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3 親友たちの願い
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何も知らない様子の使用人たちには部屋から出てもらい、朝食を取りながら話を聞いて知ってしまった。
悲しいことに、私はやはりガンチャに殺されていた。表向きはロビンたちが話していた通り、使用人に殺されていて、殺害理由は陰で私にいじめられ、それを恨んでのことらしい。
「アリアナはそんなことをする子じゃないと訴えたが、本人が自供しているから騎士団は捜査する気はないようだった」
「その時のガンチャはどんな様子でしたか?」
「彼も彼の家族もお前の亡骸に縋りついて泣いていたよ」
「よくもそんなことができたわね。信じられないわ」
ガンチャはショックを受けているお父様たちに『愛する妻を守れなかった』と泣いて詫びたということも教えてくれた。
「自分で手にかけておいてよく言うわ。で、確認なんですけど、ガンチャは私が亡くなったあと、レイネ様に近づきましたか?」
「……レイネ様?」
不思議そうにするお父様の代わりにココナが答えてくれる。
「キマコマ公爵夫人のレイネ様ですよね? たしか、その時は実家に帰っておられたようですが、何かあったのですか?」
「実は私がガンチャに殺された理由は……」
あの時のことを思い出すと体の震えが止まらない。だけど、もう二度とあんな目に遭わないようにするには、家族に伝えておかなければならないと思った。
レイネ様がガンチャの初恋の相手であり、彼が彼女のことをずっと思い続けていたことを初めて家族に伝えると、四人全員が驚いた顔をした。
「奴に好きな女性がいたなんて、先代の辺境伯からは何も聞いていなかった」
呟くお父様に私は苦笑して謝る。
「ごめんなさい。私は前々から知っていました。でも、彼と婚約できたことが嬉しくて、ガンチャのお父様には黙っていてもらったんです」
ガンチャのお父様は二年前に何者かによって毒殺されている。毒見役が捕まったけれど、彼女は何もしていないと訴えていた。彼女の話は信じてもらえず、流星群の十日後に処刑されることが決まっていた。今の時期なら、裁判が長引いていて判決はまだかもしれない。
平気で人を殺せるような人たちだもの。毒見役を罠にはめていたとしてもおかしくない。
昔の私はそんなことを思いつきもしなかったが、毒見をしたあとに毒が入れられたのであればどうだろうか。そして、それが可能なのは一緒に食事を共にした家族なのではないかしら。
そう思うとゾッとした。
カラムとココナには学園を休んでもらい、これから起こっていくはずの出来事を時系列に書き出していくことにした。
現在は私が殺される一年と少し前で、毒見役の裁判はまだ終わっておらず、私とガンチャの結婚は、今日から十日後だった。
「今から婚約破棄ができる理由を作るとしたら、やっぱり先代の辺境伯が亡くなった件しかないでしょうか」
「そうだな。ガンチャに好きな人がいたことをアリアナが知っていたのなら、今さら感が出てしまうから理由にはならないだろう」
「ガンチャの気持ちを認めていたことは確かですが、殺されるくらいなら結婚したくないですし、そんなことで人を殺す神経の持ち主と結婚なんてしたくありません」
百年の恋も冷めるというのはこんな感じだろうか。それとも、本当の愛なら殺されても冷めないもの?
きっとそれは人それぞれよね。私は自分のために平気で人を殺せる人なんて好きじゃない。あんなにも彼のことが好きだったのに、びっくりするくらい今はそんな気持ちは消え失せた。
家族のためにも私はガンチャとは絶対に結婚しない。
毒見役との面会を四日後に取り付けたその日の晩、私のもとに手紙が届いた。
一通は親友の伯爵令嬢のルーナ・ローシス。そして、もう一通は幼馴染の公爵令息、アルフことアルフレッド・レイズからだった。
二人共が私の生存確認をしてくれていて、アルフは話したいことがあるから、三日後に私の家に来ると書かれていた。
もしかしたら、二人にも私たちのように記憶があるのかも。ということは、二人も私の家族のように一生に一度の願いを私のために使ってくれたのかもしれない。
そう思うと、目の奥がじんと熱くなった。みんなの願いを無駄になんかしない。
心に決めた私は、次の日に会う約束をしているガンチャとの戦いに備えることにした。
悲しいことに、私はやはりガンチャに殺されていた。表向きはロビンたちが話していた通り、使用人に殺されていて、殺害理由は陰で私にいじめられ、それを恨んでのことらしい。
「アリアナはそんなことをする子じゃないと訴えたが、本人が自供しているから騎士団は捜査する気はないようだった」
「その時のガンチャはどんな様子でしたか?」
「彼も彼の家族もお前の亡骸に縋りついて泣いていたよ」
「よくもそんなことができたわね。信じられないわ」
ガンチャはショックを受けているお父様たちに『愛する妻を守れなかった』と泣いて詫びたということも教えてくれた。
「自分で手にかけておいてよく言うわ。で、確認なんですけど、ガンチャは私が亡くなったあと、レイネ様に近づきましたか?」
「……レイネ様?」
不思議そうにするお父様の代わりにココナが答えてくれる。
「キマコマ公爵夫人のレイネ様ですよね? たしか、その時は実家に帰っておられたようですが、何かあったのですか?」
「実は私がガンチャに殺された理由は……」
あの時のことを思い出すと体の震えが止まらない。だけど、もう二度とあんな目に遭わないようにするには、家族に伝えておかなければならないと思った。
レイネ様がガンチャの初恋の相手であり、彼が彼女のことをずっと思い続けていたことを初めて家族に伝えると、四人全員が驚いた顔をした。
「奴に好きな女性がいたなんて、先代の辺境伯からは何も聞いていなかった」
呟くお父様に私は苦笑して謝る。
「ごめんなさい。私は前々から知っていました。でも、彼と婚約できたことが嬉しくて、ガンチャのお父様には黙っていてもらったんです」
ガンチャのお父様は二年前に何者かによって毒殺されている。毒見役が捕まったけれど、彼女は何もしていないと訴えていた。彼女の話は信じてもらえず、流星群の十日後に処刑されることが決まっていた。今の時期なら、裁判が長引いていて判決はまだかもしれない。
平気で人を殺せるような人たちだもの。毒見役を罠にはめていたとしてもおかしくない。
昔の私はそんなことを思いつきもしなかったが、毒見をしたあとに毒が入れられたのであればどうだろうか。そして、それが可能なのは一緒に食事を共にした家族なのではないかしら。
そう思うとゾッとした。
カラムとココナには学園を休んでもらい、これから起こっていくはずの出来事を時系列に書き出していくことにした。
現在は私が殺される一年と少し前で、毒見役の裁判はまだ終わっておらず、私とガンチャの結婚は、今日から十日後だった。
「今から婚約破棄ができる理由を作るとしたら、やっぱり先代の辺境伯が亡くなった件しかないでしょうか」
「そうだな。ガンチャに好きな人がいたことをアリアナが知っていたのなら、今さら感が出てしまうから理由にはならないだろう」
「ガンチャの気持ちを認めていたことは確かですが、殺されるくらいなら結婚したくないですし、そんなことで人を殺す神経の持ち主と結婚なんてしたくありません」
百年の恋も冷めるというのはこんな感じだろうか。それとも、本当の愛なら殺されても冷めないもの?
きっとそれは人それぞれよね。私は自分のために平気で人を殺せる人なんて好きじゃない。あんなにも彼のことが好きだったのに、びっくりするくらい今はそんな気持ちは消え失せた。
家族のためにも私はガンチャとは絶対に結婚しない。
毒見役との面会を四日後に取り付けたその日の晩、私のもとに手紙が届いた。
一通は親友の伯爵令嬢のルーナ・ローシス。そして、もう一通は幼馴染の公爵令息、アルフことアルフレッド・レイズからだった。
二人共が私の生存確認をしてくれていて、アルフは話したいことがあるから、三日後に私の家に来ると書かれていた。
もしかしたら、二人にも私たちのように記憶があるのかも。ということは、二人も私の家族のように一生に一度の願いを私のために使ってくれたのかもしれない。
そう思うと、目の奥がじんと熱くなった。みんなの願いを無駄になんかしない。
心に決めた私は、次の日に会う約束をしているガンチャとの戦いに備えることにした。
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