかえている花とは全く違い、自然な動きだ。
(本当に綺麗! それに枯れない不思議な花とも色は違うけど、見た目はそっくりだわ)
「普通の花はこういうものなのよ。覚えておいてね」
レナリナは鉢の花にそう話しかけた。すると、わかったと言わんばかりに花はくねくねと動いた。
(いや、それが普通じゃないのよ)
心の中で静かにツッコミつつ、待ってくれていたリヴェンと共に邸の中に入った。
リヴェンの母親であるティーナは、とても若々しく見える美女だった。今年で45歳になるのだが、30代前半だと言われても信じてしまうくらいだ。
最初は驚いていたティーナだったが、事情を聞いて歓迎してくれただけでなく、レナリナがヨテルカ邸に滞在することを遠慮しないように、話し相手として雇うと言ってくれた。
メイドが客室の準備をしている間、談話室でリヴェンとティーナと共に、これからのことについて話をした。
レナリナの予言者としての仕事開始は、5日後に決まった。
レナリナは今のところ、一文無しに近い。
お金が貯まるまでは、公園のベンチで営業をするつもりで、できるだけ早く開始するつもりだった。
しかし、リヴェンはそれを許さなかった。
「治安がいいとはいえ、女性一人で営業するのはやはり心配だ。うちの兵士を見張りにつけよう」
「で、ですが、今の私には兵士にお支払いするお金がありません。ただでさえ、ヨテルカ邸にお世話になるのに、これ以上ご迷惑をおかけするわけにはいきません」
「気にしなくてもいいわ。それよりも安全に商売をすることが大事よ」
「ありがとうございます」
ティーナに言われ、レナリナは重い表情でうなずいた。
露天の許可を取ることもそうだが、種を埋めるための土や鉢。雨風が少しはしのげるようにと、屋台での営業をすることにしたため、必要なものが多い。
それだけでなく、観光地で営業するとなると、どんな人間がやって来るかはわからない。やはり、兵士は必要かと考えた。
「では、お金が貯まり次第、必ずお支払いいたします!」
「気にしなくていいのに」
「いえ、絶対にお返しします!」
かかった経費や恩に対する利息は必ず返すと心に決めて、レナリナは少しの間だけ、厚意に甘えることにした。
そして5日後の初営業の日がやってきた。
朝から雲一つない晴天で、心地好い気温だ。
繁華街の治安を守る騎士たちは、仕事上、商店の店主たちとよく話をする。
そこからレナリナの評判は広がっていた。しかも、料金を安く設定していたこともあり、商売を始めた一日目にして行列ができたのだった。
ヨテルカ邸は三階建ての木造建築で、白く塗られた壁に赤い屋根が特徴的だ。
部屋は客室を含めて50以上あり、横に広くなっている。
邸の周りには手入れされた綺麗な庭園が広がり、リヴェンが言っていたヒマワリもその中の一角で綺麗に咲き誇っていた。
レナリナよりも背の高いヒマワリを見上げる。時折、風に吹かれてユラユラ揺れるが、抱きかかえている花とは全く違い、自然な動きだ。
(本当に綺麗! それに枯れない不思議な花とも色は違うけど、見た目はそっくりだわ)
「普通の花はこういうものなのよ。覚えておいてね」
レナリナは鉢の花にそう話しかけた。すると、わかったと言わんばかりに花はくねくねと動いた。
(いや、それが普通じゃないのよ)
心の中で静かにツッコミつつ、待ってくれていたリヴェンと共に邸の中に入った。
リヴェンの母親であるティーナは、とても若々しく見える美女だった。今年で45歳になるのだが、30代前半だと言われても信じてしまうくらいだ。
最初は驚いていたティーナだったが、事情を聞いて歓迎してくれただけでなく、レナリナがヨテルカ邸に滞在することを遠慮しないように、話し相手として雇うと言ってくれた。
メイドが客室の準備をしている間、談話室でリヴェンとティーナと共に、これからのことについて話をした。
レナリナの予言者としての仕事開始は、5日後に決まった。
レナリナは今のところ、一文無しに近い。
お金が貯まるまでは、公園のベンチで営業をするつもりで、できるだけ早く開始するつもりだった。
しかし、リヴェンはそれを許さなかった。
「治安がいいとはいえ、女性一人で営業するのはやはり心配だ。うちの兵士を見張りにつけよう」
「で、ですが、今の私には兵士にお支払いするお金がありません。ただでさえ、ヨテルカ邸にお世話になるのに、これ以上ご迷惑をおかけするわけにはいきません」
「気にしなくてもいいわ。それよりも安全に商売をすることが大事よ」
「ありがとうございます」
ティーナに言われ、レナリナは重い表情でうなずいた。
露天の許可を取ることもそうだが、種を埋めるための土や鉢。雨風が少しはしのげるようにと、屋台での営業をすることにしたため、必要なものが多い。
それだけでなく、観光地で営業するとなると、どんな人間がやって来るかはわからない。やはり、兵士は必要かと考えた。
「では、お金が貯まり次第、必ずお支払いいたします!」
「気にしなくていいのに」
「いえ、絶対にお返しします!」
かかった経費や恩に対する利息は必ず返すと心に決めて、レナリナは少しの間だけ、厚意に甘えることにした。
そして5日後の初営業の日がやってきた。
朝から雲一つない晴天で、心地好い気温だ。
繁華街の治安を守る騎士たちは、仕事上、商店の店主たちとよく話をする。
そこからレナリナの評判は広がっていた。しかも、料金を安く設定していたこともあり、商売を始めた一日目にして行列ができたのだった。
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