18 / 34
17 「引っ掻き回してみようと思います」
しおりを挟む
デルトロさんと鳥かごから抜け出し、自由になったエディールさんが調べてくれたところ、ベラは今のところ、妊娠しているわけではなかった。
でも、レイシール様の子供を生むのは自分だけで良いと思っているみたいで、他の愛人を排除しようとしているらしい。
「私はレイシール様の子供を生むつもりはないから、今のところはベラから何も言われていないのね。しかも、王太子妃になりたくないのであれば、私を排除してはいけないから余計にというところでしょうか」
私が呟くように言うと、言葉を話せないエディールさんが無言で大きく頷いた。
デルトロさんから聞いたところによると、この国の妖精はオレンジ色の瞳をしていることが多いらしく、エディールさんもそうだった。
くりくりと大きな目にくるくるの金色の髪を持つエディールさんは、デルトロさんと一緒に、この城に住むことに決めたようだった。
デルトロさんとエディールさんがこの城に滞在していることを知っている人間は、私とダニエル様だけで、他の人は知らない。
妖精の力も人間世界ではあまり解明されていないので、デルトロさんたちが姿を変えられるということも知られていないのは助かった。
「エディールさんの力は戻ってきそうですか?」
「エアリーの心が綺麗だから、少しずつだけど戻ってきているみたいだよ」
デルトロさんが笑顔でエディールさんの代わりに答えてくれた。
「お役に立てて良かったです。ベラのことは気になりますが、ロアリン様のことはどうしましょう。このまま大人しくしているはずはないと思うんです」
「そうだね。また君を殺そうとしてくる可能性があるね。まあ、僕らがいるから絶対に無理だけどさ」
デルトロさんは胸を叩いて頼もしいことを言ってくれた。
「その前にロアリン様とベラが戦う可能性もありますね」
「そうだね。その可能性のほうが高い。あ、ダニエルが言っていたけど、子供の姿というのは、子供が好きな人には可愛く映るし、嫌いな人でも文句を言えないのは強みだよね」
「そうですわね。たとえ子供が嫌なことしたとして、子供が嫌いな人であっても、子供だからしょうがないと思う方が多いです。ちゃんと躾をしない親に怒りが向く人が多いと思います」
「そうなんだよ。それに、子供のやる事に一々イライラして、大人げないと思われるのも嫌なんだろう。というわけで、君の強みを生かしたら良いんじゃないかと思うんだ。エディールも同じ意見だよ」
エディールさんは自由になったけれど、魔法の解除にはかなりの魔力がいるらしく、今の段階では無理なんだそう。
だから、私の魔法はまだ解けていなかった。
「エディールさんの魔法を私の強みというのはどうかと思うんですが、どうすれば良いのでしょうか? 子供状態の私が、この城に頻繁に出入りしてもおかしくない状況にすれば良いのですか?」
「うん。ダニエルと話をしていたんだけど、両親が流行り病にかかったから、治るまで預かることになったと言ったらどうかな?」
デルトロさんの提案に私は眉根を寄せて尋ねる。
「許可が下りるでしょうか?」
「両陛下は君に逃げられるほうが嫌なんだ。それくらいのワガママなら絶対に聞いてくれるはずだよ」
「わかりました。一度、お話をしてみます」
デルトロさんとエディールさんがいてくれるならば、私が二重生活をすることで、多少の矛盾が生じても何とかしてもらえそうな気がする。
まずはデルトロさんに頼んで、私が自分宛てに書いた手紙を送ってもらうことにした。
そして、その手紙を開封し、両陛下に見せたところ、最初はやはり渋っておられた。
『屋敷に面倒を見る誰かはいないのか』
『両親から引き離すなんてどうかと思うわ』
などなど。
でも、それなら私が世話をしに行くと言うと、慌てて、子供を受け入れても良いと言ってくれた。
その日の食堂でダニエル殿下と会い、一緒に食事をすることになった。
人に聞かれないように小声でダニエル殿下に尋ねてくる。
「子供の時の君の名前は何にする?」
「シャーロットではどうでしょう? 異国では自由人という意味合いもあるそうです」
「可愛い名前だし、意味合いも良いな」
「はい。怪しまれないように、デルトロさんに私の代わりをしてもらいながら、色々と引っ掻き回してみようと思います」
微笑んで言うと、ダニエル殿下は苦笑しつつも「僕もフォローするよ」と言ってくれた。
でも、レイシール様の子供を生むのは自分だけで良いと思っているみたいで、他の愛人を排除しようとしているらしい。
「私はレイシール様の子供を生むつもりはないから、今のところはベラから何も言われていないのね。しかも、王太子妃になりたくないのであれば、私を排除してはいけないから余計にというところでしょうか」
私が呟くように言うと、言葉を話せないエディールさんが無言で大きく頷いた。
デルトロさんから聞いたところによると、この国の妖精はオレンジ色の瞳をしていることが多いらしく、エディールさんもそうだった。
くりくりと大きな目にくるくるの金色の髪を持つエディールさんは、デルトロさんと一緒に、この城に住むことに決めたようだった。
デルトロさんとエディールさんがこの城に滞在していることを知っている人間は、私とダニエル様だけで、他の人は知らない。
妖精の力も人間世界ではあまり解明されていないので、デルトロさんたちが姿を変えられるということも知られていないのは助かった。
「エディールさんの力は戻ってきそうですか?」
「エアリーの心が綺麗だから、少しずつだけど戻ってきているみたいだよ」
デルトロさんが笑顔でエディールさんの代わりに答えてくれた。
「お役に立てて良かったです。ベラのことは気になりますが、ロアリン様のことはどうしましょう。このまま大人しくしているはずはないと思うんです」
「そうだね。また君を殺そうとしてくる可能性があるね。まあ、僕らがいるから絶対に無理だけどさ」
デルトロさんは胸を叩いて頼もしいことを言ってくれた。
「その前にロアリン様とベラが戦う可能性もありますね」
「そうだね。その可能性のほうが高い。あ、ダニエルが言っていたけど、子供の姿というのは、子供が好きな人には可愛く映るし、嫌いな人でも文句を言えないのは強みだよね」
「そうですわね。たとえ子供が嫌なことしたとして、子供が嫌いな人であっても、子供だからしょうがないと思う方が多いです。ちゃんと躾をしない親に怒りが向く人が多いと思います」
「そうなんだよ。それに、子供のやる事に一々イライラして、大人げないと思われるのも嫌なんだろう。というわけで、君の強みを生かしたら良いんじゃないかと思うんだ。エディールも同じ意見だよ」
エディールさんは自由になったけれど、魔法の解除にはかなりの魔力がいるらしく、今の段階では無理なんだそう。
だから、私の魔法はまだ解けていなかった。
「エディールさんの魔法を私の強みというのはどうかと思うんですが、どうすれば良いのでしょうか? 子供状態の私が、この城に頻繁に出入りしてもおかしくない状況にすれば良いのですか?」
「うん。ダニエルと話をしていたんだけど、両親が流行り病にかかったから、治るまで預かることになったと言ったらどうかな?」
デルトロさんの提案に私は眉根を寄せて尋ねる。
「許可が下りるでしょうか?」
「両陛下は君に逃げられるほうが嫌なんだ。それくらいのワガママなら絶対に聞いてくれるはずだよ」
「わかりました。一度、お話をしてみます」
デルトロさんとエディールさんがいてくれるならば、私が二重生活をすることで、多少の矛盾が生じても何とかしてもらえそうな気がする。
まずはデルトロさんに頼んで、私が自分宛てに書いた手紙を送ってもらうことにした。
そして、その手紙を開封し、両陛下に見せたところ、最初はやはり渋っておられた。
『屋敷に面倒を見る誰かはいないのか』
『両親から引き離すなんてどうかと思うわ』
などなど。
でも、それなら私が世話をしに行くと言うと、慌てて、子供を受け入れても良いと言ってくれた。
その日の食堂でダニエル殿下と会い、一緒に食事をすることになった。
人に聞かれないように小声でダニエル殿下に尋ねてくる。
「子供の時の君の名前は何にする?」
「シャーロットではどうでしょう? 異国では自由人という意味合いもあるそうです」
「可愛い名前だし、意味合いも良いな」
「はい。怪しまれないように、デルトロさんに私の代わりをしてもらいながら、色々と引っ掻き回してみようと思います」
微笑んで言うと、ダニエル殿下は苦笑しつつも「僕もフォローするよ」と言ってくれた。
26
あなたにおすすめの小説
結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。
結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。
アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。
アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。
婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他
猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。
大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
【完】私の初恋の人に屈辱と絶望を与えたのは、大好きなお姉様でした
迦陵 れん
恋愛
「俺は君を愛さない。この結婚は政略結婚という名の契約結婚だ」
結婚式後の初夜のベッドで、私の夫となった彼は、開口一番そう告げた。
彼は元々の婚約者であった私の姉、アンジェラを誰よりも愛していたのに、私の姉はそうではなかった……。
見た目、性格、頭脳、運動神経とすべてが完璧なヘマタイト公爵令息に、グラディスは一目惚れをする。
けれど彼は大好きな姉の婚約者であり、容姿からなにから全て姉に敵わないグラディスは、瞬時に恋心を封印した。
筈だったのに、姉がいなくなったせいで彼の新しい婚約者になってしまい──。
人生イージーモードで生きてきた公爵令息が、初めての挫折を経験し、動く人形のようになってしまう。
彼のことが大好きな主人公は、冷たくされても彼一筋で思い続ける。
たとえ彼に好かれなくてもいい。
私は彼が好きだから!
大好きな人と幸せになるべく、メイドと二人三脚で頑張る健気令嬢のお話です。
ざまあされるような悪人は出ないので、ざまあはないです。
と思ったら、微ざまぁありになりました(汗)
ジェリー・ベケットは愛を信じられない
砂臥 環
恋愛
ベケット子爵家の娘ジェリーは、父が再婚してから離れに追いやられた。
母をとても愛し大切にしていた父の裏切りを知り、ジェリーは愛を信じられなくなっていた。
それを察し、まだ子供ながらに『君を守る』と誓い、『信じてほしい』と様々な努力してくれた婚約者モーガンも、学園に入ると段々とジェリーを避けらるようになっていく。
しかも、義妹マドリンが入学すると彼女と仲良くするようになってしまった。
だが、一番辛い時に支え、努力してくれる彼を信じようと決めたジェリーは、なにも言えず、なにも聞けずにいた。
学園でジェリーは優秀だったが『氷の姫君』というふたつ名を付けられる程、他人と一線を引いており、誰にも悩みは吐露できなかった。
そんな時、仕事上のパートナーを探す男子生徒、ウォーレンと親しくなる。
※世界観はゆるゆる
※ざまぁはちょっぴり
※他サイトにも掲載
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる