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16 「愛人を全て追い出そうとしているんです!」
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私の代理だと言って、ダニエル殿下が子どもの私とお祖父様に変身したデルトロさんを見送ってくれた後、しばらくして、私は元の姿に戻って城に帰ってきた。
ダニエル殿下にエディールさんのことを聞いてみると、ロアリン様の魔法が簡単に解くことができそうにないと教えてくれた。
調べてくれたデルトロさんが言うには、ロアリン様は留学先でかなり、魔法の勉強をしたようだった。
そして、魔法使いだと名乗っても良いくらいの高度な魔法を覚えたらしい。
今回、エディールさんにかけられた魔法は何重にも魔法が重ねられていて、魔法をかけた人間でない限り、魔法が解けない可能性が高かった。
今、現在はエディール様は自由になったけれど、言葉は話せない状態だ。
しかも、自分を鳥かごに閉じ込めた犯人の名前を書くこともできない。
「もっと早くに見つけていれば、彼女を捕まえることができたのに」
食堂で、顔を合わせたダニエル殿下は、大きなため息を吐いた。
「エディールさんが自由になれただけでも良しとしましょう。でも、このままだと、ロアリン様を罪には問うことはできませんか?」
「ああ。だが、侍女を罪に問うこともできない。彼女は無罪放免になったあと、ロアリン嬢に罪を着せられそうになったと騒いでくれた。ただ、何の罪かはロアリン嬢の魔法のせいで話せなくなっている。だけど、そんなことって明らかに怪しいよな。だから、ロアリン嬢の他の侍女やメイドは辞めていったみたいだ」
「それはそうですわよね。いくらお給料が良くても犯罪者にされては意味がありません」
「今は城から派遣されたメイドが彼女の世話をしている。でも、疑わしいのは彼女だということは皆がわかっているから、僕と彼女の婚約は解消されると思う」
ダニエル殿下は少しだけホッとしたような顔をして言った。
「それはおめでとうございます。人を殺そうとするような女性と結婚なんてしたくありませんものね」
「そうなんだ。だけど、君は中々、上手くいきそうにないな」
「でも、ロアリン様とダニエル殿下の婚約が解消されるなら、ロアリン様はレイシール様にアタックをかけるでしょう。そうなったら変わってくるかもしれません」
かぼちゃのポタージュを飲み込んでから、前向きな言葉を発した時、私の目の前に影が落ちた。
「エアリー様にお話したいことがあるのですが」
私の座っている左横に現れたのは、レイシール様の愛人の人たちだった。
「どうかしましたか?」
「あの、場所を移すことはできませんか?」
現れた愛人たち五人は、ダニエル殿下を一瞥してから、私のほうに顔を向けた。
すると、ダニエル殿下が反応する。
「僕の悪口でも言うつもり?」
「いいえ、そんなことは決してございません!」
「なら、ここで話したら良いよ。女性だけでしか話したくない話なら、僕が席を動こう」
愛人たちは顔を見合わせあったあと、私に話しかけてきた人が代表して口を開く。
「お話の内容はレイシール様のことです。ダニエル殿下のお兄様のことを聞き方によっては、その、悪く言うような話になってしまいますから、あまりお耳に入れたくはないのです」
「かまわないよ。兄上のことは別に好きでもないから。兄上があなた達に何かしてしまったのかな?」
ダニエル殿下に問われた愛人たちは、また顔を見合わせた。
相談しても良いか迷っているみたいね。
「どうせ、私だけに話をしても、一人じゃ無理だと思ったらダニエル殿下に相談するつもりです。ですので、よっぽどの内容でなければ、ダニエル殿下にもお話を聞いてもらってください」
私からお願いすると、愛人たちは頷き合った。
そして、また、代表者の人が口を開く。
「子供を生む道具として、この城で不自由なく暮らしていけるのであれば、レイシール様の愛を独り占めしたいだなんて思っていません」
「それはわかっているわ。今までもそうだったでしょう? 子供を生む道具だという言い方はやめてほしいけど」
「失礼しました。エアリー様はそのようにおっしゃってくださる方ですから、愛人の一部を除いて、エアリー様には感謝しておりました」
「それは知らなかったわ」
感謝されているだなんて本当に知らなかった。
驚きつつも、話を続けるように促す。
「で、それがどうしたの?」
「ベラ様がエアリー様の侍女から愛人に変わってからは、レイシール様はベラ様しか相手にされなくなったのです」
「でも、それで、あなた達の暮らしが変わるわけではないでしょう?」
「それがそうではないんです! ベラ様は、私たち愛人を全て追い出そうとしているんです!」
詳しい話を聞いてみたところ、ベラは愛人は自分一人だけで良いと考えのようだった。
だから、レイシール様に「あの人からいじめられた」などと嘘をついて、一人ずつ愛人を減らしていっているのだと教えてくれた。
ダニエル殿下にエディールさんのことを聞いてみると、ロアリン様の魔法が簡単に解くことができそうにないと教えてくれた。
調べてくれたデルトロさんが言うには、ロアリン様は留学先でかなり、魔法の勉強をしたようだった。
そして、魔法使いだと名乗っても良いくらいの高度な魔法を覚えたらしい。
今回、エディールさんにかけられた魔法は何重にも魔法が重ねられていて、魔法をかけた人間でない限り、魔法が解けない可能性が高かった。
今、現在はエディール様は自由になったけれど、言葉は話せない状態だ。
しかも、自分を鳥かごに閉じ込めた犯人の名前を書くこともできない。
「もっと早くに見つけていれば、彼女を捕まえることができたのに」
食堂で、顔を合わせたダニエル殿下は、大きなため息を吐いた。
「エディールさんが自由になれただけでも良しとしましょう。でも、このままだと、ロアリン様を罪には問うことはできませんか?」
「ああ。だが、侍女を罪に問うこともできない。彼女は無罪放免になったあと、ロアリン嬢に罪を着せられそうになったと騒いでくれた。ただ、何の罪かはロアリン嬢の魔法のせいで話せなくなっている。だけど、そんなことって明らかに怪しいよな。だから、ロアリン嬢の他の侍女やメイドは辞めていったみたいだ」
「それはそうですわよね。いくらお給料が良くても犯罪者にされては意味がありません」
「今は城から派遣されたメイドが彼女の世話をしている。でも、疑わしいのは彼女だということは皆がわかっているから、僕と彼女の婚約は解消されると思う」
ダニエル殿下は少しだけホッとしたような顔をして言った。
「それはおめでとうございます。人を殺そうとするような女性と結婚なんてしたくありませんものね」
「そうなんだ。だけど、君は中々、上手くいきそうにないな」
「でも、ロアリン様とダニエル殿下の婚約が解消されるなら、ロアリン様はレイシール様にアタックをかけるでしょう。そうなったら変わってくるかもしれません」
かぼちゃのポタージュを飲み込んでから、前向きな言葉を発した時、私の目の前に影が落ちた。
「エアリー様にお話したいことがあるのですが」
私の座っている左横に現れたのは、レイシール様の愛人の人たちだった。
「どうかしましたか?」
「あの、場所を移すことはできませんか?」
現れた愛人たち五人は、ダニエル殿下を一瞥してから、私のほうに顔を向けた。
すると、ダニエル殿下が反応する。
「僕の悪口でも言うつもり?」
「いいえ、そんなことは決してございません!」
「なら、ここで話したら良いよ。女性だけでしか話したくない話なら、僕が席を動こう」
愛人たちは顔を見合わせあったあと、私に話しかけてきた人が代表して口を開く。
「お話の内容はレイシール様のことです。ダニエル殿下のお兄様のことを聞き方によっては、その、悪く言うような話になってしまいますから、あまりお耳に入れたくはないのです」
「かまわないよ。兄上のことは別に好きでもないから。兄上があなた達に何かしてしまったのかな?」
ダニエル殿下に問われた愛人たちは、また顔を見合わせた。
相談しても良いか迷っているみたいね。
「どうせ、私だけに話をしても、一人じゃ無理だと思ったらダニエル殿下に相談するつもりです。ですので、よっぽどの内容でなければ、ダニエル殿下にもお話を聞いてもらってください」
私からお願いすると、愛人たちは頷き合った。
そして、また、代表者の人が口を開く。
「子供を生む道具として、この城で不自由なく暮らしていけるのであれば、レイシール様の愛を独り占めしたいだなんて思っていません」
「それはわかっているわ。今までもそうだったでしょう? 子供を生む道具だという言い方はやめてほしいけど」
「失礼しました。エアリー様はそのようにおっしゃってくださる方ですから、愛人の一部を除いて、エアリー様には感謝しておりました」
「それは知らなかったわ」
感謝されているだなんて本当に知らなかった。
驚きつつも、話を続けるように促す。
「で、それがどうしたの?」
「ベラ様がエアリー様の侍女から愛人に変わってからは、レイシール様はベラ様しか相手にされなくなったのです」
「でも、それで、あなた達の暮らしが変わるわけではないでしょう?」
「それがそうではないんです! ベラ様は、私たち愛人を全て追い出そうとしているんです!」
詳しい話を聞いてみたところ、ベラは愛人は自分一人だけで良いと考えのようだった。
だから、レイシール様に「あの人からいじめられた」などと嘘をついて、一人ずつ愛人を減らしていっているのだと教えてくれた。
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