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15 頼りない夫 ②
フェルリアからの問いかけに何も答えられないジェラスの代わりに、ミサファーが笑顔で答えた。
「ジェラス様からミレイラ様に謝るようにと言われましたので、今こうして、ゼッシュと共に伺ったのです」
「ぼくはわるくないのに、どうしてあやまらないといけないんだよ」
ゼッシュは頬を膨らませて、フェルリアに文句を言った。
「ゼッシュ様、あなたがぬいぐるみを傷つけたのに、ミレイラ様のせいにしたのでしょう? それは悪いことだと教えてもらわなかったのですか?」
「そ、それはそうだけど、おかあさまのためなんだ」
「誰かのためにしたからと言って、嘘をついていいわけではありません」
フェルリアはきっぱり答えたあと、冷たい目をミサファーとジェラスに向ける。
「あなた方はどんな教育をしてこられたのですか」
「少なくとも嘘をついていいとは教えていない」
「私もジェラス様と同じです。フェルリア様、そんなに怒らなくてもいいのではないですか? ゼッシュの場合は人のためについた嘘です。子供の可愛い嘘ではないですか」
ミサファーは悪びれる様子もなく答えた。
「その結果、ミレイラ様は頬を打たれたんですよね? それは許されることなのでしょうか」
「暴力はいけないことだと思います。そのことについては、ジェラス様も反省していらっしゃいますわ。そうでしょう?」
「そ、そうだ。躾とはいえ、やりすぎだったと思っている」
(何が躾よ。感情のコントロールができなかっただけでしょう)
フェルリアは部屋の奥まで入り、怯えてベッドの上で丸まっているミレイラを守るように、ジェラスたちと対峙する。
「あなた方のミレイラ様に対する態度は看過できるものではありません。これからは、ミレイラ様に何か用事がある場合は、私を通してからにしてください」
「君にそんな権限などない!」
「私は書類上はあなたの妻なのです。そして、あなたの娘であるミレイラ様は私にとって娘になります。娘を守るのに権限など必要ないでしょう」
「父親である私も許可を取らなければならないのか」
ジェラスは苦虫を噛み潰したような顔で、フェルリアに問いかけた。フェルリアは背を向けているため見えないが、ミレイラは隠していた顔を上げ、期待を込めた眼差しでフェルリアの背中を見つめていた。
「暴力をふるう可能性がありますので必要です」
フェルリアは冷たく言い放ち、ジェラスたちに一歩近づいて話を続ける。
「子供に責任を取ることができないのであれば、その保護者が責任を取ろうとするべきです。あなた方はそんなこともできない。そんな大人にミレイラ様と会わせたくないと思うのはおかしくないことです」
「子供同士の喧嘩に責任もどうもないだろう!」
「ええ、そうですわね。子供同士の喧嘩なら喧嘩両成敗でいいでしょう。私が言っているのは、ゼッシュ様が嘘をついたことを叱るべきなのに、子供だから許せと言う。私はそれが納得できないと言っているのです。そして、そんな考えの人とミレイラ様を関わらせたくありません」
「じゃあ、どうしたらいいんだ」
ジェラスに尋ねられたフェルリアは、冷たい口調で答えた。
「先程も申し上げました通り、ミレイラ様に会いたい場合は、私を通してくださいませ」
ミサファーとジェラスを睨みつけたあと、ミレイラのほうに振り返った時には、フェルリアの表情は笑顔になっていた。
「ミレイラ様、部屋を移動しましょうか」
「……どういうこと?」
「私と同じ部屋で暮らしましょう。大きな部屋ですから二人で住んでも狭くないはずです」
「……はい!」
ミレイラは満面の笑みを浮かべて頷き、ぬいぐるみを抱きしめたまま、フェルリアに駆け寄った。
******
フェルリアがミレイラを連れて部屋から出ていくと、ジェラスが神妙な面持ちで、ミサファーに話しかけた。
「二人で話したいことがある」
「……わかりました。ゼッシュ、あなたはメイドと一緒にいなさい」
「……はい」
ジェラスは渋々といった様子で部屋を出ていく。
ミレイラの部屋ではあるが、人がいなくなったため、ジェラスはこのまま話を続けることにした。
「ミレイラ様の話でしょうか」
「いや、これからの話だ」
「……どんな話かしら」
「君とは跡継ぎの問題があったから続けていた関係だ。フェルリアが来た以上、君はもういらない」
「……は?」
今まで余裕そうだったミサファーの表情が一瞬にして歪んだ。
「ジェラス様からミレイラ様に謝るようにと言われましたので、今こうして、ゼッシュと共に伺ったのです」
「ぼくはわるくないのに、どうしてあやまらないといけないんだよ」
ゼッシュは頬を膨らませて、フェルリアに文句を言った。
「ゼッシュ様、あなたがぬいぐるみを傷つけたのに、ミレイラ様のせいにしたのでしょう? それは悪いことだと教えてもらわなかったのですか?」
「そ、それはそうだけど、おかあさまのためなんだ」
「誰かのためにしたからと言って、嘘をついていいわけではありません」
フェルリアはきっぱり答えたあと、冷たい目をミサファーとジェラスに向ける。
「あなた方はどんな教育をしてこられたのですか」
「少なくとも嘘をついていいとは教えていない」
「私もジェラス様と同じです。フェルリア様、そんなに怒らなくてもいいのではないですか? ゼッシュの場合は人のためについた嘘です。子供の可愛い嘘ではないですか」
ミサファーは悪びれる様子もなく答えた。
「その結果、ミレイラ様は頬を打たれたんですよね? それは許されることなのでしょうか」
「暴力はいけないことだと思います。そのことについては、ジェラス様も反省していらっしゃいますわ。そうでしょう?」
「そ、そうだ。躾とはいえ、やりすぎだったと思っている」
(何が躾よ。感情のコントロールができなかっただけでしょう)
フェルリアは部屋の奥まで入り、怯えてベッドの上で丸まっているミレイラを守るように、ジェラスたちと対峙する。
「あなた方のミレイラ様に対する態度は看過できるものではありません。これからは、ミレイラ様に何か用事がある場合は、私を通してからにしてください」
「君にそんな権限などない!」
「私は書類上はあなたの妻なのです。そして、あなたの娘であるミレイラ様は私にとって娘になります。娘を守るのに権限など必要ないでしょう」
「父親である私も許可を取らなければならないのか」
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「暴力をふるう可能性がありますので必要です」
フェルリアは冷たく言い放ち、ジェラスたちに一歩近づいて話を続ける。
「子供に責任を取ることができないのであれば、その保護者が責任を取ろうとするべきです。あなた方はそんなこともできない。そんな大人にミレイラ様と会わせたくないと思うのはおかしくないことです」
「子供同士の喧嘩に責任もどうもないだろう!」
「ええ、そうですわね。子供同士の喧嘩なら喧嘩両成敗でいいでしょう。私が言っているのは、ゼッシュ様が嘘をついたことを叱るべきなのに、子供だから許せと言う。私はそれが納得できないと言っているのです。そして、そんな考えの人とミレイラ様を関わらせたくありません」
「じゃあ、どうしたらいいんだ」
ジェラスに尋ねられたフェルリアは、冷たい口調で答えた。
「先程も申し上げました通り、ミレイラ様に会いたい場合は、私を通してくださいませ」
ミサファーとジェラスを睨みつけたあと、ミレイラのほうに振り返った時には、フェルリアの表情は笑顔になっていた。
「ミレイラ様、部屋を移動しましょうか」
「……どういうこと?」
「私と同じ部屋で暮らしましょう。大きな部屋ですから二人で住んでも狭くないはずです」
「……はい!」
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「……は?」
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