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16 無関係と言ってくれたのはありがたいわね
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アドルファスたちとエマオが話をしている頃、リミアリアは解毒剤作りに励んでいた。
エマオがアドルファスたちに危害を加えるのではないかと心配だったが、自分が一緒に行っても足手まといになるだけだ。
アドルファスの実力は話で聞いているし、大丈夫だと自分に言い聞かせた。
エマオは遅かれ早かれ捕まって、処刑されることになる。
(エマオ様のことだもの。アドルファス様と私が友人関係だとわかれば、減刑を頼んでくるでしょう)
エマオの件で自分に出番があるのだとすれば、彼が命乞いをする時だけだと思っていた。
解毒剤を売る以上、いつまでも、身を隠していることはできない。周りが協力してくれるとはいえ限界がある。
とりあえず、他の人に迷惑がかからないよう、エマオには自分を探すことはやめてほしいと手紙を送っておいた。
邸内の客室用の部屋を作業場に変え、リミアリアはそこで作業をしていた。
南側にある日当たりのよい部屋で、長方形の作業台と解毒剤に使うために乾燥させた薬草などが入った、小さな引き出しがたくさんある棚、休憩用のソファなど、最低限のものしか置かれていない殺風景な部屋だ。
リミアリアの作るものは、体の不調を改善するものではない。体内に入った毒を無効化させるものである。
平民にはほとんど縁のないものだが、貴族の間では多々あることだった。
リミアリアの母親もそうだった。遅効性の毒で毒見役に反応が出た時には、母は毒の入ったスープを口にしていた。
犯人は誰だかわからないまま終わっているが、リミアリアには黒幕がわかっていた。
本妻の座がほしかった継母と、愛人を愛していた実父だ。
リミアリアには意味がわからないと思ったのか、酔っていたからなのか。
酒に酔った二人が、リミアリアに暴露したことで真相を知った。次の日の二人はすっかり記憶が飛んでおり、リミアリアは助かったが、安心はできなかった。
そのために、毒草について学び、解毒剤を作っておくことで、万が一の事態に備えることにしたのだ。
継母は平民だが、薬師という、薬を作り販売することができる資格を持っており、毒にも詳しかった。
人を助けるための知識を、人の命を奪うことに応用した。
(人として信じられない行為だわ)
石で作られた大きなボウルに毒消しの草を入れてすりつぶしていると、執事が新聞を持ってやってきた。
「リミアリア様、市場に行って新聞を買ってきたのですが、これを見てください」
「ありがとう。何かおかしなことが載っていたの?」
作業の手を止め、白のエプロンを付けたまま、新聞を受け取った。
新聞社は国内に大手が三社ある。渡された新聞はそのうちの一つで、王都で起こった出来事を中心に書かれている、プリリッツ王国では一番需要があると言われている新聞だった。
執事に促されるまま新聞をめくっていくと、王都以外の領地で起こった出来事が書かれている紙面があった。
そこには、リミアリアの実家であるシウナ伯爵家のことが書かれていた。
実父はリミアリアをシウナ伯爵家から追放し、これからは何が起きても一切無関係であることを宣言していた。
「無関係と言ってくれたのはありがたいわね」
(だって、真実を暴いても私は無関係だということだもの)
夫や実家に捨てられたリミアリアだったが、彼女の表情には悲壮感はなく、母の敵を討つという強い意思に満ちていた。
――――――――――
昨年は拙作を読んでいただき、本当にありがとうございました。
楽しんでもらえるように引き続き精進してまいりますので、本年も何卒、よろしくお願いいたします。
皆さまにとって素敵な年になりますように!
エマオがアドルファスたちに危害を加えるのではないかと心配だったが、自分が一緒に行っても足手まといになるだけだ。
アドルファスの実力は話で聞いているし、大丈夫だと自分に言い聞かせた。
エマオは遅かれ早かれ捕まって、処刑されることになる。
(エマオ様のことだもの。アドルファス様と私が友人関係だとわかれば、減刑を頼んでくるでしょう)
エマオの件で自分に出番があるのだとすれば、彼が命乞いをする時だけだと思っていた。
解毒剤を売る以上、いつまでも、身を隠していることはできない。周りが協力してくれるとはいえ限界がある。
とりあえず、他の人に迷惑がかからないよう、エマオには自分を探すことはやめてほしいと手紙を送っておいた。
邸内の客室用の部屋を作業場に変え、リミアリアはそこで作業をしていた。
南側にある日当たりのよい部屋で、長方形の作業台と解毒剤に使うために乾燥させた薬草などが入った、小さな引き出しがたくさんある棚、休憩用のソファなど、最低限のものしか置かれていない殺風景な部屋だ。
リミアリアの作るものは、体の不調を改善するものではない。体内に入った毒を無効化させるものである。
平民にはほとんど縁のないものだが、貴族の間では多々あることだった。
リミアリアの母親もそうだった。遅効性の毒で毒見役に反応が出た時には、母は毒の入ったスープを口にしていた。
犯人は誰だかわからないまま終わっているが、リミアリアには黒幕がわかっていた。
本妻の座がほしかった継母と、愛人を愛していた実父だ。
リミアリアには意味がわからないと思ったのか、酔っていたからなのか。
酒に酔った二人が、リミアリアに暴露したことで真相を知った。次の日の二人はすっかり記憶が飛んでおり、リミアリアは助かったが、安心はできなかった。
そのために、毒草について学び、解毒剤を作っておくことで、万が一の事態に備えることにしたのだ。
継母は平民だが、薬師という、薬を作り販売することができる資格を持っており、毒にも詳しかった。
人を助けるための知識を、人の命を奪うことに応用した。
(人として信じられない行為だわ)
石で作られた大きなボウルに毒消しの草を入れてすりつぶしていると、執事が新聞を持ってやってきた。
「リミアリア様、市場に行って新聞を買ってきたのですが、これを見てください」
「ありがとう。何かおかしなことが載っていたの?」
作業の手を止め、白のエプロンを付けたまま、新聞を受け取った。
新聞社は国内に大手が三社ある。渡された新聞はそのうちの一つで、王都で起こった出来事を中心に書かれている、プリリッツ王国では一番需要があると言われている新聞だった。
執事に促されるまま新聞をめくっていくと、王都以外の領地で起こった出来事が書かれている紙面があった。
そこには、リミアリアの実家であるシウナ伯爵家のことが書かれていた。
実父はリミアリアをシウナ伯爵家から追放し、これからは何が起きても一切無関係であることを宣言していた。
「無関係と言ってくれたのはありがたいわね」
(だって、真実を暴いても私は無関係だということだもの)
夫や実家に捨てられたリミアリアだったが、彼女の表情には悲壮感はなく、母の敵を討つという強い意思に満ちていた。
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昨年は拙作を読んでいただき、本当にありがとうございました。
楽しんでもらえるように引き続き精進してまいりますので、本年も何卒、よろしくお願いいたします。
皆さまにとって素敵な年になりますように!
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