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17 エマオ・イランデスの焦り④ 〜エマオ視点〜
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テーブルの上に置かれた書類に目を通したエマオは、動揺を悟られないように笑顔を作って答える。
「私がわざと部下を殺すわけがないでしょう。たまたま敵と間違えて殺してしまっただけです。申し訳ないことをしたと思いますが、たまたま部下が敵の近くにいただけですよ」
「間違うことはあるだろう。だが、間違う回数が多すぎるし、目撃者は明らかに味方だとわかっていた様子だったと証言している。それに、自分も殺されかけたと言う奴らもいるんだ。無視できる話じゃない」
「アドルファス殿下! あなたは伯爵である私ではなく、平民の言葉を信じるのですか!」
(俺が故意に殺したという証拠はない。それにしても、口止めをしたのに話した奴らがいるんだな。全員、殺しておけば良かった)
黒い感情を表に出さないように心がけ、エマオは悲しんでいる表情を見せた。
そんなエマオにアドルファスは、冷たい目を向ける。
「真実を述べることに、貴族も平民も関係ない。貴族だって平気で嘘をつく人間はいるからな」
「わ、私は嘘などついていません」
もし、罪を認めれば自分がどうなるかくらい、エマオにもわかっている。
(ここは関係者に再度口止めをするしかないか)
エマオは心当たりのある部下たちを探し出し、余計なことを言うなと脅そうと考えた。
リミアリアのことは、形だけの謝罪をして許してもらおうと勝手に決めた。
そして、アドルファスにエマオは悪い人間ではないと伝えてもらおうと考えた。
(フラワが言うには、リミアリアには居場所がない。今はアドルファス殿下の世話になっているのかもしれないが、いつまでも頼っていられないだろう。俺が手を差し伸べれば泣きついてくるはずだ)
エマオはリミアリアのことを、フラワから聞いた嘘の情報しか知らない。
一般の女性のように情に訴えれば許してくれるだろうとエマオは思い込んでいた。
まずは、リミアリアと話したいが、彼女からの手紙をまだ読んでいないエマオは、彼女がどこにいるかわからない。
とにかく、会って話したいと伝えることにした。
「あの、アドルファス殿下、こんな嘘の情報のことよりも、リミアリアの居場所を教えていただけませんか」
「居場所がわかったら、どうするつもりなんだ?」
「もちろん、謝りに行きます。彼女が望むなら再婚してもいいと思っています」
再婚の話は嘘だった。ただ、アドルファスの機嫌を取るつもりでいた。
しかし、それは逆効果だった。
「再婚? リミアリアがお前と再婚なんてするわけないだろ。それよりもこの報告書に書かれていることは嘘だと言うんだな?」
アドルファスから殺気を感じたエマオは、焦った顔で首を縦に振った。
「そ、そうです! 私の功績に嫉妬した部下たちの嘘です!」
(どうして、アドルファス殿下は突然怒り出したんだ!?)
困惑しているエマオを一瞥し、アドルファスは勢いよく立ち上がった。
「お前の言い分はわかった。証拠もなしに決めつけたら、お前がリミアリアにやったことと同じになる。改めて詳しく調べさせてもらう」
「あ、あの、アドルファス殿下、今回の戦争での活躍に対して褒章はいただけるのでしょうか?」
望みを叶えてもらえるというのであれば、今回の噂を消してもらう。
そう考えていたが甘かった。
アドルファスはエマオを見下ろして告げる。
「お前に褒章をという話はあった。だが、私怨のある部下を殺したかもしれないという噂がある奴には渡せない」
「そんな……!」
「一つ忠告しておく」
「……なんでしょうか」
情けない表情でエマオはアドルファスを見つめた。
「リミアリアに近づくな」
「ど、どうしてそこまでリミアリアを気にかけるのですか!」
「友人だからだ」
アドルファスはそう答えると、剣を腰に差して部屋から出ていった。
呆然としているエマオに、カビルが微笑んで話しかける。
「これで終わりだと思わないでね」
エマオは何も言い返すこともできず、ただ、カビルたちが去っていくのを見送った。
(どうすればいい!? アドルファス殿下はリミアリアのことを友人だと言っていたが、あの雰囲気は明らかに違う! それなら、やることは一つだ)
エマオの頭に浮かんだのは、アドルファスにバレないようにリミアリアに接触し、先程考えていたように、アドルファスとの仲を取り持ってもらうことだった。
この馬鹿な男が、そんなことが不可能だということに気づくのは、それから五日後のことだった。
「私がわざと部下を殺すわけがないでしょう。たまたま敵と間違えて殺してしまっただけです。申し訳ないことをしたと思いますが、たまたま部下が敵の近くにいただけですよ」
「間違うことはあるだろう。だが、間違う回数が多すぎるし、目撃者は明らかに味方だとわかっていた様子だったと証言している。それに、自分も殺されかけたと言う奴らもいるんだ。無視できる話じゃない」
「アドルファス殿下! あなたは伯爵である私ではなく、平民の言葉を信じるのですか!」
(俺が故意に殺したという証拠はない。それにしても、口止めをしたのに話した奴らがいるんだな。全員、殺しておけば良かった)
黒い感情を表に出さないように心がけ、エマオは悲しんでいる表情を見せた。
そんなエマオにアドルファスは、冷たい目を向ける。
「真実を述べることに、貴族も平民も関係ない。貴族だって平気で嘘をつく人間はいるからな」
「わ、私は嘘などついていません」
もし、罪を認めれば自分がどうなるかくらい、エマオにもわかっている。
(ここは関係者に再度口止めをするしかないか)
エマオは心当たりのある部下たちを探し出し、余計なことを言うなと脅そうと考えた。
リミアリアのことは、形だけの謝罪をして許してもらおうと勝手に決めた。
そして、アドルファスにエマオは悪い人間ではないと伝えてもらおうと考えた。
(フラワが言うには、リミアリアには居場所がない。今はアドルファス殿下の世話になっているのかもしれないが、いつまでも頼っていられないだろう。俺が手を差し伸べれば泣きついてくるはずだ)
エマオはリミアリアのことを、フラワから聞いた嘘の情報しか知らない。
一般の女性のように情に訴えれば許してくれるだろうとエマオは思い込んでいた。
まずは、リミアリアと話したいが、彼女からの手紙をまだ読んでいないエマオは、彼女がどこにいるかわからない。
とにかく、会って話したいと伝えることにした。
「あの、アドルファス殿下、こんな嘘の情報のことよりも、リミアリアの居場所を教えていただけませんか」
「居場所がわかったら、どうするつもりなんだ?」
「もちろん、謝りに行きます。彼女が望むなら再婚してもいいと思っています」
再婚の話は嘘だった。ただ、アドルファスの機嫌を取るつもりでいた。
しかし、それは逆効果だった。
「再婚? リミアリアがお前と再婚なんてするわけないだろ。それよりもこの報告書に書かれていることは嘘だと言うんだな?」
アドルファスから殺気を感じたエマオは、焦った顔で首を縦に振った。
「そ、そうです! 私の功績に嫉妬した部下たちの嘘です!」
(どうして、アドルファス殿下は突然怒り出したんだ!?)
困惑しているエマオを一瞥し、アドルファスは勢いよく立ち上がった。
「お前の言い分はわかった。証拠もなしに決めつけたら、お前がリミアリアにやったことと同じになる。改めて詳しく調べさせてもらう」
「あ、あの、アドルファス殿下、今回の戦争での活躍に対して褒章はいただけるのでしょうか?」
望みを叶えてもらえるというのであれば、今回の噂を消してもらう。
そう考えていたが甘かった。
アドルファスはエマオを見下ろして告げる。
「お前に褒章をという話はあった。だが、私怨のある部下を殺したかもしれないという噂がある奴には渡せない」
「そんな……!」
「一つ忠告しておく」
「……なんでしょうか」
情けない表情でエマオはアドルファスを見つめた。
「リミアリアに近づくな」
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「友人だからだ」
アドルファスはそう答えると、剣を腰に差して部屋から出ていった。
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「これで終わりだと思わないでね」
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(どうすればいい!? アドルファス殿下はリミアリアのことを友人だと言っていたが、あの雰囲気は明らかに違う! それなら、やることは一つだ)
エマオの頭に浮かんだのは、アドルファスにバレないようにリミアリアに接触し、先程考えていたように、アドルファスとの仲を取り持ってもらうことだった。
この馬鹿な男が、そんなことが不可能だということに気づくのは、それから五日後のことだった。
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