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17 嫌われることしかしない夫 ①
「誰だ!?」
いらついた様子でジェラスが扉を睨みながら叫んだ。すると、メイドの怯えた声が聞こえてきた。
「お取り込み中のところ申し訳ございません。ミレイラ様がどうしてもフェルリア様に会いたいとおっしゃいまして……」
「少しくらい我慢させろ!」
「行くわ。それから、消毒液があれば持ってきてほしいの」
フェルリアはジェラスを押しのけて扉を開ける。廊下にはミレイラと手をつないでいるメイド、そして護衛の兵士がいた。
「おい、フェルリア!」
「カッとなって暴力をふるうような人と、これ以上一緒にいたくありません」
フェルリアに睨みつけられただけでなく、メイドや兵士からも冷ややかな視線を向けられた。
その様子から、ジェラスは自分たちの声が廊下に漏れ出ていたのだろうと確信し、今日のところは諦めることにした。
「わかった。手をあげてすまなかった。お詫びに何か贈る」
「結構です」
ジェラスの目の前で勢いよく扉が閉められた。予想通りに事が運ばなかったことに苛つき、ジェラスは近くにあった壁に拳をぶつけた。
「くそっ!」
ジェラスが壁に拳をぶつける音が廊下にも聞こえ、ミレイラがびくりと体を震わせた。
「ミレイラ様、驚かせてごめんなさい。さあ、部屋に戻りましょうか」
「はい!」
メイドと繋いでいないほうの手をフェルリアが握ると、ミレイラは安心したのかにこっと笑って握り返した。
(ああ、なんて可愛らしいの。癒される!)
先程の怒りがみるみるうちに鎮まっていく。そんな彼女にメイドが申し訳なさげに話しかけた。
「あの、フェルリア様、余計なことをしてしまったのでしょうか」
「何を言っているの。来てくれて本当に助かったわ。もう少し遅かったら呼び鈴でジェラス様の頭を殴っていたかもしれないもの」
もし、ジェラスが文句を言うようなら、ミサファーたちのことを社交界に話すと言ってやるつもりだった。
(王女殿下の力まで借りてゼッシュ様の母親を隠そうとしたんだもの。一番バラされたくないはずよ)
そう考えながら、フェルリアの部屋のすぐ近くまで戻ってきたところで足を止めた。
フェルリアの部屋の前に、ランタンを手に黒のガウンを羽織ったミサファーが立っていたからだ。視線に気がついたミサファーは、フェルリアに軽く頭を下げる。
「夜分遅くに申し訳ございません。どうしても話しておきたいことがありまして……」
ミサファーはミレイラとメイドを一瞥し、すぐに視線をフェルリアに戻した。
(私と二人で話がしたいということね)
今日は面倒なことばかり起きる夜だとうんざりしながら、フェルリアはミレイラにお願いする。
「ミレイラ様、本当に申し訳ございません。ミサファー様とお話してもいいですか?」
「すぐにかえってくる?」
「ミレイラ様、ご心配なく。5分もかかりません」
「ごふん、って、なんびょう?」
「ミレイラ様、部屋に入って一緒に秒数を数えながら待ちましょう」
メイドに促され、ミレイラは「はい!」と元気よく頷き、フェルリアに手を振った。
「本当に申し訳ございません」
ミサファーはフェルリアの部屋の隣にある空き部屋に入るなり、頭を下げた。部屋の中はミサファーの持つランタンの明かりと、窓から入ってくる月明かりしかないため薄暗い。
「お急ぎのようですが、どんなお話なのです?」
「私とゼッシュは明日、ここを去ろうと思っています」
「……い、今、なんておっしゃいました?」
予想外の言葉に驚いたフェルリアは、ランタンの明かりに照らされたミサファーを見つめて聞き返した。
その頃、ジェラスは寝室のベッドに座って頭を抱えていた。
どうしたら、フェルリアが自分に心を許してくれるのか。
フェルリアの元婚約者のキックスのことをジェラスは詳しくは知らなかった。調べてみたところ、荒っぽいところもあったと聞いた。
実際は騎士団にいる時や、任務中など必要な時だけ荒っぽい行動になるだけなのだが、ジェラスは勘違いしてミレイラに暴力をふるい、自分はキックスと同じく勇ましい男だと見せつけようと思ったのだ。
しかし、フェルリアの反応は嫌悪感しか見えなかった。
悩んだ末出した答えは、ミレイラを自分の味方に付け、自分の良さをミレイラからアピールしたもらうことだった。
いらついた様子でジェラスが扉を睨みながら叫んだ。すると、メイドの怯えた声が聞こえてきた。
「お取り込み中のところ申し訳ございません。ミレイラ様がどうしてもフェルリア様に会いたいとおっしゃいまして……」
「少しくらい我慢させろ!」
「行くわ。それから、消毒液があれば持ってきてほしいの」
フェルリアはジェラスを押しのけて扉を開ける。廊下にはミレイラと手をつないでいるメイド、そして護衛の兵士がいた。
「おい、フェルリア!」
「カッとなって暴力をふるうような人と、これ以上一緒にいたくありません」
フェルリアに睨みつけられただけでなく、メイドや兵士からも冷ややかな視線を向けられた。
その様子から、ジェラスは自分たちの声が廊下に漏れ出ていたのだろうと確信し、今日のところは諦めることにした。
「わかった。手をあげてすまなかった。お詫びに何か贈る」
「結構です」
ジェラスの目の前で勢いよく扉が閉められた。予想通りに事が運ばなかったことに苛つき、ジェラスは近くにあった壁に拳をぶつけた。
「くそっ!」
ジェラスが壁に拳をぶつける音が廊下にも聞こえ、ミレイラがびくりと体を震わせた。
「ミレイラ様、驚かせてごめんなさい。さあ、部屋に戻りましょうか」
「はい!」
メイドと繋いでいないほうの手をフェルリアが握ると、ミレイラは安心したのかにこっと笑って握り返した。
(ああ、なんて可愛らしいの。癒される!)
先程の怒りがみるみるうちに鎮まっていく。そんな彼女にメイドが申し訳なさげに話しかけた。
「あの、フェルリア様、余計なことをしてしまったのでしょうか」
「何を言っているの。来てくれて本当に助かったわ。もう少し遅かったら呼び鈴でジェラス様の頭を殴っていたかもしれないもの」
もし、ジェラスが文句を言うようなら、ミサファーたちのことを社交界に話すと言ってやるつもりだった。
(王女殿下の力まで借りてゼッシュ様の母親を隠そうとしたんだもの。一番バラされたくないはずよ)
そう考えながら、フェルリアの部屋のすぐ近くまで戻ってきたところで足を止めた。
フェルリアの部屋の前に、ランタンを手に黒のガウンを羽織ったミサファーが立っていたからだ。視線に気がついたミサファーは、フェルリアに軽く頭を下げる。
「夜分遅くに申し訳ございません。どうしても話しておきたいことがありまして……」
ミサファーはミレイラとメイドを一瞥し、すぐに視線をフェルリアに戻した。
(私と二人で話がしたいということね)
今日は面倒なことばかり起きる夜だとうんざりしながら、フェルリアはミレイラにお願いする。
「ミレイラ様、本当に申し訳ございません。ミサファー様とお話してもいいですか?」
「すぐにかえってくる?」
「ミレイラ様、ご心配なく。5分もかかりません」
「ごふん、って、なんびょう?」
「ミレイラ様、部屋に入って一緒に秒数を数えながら待ちましょう」
メイドに促され、ミレイラは「はい!」と元気よく頷き、フェルリアに手を振った。
「本当に申し訳ございません」
ミサファーはフェルリアの部屋の隣にある空き部屋に入るなり、頭を下げた。部屋の中はミサファーの持つランタンの明かりと、窓から入ってくる月明かりしかないため薄暗い。
「お急ぎのようですが、どんなお話なのです?」
「私とゼッシュは明日、ここを去ろうと思っています」
「……い、今、なんておっしゃいました?」
予想外の言葉に驚いたフェルリアは、ランタンの明かりに照らされたミサファーを見つめて聞き返した。
その頃、ジェラスは寝室のベッドに座って頭を抱えていた。
どうしたら、フェルリアが自分に心を許してくれるのか。
フェルリアの元婚約者のキックスのことをジェラスは詳しくは知らなかった。調べてみたところ、荒っぽいところもあったと聞いた。
実際は騎士団にいる時や、任務中など必要な時だけ荒っぽい行動になるだけなのだが、ジェラスは勘違いしてミレイラに暴力をふるい、自分はキックスと同じく勇ましい男だと見せつけようと思ったのだ。
しかし、フェルリアの反応は嫌悪感しか見えなかった。
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