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第18話 これからの事
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ファブロー公爵はどうしても赤い瞳の女性と上手くいきたかったけれど、先代の国王陛下に反対されて、諦めざるを得なかったらしい。
普通の人間なら、それが当たり前の事なんだろうとわかるはずなのに、ファブロー公爵は、その当たり前が納得できなかったらしい。
最初は文句ばかり言っていたらしいけれど、ファブロー公爵の意中の女性が結婚してからは、今までが嘘の様に何も言わなくなったらしく、やっと諦めてくれたのだろうと両陛下も胸をなでおろしていたところへ、事故の一報が入ってきたそうだった。
「その事故はファブロー公爵の仕業なんでしょうか?」
「そうじゃないかと思わせる部分はあるけれど、物的証拠がないし、本人が直接動いたわけじゃないだろうから、其の時間に何をしていましたか、と聞いても意味がないだろう? 証拠も残さず、口も割らない様なプロに頼んでいたのかもしれない。その当時、かなり叔父上の周辺を調べたのに何も出てこなかったらしいから」
「プロに頼んだという事実をつかんだら良かったのでは?」
「本人が直接頼むとは思えない」
「代理人を介してという事ですね」
わたしだって悪い事をしようとするなら、バレないように色々と考えるものね。
わたしが考えつく様な事なら、ファブロー公爵自らじゃなくてもブレーンが気付くだろうし、その当時、ファブロー公爵が片思いしていた事が有名な話だったとしたら、悪い人達の方から近付いてきた可能性もあるのよね?
「叔父上が何を考えているか父上もお祖父様もわからなかっただけに、私の瞳の色を隠す事に決めたんだよ。中々、会わせなかったみたいだから、何かあるとは思っていただろうけどね」
「今は昔の様に赤い瞳への差別がおさまってきましたが、ファブロー公爵の場合はただの差別だけではなさそうですね」
「そうだね。女性にフラれた事でプライドを傷付けられたとでも思ったんじゃないかな。これは推測の域にしかすぎないんだけど、叔父上は自分の息子に王位を継がせたいんじゃないかと思ってる」
「自分ではなくて、ですか?」
「もちろん、自分もという頭はあるだろうけれど、父上の息子である私達が継げなかったものを息子が継ぐとなったら嬉しいのかもしれない」
「どうしてそこまで性格が…」
ねじ曲がってしまったんですか?
と聞いてしまいそうになって、慌てて口をおさえた。
いくら嫌な事を言われたからと言って、嫌な事を相手に言ってもいいわけじゃないんだから気を付けないと。
言葉を止めれたと思っていたけれど、ジェレミー殿下はわたしの言おうとした事に気付いたらしく苦笑して言う。
「どうしてなんだろうね。持って生まれたものなのかもしれないし、ヘイストと同じ様に私も含め、周りが甘やかしてしまったのかもしれない」
「ヘイスト殿下の場合は自分の都合の良い様に考えるところがありますから性格かもしれませんね」
こんな事を思っては失礼かもしれないけれど、ヘイスト殿下は、時と場合によって態度をすぐに変えるし、すぐに人の言う事を信じてしまうから、大人になったらどう生きていくのかが心配になってしまう。
このまま、王家が保護し続けるのか、それとも…。
「もし、ファブロー公爵がヘイスト殿下の面倒を見たいと言い出されたら、どうされるおつもりなんですか?」
「そうなったら除籍だろうね。叔父上にしてみたら喜ばしい事だろう。継承順位が上がるから」
「ヘイスト殿下の方は簡単に何とかなりますが、ジェレミー殿下の場合は病弱だったと嘘をついていた、とかで何かを言ってくる可能性はありますか?」
「幼い頃に病弱だったのは確かなんだ。成長するにつれて健康になってきたけれど、大事をとっていたという話にする。けれど、その点についてはそこまで追求してこないと思う。だから余計に私の醜聞を流して、私は王には向いていないという声を大きくしようとしたんだろう」
「叔父である自分からは発せない分、周りに言わせようとしたんですね…」
わたしがうーんと唸るとジェレミー殿下は言う。
「このまま、後手後手にまわってばかりでいるつもりでもない。向こうがその気なら、こちらも潰す気で動くつもりだ」
「……公爵家をですか?」
「うん。今までは私に婚約者がいなかったから、そう焦らなくても良いと思っていたんだろうけれど、私に君という婚約者が出来たから、向こうも内心は焦ったはずだ。だけど、君はヘイストの件があるから、すぐには危険はないと思う。だけど、何かあってはいけないから護衛もつけるし、君が通うことになっている女子校は、女性ばかりだという事で、部外者の男性は学校の敷地内に入る事はできないし、相手が女性でも君の許可がない場合は入れない様にしてある」
「ありがとうございます」
深々と頭を下げると、ジェレミー殿下は苦笑する。
「君を巻き込む形になって申し訳ない」
「いいえ。ヘイスト殿下がお相手でも、危険であった事は確かですから」
ただ、今まで以上に警戒しなければいけない事は確かだわ。
相手がヘイスト殿下だったから、わたしに手を出さなかったけれど、ジェレミー殿下が相手なら、どう考えてくるかはわからない。
今のところは、ヘイスト殿下との事でわたしが使えると思ってくれているみたいだから何とかなるけれど…。
「君を危ない目に合わせない様にするつもりだよ」
「ありがとうございます」
わたしが気にしていると思って口にして下さったのね…。
もちろん、わたしはわたしで気を付けないといけないわ。
そう思っていると、ジェレミー殿下が話題を変える。
「セバン子爵令嬢の件の調査が終わった。君にも話をしておこうと思うんだけどどうかな?」
「聞きたいです!」
「わかっていた事だろうけど、やはり、君がセバン子爵令嬢の事をいじめてなんていなかった事がわかった」
わかっていた事だけれど、正しい調査結果が出た事に、ホッと胸を撫で下ろした。
普通の人間なら、それが当たり前の事なんだろうとわかるはずなのに、ファブロー公爵は、その当たり前が納得できなかったらしい。
最初は文句ばかり言っていたらしいけれど、ファブロー公爵の意中の女性が結婚してからは、今までが嘘の様に何も言わなくなったらしく、やっと諦めてくれたのだろうと両陛下も胸をなでおろしていたところへ、事故の一報が入ってきたそうだった。
「その事故はファブロー公爵の仕業なんでしょうか?」
「そうじゃないかと思わせる部分はあるけれど、物的証拠がないし、本人が直接動いたわけじゃないだろうから、其の時間に何をしていましたか、と聞いても意味がないだろう? 証拠も残さず、口も割らない様なプロに頼んでいたのかもしれない。その当時、かなり叔父上の周辺を調べたのに何も出てこなかったらしいから」
「プロに頼んだという事実をつかんだら良かったのでは?」
「本人が直接頼むとは思えない」
「代理人を介してという事ですね」
わたしだって悪い事をしようとするなら、バレないように色々と考えるものね。
わたしが考えつく様な事なら、ファブロー公爵自らじゃなくてもブレーンが気付くだろうし、その当時、ファブロー公爵が片思いしていた事が有名な話だったとしたら、悪い人達の方から近付いてきた可能性もあるのよね?
「叔父上が何を考えているか父上もお祖父様もわからなかっただけに、私の瞳の色を隠す事に決めたんだよ。中々、会わせなかったみたいだから、何かあるとは思っていただろうけどね」
「今は昔の様に赤い瞳への差別がおさまってきましたが、ファブロー公爵の場合はただの差別だけではなさそうですね」
「そうだね。女性にフラれた事でプライドを傷付けられたとでも思ったんじゃないかな。これは推測の域にしかすぎないんだけど、叔父上は自分の息子に王位を継がせたいんじゃないかと思ってる」
「自分ではなくて、ですか?」
「もちろん、自分もという頭はあるだろうけれど、父上の息子である私達が継げなかったものを息子が継ぐとなったら嬉しいのかもしれない」
「どうしてそこまで性格が…」
ねじ曲がってしまったんですか?
と聞いてしまいそうになって、慌てて口をおさえた。
いくら嫌な事を言われたからと言って、嫌な事を相手に言ってもいいわけじゃないんだから気を付けないと。
言葉を止めれたと思っていたけれど、ジェレミー殿下はわたしの言おうとした事に気付いたらしく苦笑して言う。
「どうしてなんだろうね。持って生まれたものなのかもしれないし、ヘイストと同じ様に私も含め、周りが甘やかしてしまったのかもしれない」
「ヘイスト殿下の場合は自分の都合の良い様に考えるところがありますから性格かもしれませんね」
こんな事を思っては失礼かもしれないけれど、ヘイスト殿下は、時と場合によって態度をすぐに変えるし、すぐに人の言う事を信じてしまうから、大人になったらどう生きていくのかが心配になってしまう。
このまま、王家が保護し続けるのか、それとも…。
「もし、ファブロー公爵がヘイスト殿下の面倒を見たいと言い出されたら、どうされるおつもりなんですか?」
「そうなったら除籍だろうね。叔父上にしてみたら喜ばしい事だろう。継承順位が上がるから」
「ヘイスト殿下の方は簡単に何とかなりますが、ジェレミー殿下の場合は病弱だったと嘘をついていた、とかで何かを言ってくる可能性はありますか?」
「幼い頃に病弱だったのは確かなんだ。成長するにつれて健康になってきたけれど、大事をとっていたという話にする。けれど、その点についてはそこまで追求してこないと思う。だから余計に私の醜聞を流して、私は王には向いていないという声を大きくしようとしたんだろう」
「叔父である自分からは発せない分、周りに言わせようとしたんですね…」
わたしがうーんと唸るとジェレミー殿下は言う。
「このまま、後手後手にまわってばかりでいるつもりでもない。向こうがその気なら、こちらも潰す気で動くつもりだ」
「……公爵家をですか?」
「うん。今までは私に婚約者がいなかったから、そう焦らなくても良いと思っていたんだろうけれど、私に君という婚約者が出来たから、向こうも内心は焦ったはずだ。だけど、君はヘイストの件があるから、すぐには危険はないと思う。だけど、何かあってはいけないから護衛もつけるし、君が通うことになっている女子校は、女性ばかりだという事で、部外者の男性は学校の敷地内に入る事はできないし、相手が女性でも君の許可がない場合は入れない様にしてある」
「ありがとうございます」
深々と頭を下げると、ジェレミー殿下は苦笑する。
「君を巻き込む形になって申し訳ない」
「いいえ。ヘイスト殿下がお相手でも、危険であった事は確かですから」
ただ、今まで以上に警戒しなければいけない事は確かだわ。
相手がヘイスト殿下だったから、わたしに手を出さなかったけれど、ジェレミー殿下が相手なら、どう考えてくるかはわからない。
今のところは、ヘイスト殿下との事でわたしが使えると思ってくれているみたいだから何とかなるけれど…。
「君を危ない目に合わせない様にするつもりだよ」
「ありがとうございます」
わたしが気にしていると思って口にして下さったのね…。
もちろん、わたしはわたしで気を付けないといけないわ。
そう思っていると、ジェレミー殿下が話題を変える。
「セバン子爵令嬢の件の調査が終わった。君にも話をしておこうと思うんだけどどうかな?」
「聞きたいです!」
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