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プロローグ
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「君は覚えていないかもしれないけれど、僕と君は愛し合っていたんだ。僕が過ちを犯したせいで君は死んだ。だから、僕が時間を巻き戻したんだ」
「……はい?」
彼が私にそう言った時、私だけでなく私の両親も彼の両親でさえも耳を疑いました。
「おい、トーマス。お前は何を言っているんだ。変な夢でも見たのか?」
「本当なんですよ、父上! ユミリーを見て思い出しました! 僕とユミリーは結婚しようとしていたんです! だけど、僕がそれを台無しにしてしまって……」
「おい。夢と現実を一緒にするんじゃない」
トーマス殿下のお父様は大きなため息を吐いて、私に話しかけます。
「ユミリー、すまないな。もう昼になると言うのに息子は寝ぼけているみたいだ」
「とんでもないことでございます。余程リアルな夢だったのでしょう」
私、ユミリー・エルファイドはレイル王国の公爵令嬢で現在は6歳です。
ダークブルーのストレートの髪に薄い赤色の瞳。目尻が上がり気味のせいで、整ってはいるようですが、冷たい印象を受ける顔立ちをしているとよく言われます。
隣国のハズレー王国と国境を結んで三十年が経ち、友好関係が続くようにとハズレー王国の王太子の元に、レイル王国の高位貴族の誰かを嫁がせるという話になりました。
レイル王国に王女はいませんが、レイル王国の公爵家には、ハズレー王国の王太子と年齢が近い娘は各家合わせて五人いました。その中から私が選ばれたのです。
そして、運命の初顔合わせの日。会った瞬間に私の婚約者になる、トーマス・タイヒ殿下はわけの分からないことを言い出し始めたというわけです。
笑顔を作って国王陛下に答えた私に、トーマス殿下は訴えます。
「ユミリー! 聞いてくれ。僕が悪かった! 君が浮気をしただなんて疑ってすまなかった! 次こそは間違えない! 君が本当に浮気をしなければ、僕は絶対に君を殺したりしない!」
「な……、なにをおっしゃっているんですか」
私が浮気をしたと勘違いして殺したと、トーマス殿下は言いたいようです。
初めて会ったはずなのに、私は目の前にいるトーマス殿下のことを心の底から恐ろしいと感じました。
それは、トーマス殿下がいきなりわけの分からないことを言い出したからでしょうか。
……それだけではないような気がするのはなぜなのか、この時の私にはわかりませんでした。
「……はい?」
彼が私にそう言った時、私だけでなく私の両親も彼の両親でさえも耳を疑いました。
「おい、トーマス。お前は何を言っているんだ。変な夢でも見たのか?」
「本当なんですよ、父上! ユミリーを見て思い出しました! 僕とユミリーは結婚しようとしていたんです! だけど、僕がそれを台無しにしてしまって……」
「おい。夢と現実を一緒にするんじゃない」
トーマス殿下のお父様は大きなため息を吐いて、私に話しかけます。
「ユミリー、すまないな。もう昼になると言うのに息子は寝ぼけているみたいだ」
「とんでもないことでございます。余程リアルな夢だったのでしょう」
私、ユミリー・エルファイドはレイル王国の公爵令嬢で現在は6歳です。
ダークブルーのストレートの髪に薄い赤色の瞳。目尻が上がり気味のせいで、整ってはいるようですが、冷たい印象を受ける顔立ちをしているとよく言われます。
隣国のハズレー王国と国境を結んで三十年が経ち、友好関係が続くようにとハズレー王国の王太子の元に、レイル王国の高位貴族の誰かを嫁がせるという話になりました。
レイル王国に王女はいませんが、レイル王国の公爵家には、ハズレー王国の王太子と年齢が近い娘は各家合わせて五人いました。その中から私が選ばれたのです。
そして、運命の初顔合わせの日。会った瞬間に私の婚約者になる、トーマス・タイヒ殿下はわけの分からないことを言い出し始めたというわけです。
笑顔を作って国王陛下に答えた私に、トーマス殿下は訴えます。
「ユミリー! 聞いてくれ。僕が悪かった! 君が浮気をしただなんて疑ってすまなかった! 次こそは間違えない! 君が本当に浮気をしなければ、僕は絶対に君を殺したりしない!」
「な……、なにをおっしゃっているんですか」
私が浮気をしたと勘違いして殺したと、トーマス殿下は言いたいようです。
初めて会ったはずなのに、私は目の前にいるトーマス殿下のことを心の底から恐ろしいと感じました。
それは、トーマス殿下がいきなりわけの分からないことを言い出したからでしょうか。
……それだけではないような気がするのはなぜなのか、この時の私にはわかりませんでした。
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