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9−3 ロードウェル伯爵家 7−1(オルザベート視点)
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階段脇に置かれたランタンの灯りしかない、狭い石の階段を降りていくと、突き当りに扉が見えた。
「オラエル先生、私です」
トントン、と扉を叩くと、すぐに動きがあり、解錠される音と共に扉が開かれて、男性の腕がのびてきたかと思うと、オルザベートを中に引き入れ、素早く扉を閉め施錠すると、彼女を抱きしめた。
(最悪。すごく臭う。身体を洗っていないのかしら…)
今すぐにでも突き放したい気持ちにかられたオルザベートだったが、彼にはまだやってもらわないといけない事がある、と思い直し、彼にされるがままになっていた。
オルザベートがやって来た部屋はの壁は魔力を遮断する石で作られており、ベッドや簡易トイレなど、生活に必要なものしか置かれていない、とても狭い部屋だった。
「どうして、こんな所に閉じ込められているんです? 今まではちゃんとした部屋があったじゃないですか」
「イザメル様から聞いたところでは、メガイクス様から僕を始末するようにと言う命令があったらしい」
(あら、もしかしたら、私が何もしなくても邪魔者が1人消せるんじゃない?)
長身で痩せてガリガリの身体、肩よりも長いボザボサの茶色の髪、薄汚れた服に身を包んだオラエルは、オルザベートを抱きしめたまま、彼女の考えている事など、全くわからずに、ずれてきた眼鏡をなおしてから、話を続ける。
「だけど、今、息子のロンバート様のいる屋敷には、邪気が集まっている。僕の魔法でなら、ある程度の邪気が祓えて、息子さんも助けられる、そう言ったら助けてくれた。だけど、こんな所に押し込められたんだ」
「そうなんですね、可哀想に…」
オルザベートは彼の背中を優しく撫でてから言う。
「先生。助けてほしい事があるんです」
「何だい?」
オラエルはオルザベートを連れて、ベッドの上にいき腰掛けると、彼女を横に座らせて尋ねた。
「忘却魔法をかけてほしい相手がいるんです」
「またエアリスにかい? 彼女は結構苦労するんだよ。彼女にはあのネックレスがあるから。かけてもすぐに魔法が解除されてしまう」
「わかってます。だから、私に偽物とすり替えさせたんですものね」
そう答えてから、オルザベートは、ビアラに言われた事を思い出す。
(すり替えたと思っていると言ってたけど当たりよ。あのネックレスがエアリスの大事なものだとは知っていたけど、彼女を守る魔法がかけられているだなんて事は、オラエル先生から聞いて知ったのよね…。私達の目的を果たすには、あのネックレスが邪魔だった)
「エアリスが魔法をちゃんと覚えてくれていなかったのは助かったよ。魔力のコントロールが出来る、僕の存在を気付かないでいてくれたからね。それにイミテーションでは気付かれる恐れがあるから、視覚では本物に見える魔法をかけておいただけあってか、気付かれずにすんで助かったよ」
「エアリスには申し訳ない事をしてしまったけれど…」
(そういえば、すり替えた際に、先生はあのネックレスの力を一時期、無効にさせたみたいだけど、どうやったのかしら?)
オルザベートが目を伏せて考えていると、オラエルは笑う。
「君が気に病む必要はない。それに君だって、僕と同じ目的だったんだろう?」
「ロンバートとの結婚については…。だけど、エアリスが出ていくだなんて思わなかったんです」
(エアリスにかかっていた魅了魔法はどうやら自分で解除したみたいだし、それもどうやって解除したのかしら。悔しいわ。ロンバートへの魅了魔法がかかっていたなら、エアリスはロンバートから離れられなかったのに。もしかしてエアリス、あの話し合いの時にネックレスを持ってきていたのかしら?)
「で、エアリスに何を忘れてほしいの?」
「エアリスじゃないんです」
(あの女がいなければ、こんな面倒な事をせずに済んだのに…。って、そうだわ! 私ったら、どうしてこんな簡単な事を思いつかなかったんだろう…)
「先生」
「何かな?」
「魔法で人を殺した事はありますか?」
「オラエル先生、私です」
トントン、と扉を叩くと、すぐに動きがあり、解錠される音と共に扉が開かれて、男性の腕がのびてきたかと思うと、オルザベートを中に引き入れ、素早く扉を閉め施錠すると、彼女を抱きしめた。
(最悪。すごく臭う。身体を洗っていないのかしら…)
今すぐにでも突き放したい気持ちにかられたオルザベートだったが、彼にはまだやってもらわないといけない事がある、と思い直し、彼にされるがままになっていた。
オルザベートがやって来た部屋はの壁は魔力を遮断する石で作られており、ベッドや簡易トイレなど、生活に必要なものしか置かれていない、とても狭い部屋だった。
「どうして、こんな所に閉じ込められているんです? 今まではちゃんとした部屋があったじゃないですか」
「イザメル様から聞いたところでは、メガイクス様から僕を始末するようにと言う命令があったらしい」
(あら、もしかしたら、私が何もしなくても邪魔者が1人消せるんじゃない?)
長身で痩せてガリガリの身体、肩よりも長いボザボサの茶色の髪、薄汚れた服に身を包んだオラエルは、オルザベートを抱きしめたまま、彼女の考えている事など、全くわからずに、ずれてきた眼鏡をなおしてから、話を続ける。
「だけど、今、息子のロンバート様のいる屋敷には、邪気が集まっている。僕の魔法でなら、ある程度の邪気が祓えて、息子さんも助けられる、そう言ったら助けてくれた。だけど、こんな所に押し込められたんだ」
「そうなんですね、可哀想に…」
オルザベートは彼の背中を優しく撫でてから言う。
「先生。助けてほしい事があるんです」
「何だい?」
オラエルはオルザベートを連れて、ベッドの上にいき腰掛けると、彼女を横に座らせて尋ねた。
「忘却魔法をかけてほしい相手がいるんです」
「またエアリスにかい? 彼女は結構苦労するんだよ。彼女にはあのネックレスがあるから。かけてもすぐに魔法が解除されてしまう」
「わかってます。だから、私に偽物とすり替えさせたんですものね」
そう答えてから、オルザベートは、ビアラに言われた事を思い出す。
(すり替えたと思っていると言ってたけど当たりよ。あのネックレスがエアリスの大事なものだとは知っていたけど、彼女を守る魔法がかけられているだなんて事は、オラエル先生から聞いて知ったのよね…。私達の目的を果たすには、あのネックレスが邪魔だった)
「エアリスが魔法をちゃんと覚えてくれていなかったのは助かったよ。魔力のコントロールが出来る、僕の存在を気付かないでいてくれたからね。それにイミテーションでは気付かれる恐れがあるから、視覚では本物に見える魔法をかけておいただけあってか、気付かれずにすんで助かったよ」
「エアリスには申し訳ない事をしてしまったけれど…」
(そういえば、すり替えた際に、先生はあのネックレスの力を一時期、無効にさせたみたいだけど、どうやったのかしら?)
オルザベートが目を伏せて考えていると、オラエルは笑う。
「君が気に病む必要はない。それに君だって、僕と同じ目的だったんだろう?」
「ロンバートとの結婚については…。だけど、エアリスが出ていくだなんて思わなかったんです」
(エアリスにかかっていた魅了魔法はどうやら自分で解除したみたいだし、それもどうやって解除したのかしら。悔しいわ。ロンバートへの魅了魔法がかかっていたなら、エアリスはロンバートから離れられなかったのに。もしかしてエアリス、あの話し合いの時にネックレスを持ってきていたのかしら?)
「で、エアリスに何を忘れてほしいの?」
「エアリスじゃないんです」
(あの女がいなければ、こんな面倒な事をせずに済んだのに…。って、そうだわ! 私ったら、どうしてこんな簡単な事を思いつかなかったんだろう…)
「先生」
「何かな?」
「魔法で人を殺した事はありますか?」
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