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「そんな事をしたら、俺の面目が丸つぶれだろう」
素直に謝って下さるとは思っていませんでしたが、やはりそうでした。
ランドン辺境伯が偉そうに私に言うと、ラルフ様が言葉を返して下さいます。
「自分のプライドが大事なら、なぜ、調べもせずに書状を送った? 送った時点でお前はその責任を負うべきだろう」
「まさか、騙されているとは思わなかったんだ」
「そんなもの謝らなくていい言い訳にはならん」
「ラルフ、俺はブルーミング伯爵令嬢と話をしているんだ」
ランドン辺境伯は分が悪いと感じたのでしょう。
私を挑発してきます。
「ブルーミング伯爵令嬢、ラルフに守ってもらえないと何も言えないのか?」
「それはそうでしょう。あなた様は辺境伯なのですから、伯爵令嬢が言い返しますと、無礼に当たるのでしょう?」
「そうだな」
ランドン辺境伯は嫌な笑みを浮かべて頷いた後、開き直って言います。
「辺境伯として命令する。お前の無礼を許してやるかわりに、この件はなかった事にしろ」
「はい?」
「俺は手紙など送っていない。俺の名前を語った誰かの仕業だ」
「誰がそんな事を信じると思うんですか」
「信じる信じないじゃない。それが事実だ」
苛立ちをおさえながら聞くと、ランドン辺境伯は平気な顔をして私に言いましたが、納得できるわけがありません。
「ランドン辺境伯様。これ以上、自分を貶める行為はお止め下さい」
「偉そうに言うな! 俺は辺境伯だぞ!」
「そんな風に私を脅せるなら、トーディ男爵令嬢も脅して結婚なさればいいでしょう!」
「ふざけるな!」
ランドン辺境伯はテーブルに置かれていたカップを手に取り、私に向かって投げつけられました。
カップはカーペットの上に落ち、白いカーペットに茶色のシミがひろがっていきます。
「大丈夫か?」
「ありがとうございます」
私自身はラルフ様が自分の方に引き寄せて下さったので無事でした。
それにしても、パメル様といい、ランドン辺境伯といい、やる事が似たようなものですね!
怒りを物にぶつけるのはありえる事ですが、人に投げつけるなんて。
上位貴族なのですから、感情のコントロールくらいして欲しいものですが…。
「おい、ランドン。お前、自分が何をしたかわかっているのか?」
「そ、それは…」
ラルフ様の声で我に返られたのか、焦った表情になって、言い訳を探しているのか黙り込んでしまわれました。
「今の出来事に関してもそうだが、俺の婚約者に危害を加えようとしたり、中傷した事に関しては報告しておく」
「報告? …誰にだ?」
「陛下に決まってるだろ」
「陛下に!? そこまでしなくてもいいだろう!?」
ランドン辺境伯は立ち上がって抗議されますが、ラルフ様は鼻で笑われます。
「そうでもしないと、お前は自分の行動にこれからも責任をもたないだろう?」
「そんな事はない! 俺はいつだって」
「いつだっていいかげんだろう?」
「ラルフ、これはお前にやった事じゃない。ブルーミング伯爵令嬢にした事だ。お前には関係ない」
「婚約者の段階では口を出すなという事か? それを言うなら、婚約者でもなんでもないパメルに口を出すお前はどうなんだ」
ラルフ様は私の肩を抱いたまま、黙り込んだランドン辺境伯に続けます。
「お前がパメルの為に動く様に俺もリノアの為に動く。他の人間に文句を言われても仕方がないが、お前にだけは言われたくない」
辺境伯の上となると、公爵かもしくは王族となりますから、陛下の名を出されたのでしょうけど、もしかすると、ランドン辺境伯は領土を減らされる恐れがあります。
降格にならないのは以前に、ラルフ様に聞いたとおり、何かの時の為に差し出す人物だから、なのですが、本人はそれを知りませんから、辺境伯でなくなる事を恐れているのでしょう。
「頼む。止めてくれ! 罰せられたなんてなったら、パメルにもっと悪印象を与えてしまう!」
「今回、リノアにパメルへの仕打ちを責める事で、自分の株が上がるとでも考えたのか? 実際は、嘘の情報だから自分の状況を悪くしただけだけどな」
「もう二度としない! だから、公にするのは止めてくれ! 罰を与えるならパメルにばれないような罰を与えてくれ!」
ランドン辺境伯はカーペットに額をこすりつけるようにして、ラルフ様に向かって懇願します。
「どうするかは俺が決める事じゃない。俺がするのは報告する事だけだ」
「頼む、頼むよ。謝ればいいのか? ブルーミング伯爵にもちゃんと謝る。もちろん、ブルーミング伯爵令嬢にもだ!」
「あんな事を言われた後に謝罪を受けましても、何も響きませんよ。ですが、父への謝罪はお願いしたいですね」
私が冷たく言い放つと、ラルフ様が私の顔を覗き込んで尋ねてきます。
「リノアはどうしたいんだ?」
「陛下に報告されるのであれば、判断を下されるのは陛下です。ラルフ様の報告を聞かれた陛下の判断に従います」
「わかった」
ラルフ様は頷くと、すぐに扉の向こうにいる騎士の方を呼び寄せ、懇願するランドン辺境伯を無理やり立ち上がらせると、部屋から連れ出すように言いました。
「連絡が来るだろうから、それまでは家で大人しくしていろ。出歩くなよ」
「頼む、やめてくれ! 俺は全てパメルの為に!」
「パメルの事を考えるのは悪くない。だけど、お前は領民の生活や命を預かってる事も忘れるな」
ラルフ様にぴしゃりと言われると、ランドン辺境伯は言葉にならない声を上げられましたが、そのまま騎士の方に連れられていったのでした。
素直に謝って下さるとは思っていませんでしたが、やはりそうでした。
ランドン辺境伯が偉そうに私に言うと、ラルフ様が言葉を返して下さいます。
「自分のプライドが大事なら、なぜ、調べもせずに書状を送った? 送った時点でお前はその責任を負うべきだろう」
「まさか、騙されているとは思わなかったんだ」
「そんなもの謝らなくていい言い訳にはならん」
「ラルフ、俺はブルーミング伯爵令嬢と話をしているんだ」
ランドン辺境伯は分が悪いと感じたのでしょう。
私を挑発してきます。
「ブルーミング伯爵令嬢、ラルフに守ってもらえないと何も言えないのか?」
「それはそうでしょう。あなた様は辺境伯なのですから、伯爵令嬢が言い返しますと、無礼に当たるのでしょう?」
「そうだな」
ランドン辺境伯は嫌な笑みを浮かべて頷いた後、開き直って言います。
「辺境伯として命令する。お前の無礼を許してやるかわりに、この件はなかった事にしろ」
「はい?」
「俺は手紙など送っていない。俺の名前を語った誰かの仕業だ」
「誰がそんな事を信じると思うんですか」
「信じる信じないじゃない。それが事実だ」
苛立ちをおさえながら聞くと、ランドン辺境伯は平気な顔をして私に言いましたが、納得できるわけがありません。
「ランドン辺境伯様。これ以上、自分を貶める行為はお止め下さい」
「偉そうに言うな! 俺は辺境伯だぞ!」
「そんな風に私を脅せるなら、トーディ男爵令嬢も脅して結婚なさればいいでしょう!」
「ふざけるな!」
ランドン辺境伯はテーブルに置かれていたカップを手に取り、私に向かって投げつけられました。
カップはカーペットの上に落ち、白いカーペットに茶色のシミがひろがっていきます。
「大丈夫か?」
「ありがとうございます」
私自身はラルフ様が自分の方に引き寄せて下さったので無事でした。
それにしても、パメル様といい、ランドン辺境伯といい、やる事が似たようなものですね!
怒りを物にぶつけるのはありえる事ですが、人に投げつけるなんて。
上位貴族なのですから、感情のコントロールくらいして欲しいものですが…。
「おい、ランドン。お前、自分が何をしたかわかっているのか?」
「そ、それは…」
ラルフ様の声で我に返られたのか、焦った表情になって、言い訳を探しているのか黙り込んでしまわれました。
「今の出来事に関してもそうだが、俺の婚約者に危害を加えようとしたり、中傷した事に関しては報告しておく」
「報告? …誰にだ?」
「陛下に決まってるだろ」
「陛下に!? そこまでしなくてもいいだろう!?」
ランドン辺境伯は立ち上がって抗議されますが、ラルフ様は鼻で笑われます。
「そうでもしないと、お前は自分の行動にこれからも責任をもたないだろう?」
「そんな事はない! 俺はいつだって」
「いつだっていいかげんだろう?」
「ラルフ、これはお前にやった事じゃない。ブルーミング伯爵令嬢にした事だ。お前には関係ない」
「婚約者の段階では口を出すなという事か? それを言うなら、婚約者でもなんでもないパメルに口を出すお前はどうなんだ」
ラルフ様は私の肩を抱いたまま、黙り込んだランドン辺境伯に続けます。
「お前がパメルの為に動く様に俺もリノアの為に動く。他の人間に文句を言われても仕方がないが、お前にだけは言われたくない」
辺境伯の上となると、公爵かもしくは王族となりますから、陛下の名を出されたのでしょうけど、もしかすると、ランドン辺境伯は領土を減らされる恐れがあります。
降格にならないのは以前に、ラルフ様に聞いたとおり、何かの時の為に差し出す人物だから、なのですが、本人はそれを知りませんから、辺境伯でなくなる事を恐れているのでしょう。
「頼む。止めてくれ! 罰せられたなんてなったら、パメルにもっと悪印象を与えてしまう!」
「今回、リノアにパメルへの仕打ちを責める事で、自分の株が上がるとでも考えたのか? 実際は、嘘の情報だから自分の状況を悪くしただけだけどな」
「もう二度としない! だから、公にするのは止めてくれ! 罰を与えるならパメルにばれないような罰を与えてくれ!」
ランドン辺境伯はカーペットに額をこすりつけるようにして、ラルフ様に向かって懇願します。
「どうするかは俺が決める事じゃない。俺がするのは報告する事だけだ」
「頼む、頼むよ。謝ればいいのか? ブルーミング伯爵にもちゃんと謝る。もちろん、ブルーミング伯爵令嬢にもだ!」
「あんな事を言われた後に謝罪を受けましても、何も響きませんよ。ですが、父への謝罪はお願いしたいですね」
私が冷たく言い放つと、ラルフ様が私の顔を覗き込んで尋ねてきます。
「リノアはどうしたいんだ?」
「陛下に報告されるのであれば、判断を下されるのは陛下です。ラルフ様の報告を聞かれた陛下の判断に従います」
「わかった」
ラルフ様は頷くと、すぐに扉の向こうにいる騎士の方を呼び寄せ、懇願するランドン辺境伯を無理やり立ち上がらせると、部屋から連れ出すように言いました。
「連絡が来るだろうから、それまでは家で大人しくしていろ。出歩くなよ」
「頼む、やめてくれ! 俺は全てパメルの為に!」
「パメルの事を考えるのは悪くない。だけど、お前は領民の生活や命を預かってる事も忘れるな」
ラルフ様にぴしゃりと言われると、ランドン辺境伯は言葉にならない声を上げられましたが、そのまま騎士の方に連れられていったのでした。
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