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12 夫の言い訳 ②
少しの沈黙のあと、ジェラスが顔を上げて話し始めた。
「出産が大変なものだと頭ではわかっていたつもりだった。だが、ミレイラは難産だったんだ。それで余計に体力を奪われて……」
「難産だったから奥様が亡くなったとおっしゃりたいのですか」
「そうだ。すんなり生まれてくれていれば……」
「あなたは全てをミレイラ様のせいにしないと気が済まないのですね」
フェルリアの声は冷ややかで、まるで穢れたものを見るような目でジェラスを見つめていた。
「仕方がないだろう! そうしないと私は自分を責めるしかない!」
「奥様を亡くして悲しい気持ちは理解できますし、あの時にこうすれば良かったと後悔する気持ちも分かります。ですが、母親がおらず、悲しい思いをしているのはミレイラ様も同じです。どうして寄り添うことができないのですか」
フェルリアの問いかけに、ジェラスは床に視線を落とし、先ほどのようにしばらくの間、口を開かなかった。
フェルリアは急かすことなく、静かに彼の答えを待った。
5分ほど過ぎた時、ジェラスは頭を抱えた。
「……そうだな。私の行動が妻の死を早めてしまったんだ」
「絶対にそうだとは言い切れません。それから、私が言っているのはそういう意味ではなくて、ミレイラ様の話です」
「私を慰めてくれているのか?」
「違います」
別に前妻の死をジェラスのせいだと言うつもりはないが、慰めているつもりもない。
手を頭から離し、自分を見つめるジェラスに、フェルリアはきっぱりと否定した。
ジェラスは肩を落として話し始める。
「後継ぎを生まなければならないというプレッシャーがなくなって、喜んでくれると思ったんだ」
「夫が自分以外の女性と子供を作っていた上に、それが自分のためだと言われても、一般的な女性はそれを喜ばないと思いますが?」
「そ、そうだったのか。……ということは、妻はショックを受けていたんだろうか。私を愛しているからこそ、自分も子供を産もうと思ったのか?」
「私は奥様ではないのでわかりませんが、そうかもしれませんし、本妻としての意地もあったのかもしれません。ジェラス様自身で確認なさらなかったのですか?」
責めているつもりはなかったが、ジェラスの表情はどんどん暗くなっていく。
「していない。とにかく、妻の望むようにしたいと思っただけだ」
「……それなら、ミレイラ様は何も悪くありませんわね?」
「難産じゃなければ!」
「そういう問題ではありません」
産後の経過がよくなかったのかもしれない。だが、フェルリアはそれだけではない気がした。
「出産を終えた奥様にはなんとねぎらいの言葉をかけたのですか?」
「……辛そうにしている妻を見て、こんなことなら子供を作らなければ良かったと言ったら、驚いた顔をしていた。当時、メイドに怒られたが、やはり、言ってはいけなかったんだろうか」
眉尻を下げたジェラスに、フェルリアは答える。
「奥様がどう思ったかはわかりません。ただ、私なら嫌な気持ちになっていたと思います」
「……そうか」
これで、ミレイラへの態度を改めてくれるかと期待したフェルリアだったが無駄だった。
「どちらにしても、妻の死をミレイラが早めたことは間違いない」
そう言ったジェラスの表情には、先程までの弱々しい様子は消え去り、強い意思に満ちていた。
「出産が大変なものだと頭ではわかっていたつもりだった。だが、ミレイラは難産だったんだ。それで余計に体力を奪われて……」
「難産だったから奥様が亡くなったとおっしゃりたいのですか」
「そうだ。すんなり生まれてくれていれば……」
「あなたは全てをミレイラ様のせいにしないと気が済まないのですね」
フェルリアの声は冷ややかで、まるで穢れたものを見るような目でジェラスを見つめていた。
「仕方がないだろう! そうしないと私は自分を責めるしかない!」
「奥様を亡くして悲しい気持ちは理解できますし、あの時にこうすれば良かったと後悔する気持ちも分かります。ですが、母親がおらず、悲しい思いをしているのはミレイラ様も同じです。どうして寄り添うことができないのですか」
フェルリアの問いかけに、ジェラスは床に視線を落とし、先ほどのようにしばらくの間、口を開かなかった。
フェルリアは急かすことなく、静かに彼の答えを待った。
5分ほど過ぎた時、ジェラスは頭を抱えた。
「……そうだな。私の行動が妻の死を早めてしまったんだ」
「絶対にそうだとは言い切れません。それから、私が言っているのはそういう意味ではなくて、ミレイラ様の話です」
「私を慰めてくれているのか?」
「違います」
別に前妻の死をジェラスのせいだと言うつもりはないが、慰めているつもりもない。
手を頭から離し、自分を見つめるジェラスに、フェルリアはきっぱりと否定した。
ジェラスは肩を落として話し始める。
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「夫が自分以外の女性と子供を作っていた上に、それが自分のためだと言われても、一般的な女性はそれを喜ばないと思いますが?」
「そ、そうだったのか。……ということは、妻はショックを受けていたんだろうか。私を愛しているからこそ、自分も子供を産もうと思ったのか?」
「私は奥様ではないのでわかりませんが、そうかもしれませんし、本妻としての意地もあったのかもしれません。ジェラス様自身で確認なさらなかったのですか?」
責めているつもりはなかったが、ジェラスの表情はどんどん暗くなっていく。
「していない。とにかく、妻の望むようにしたいと思っただけだ」
「……それなら、ミレイラ様は何も悪くありませんわね?」
「難産じゃなければ!」
「そういう問題ではありません」
産後の経過がよくなかったのかもしれない。だが、フェルリアはそれだけではない気がした。
「出産を終えた奥様にはなんとねぎらいの言葉をかけたのですか?」
「……辛そうにしている妻を見て、こんなことなら子供を作らなければ良かったと言ったら、驚いた顔をしていた。当時、メイドに怒られたが、やはり、言ってはいけなかったんだろうか」
眉尻を下げたジェラスに、フェルリアは答える。
「奥様がどう思ったかはわかりません。ただ、私なら嫌な気持ちになっていたと思います」
「……そうか」
これで、ミレイラへの態度を改めてくれるかと期待したフェルリアだったが無駄だった。
「どちらにしても、妻の死をミレイラが早めたことは間違いない」
そう言ったジェラスの表情には、先程までの弱々しい様子は消え去り、強い意思に満ちていた。
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