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第17話 スキャンダル
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次の日、ジェレミー殿下にファブロー公爵からの手紙の件で話がしたいという事を、専属メイドのソフィーの方から連絡してもらうと、今すぐには無理だけれど、夕方なら話ができるという答えをもらい、話せる様になったら部屋に来てくれるというので、今日は大人しく部屋でゆっくりする事にした。
安楽椅子に座って本を読んだりして時間を潰していたけれど、読書ばかりでは目が疲れてしまったので、ソフィーに話し相手になってもらう事にした。
「ソフィーからしてみたら、ファブロー公爵はどんな方なの?」
「人伝に聞いた話になりますが、女性からは人気がありますよ。公爵という地位もありますし、陛下の弟君ですから」
「玉の輿にのりたい女性に人気だという事?」
「世間的にはファブロー公爵が赤い瞳を差別している事は知られておりませんし、元奥様と別れた原因につきましても円満離婚になっておりますから詳しい理由はわからないんです」
ファブロー公爵と奥様が別れた理由は、やはり噂にもなっていないのね…。
奥様は親権も放棄されているし、別れられた時も離縁されたという話題にはなったけれど、悪い噂は出ていなかったのよね…。
といっても、何年も前の話だから、わたしが社交界の話題に疎かっただけかもしれないけれど。
「教えてくれてありがとう」
「とんでもございません。お役に立てず申し訳ございません」
「そんな事はないわよ」
わたしが笑顔で首を横に振った時、部屋の扉がノックされた。
ジェレミー殿下がいらっしゃるには時間が早すぎるし警戒すると、ソフィーが小声で言う。
「私が確認いたします」
ヘイスト殿下だったら、わたしは部屋にいないと言ってもらおうと思ったら、相手はローニャだった。
ローニャは突然やって来た事をわびてから、わたしに衝撃的な事を教えてくれた。
「大変よ。昨日、ファブロー公爵家の派閥の貴族の夜会が行われたんだけど…」
ローニャが部屋に入ってくるなり焦った顔で続ける。
「誰が流したかはわからないけれど、あなたとヘイスト殿下、それからジェレミー殿下の変な噂が流れているみたい」
「変な噂っていうのは、どういう噂?」
「アニエスとヘイスト殿下は愛し合っているのに、ジェレミー殿下に無理矢理別れさせられたんだって」
「何よ、それ。どうしてそんな訳のわからない噂が…?」
「ジェレミー殿下は病弱なんかじゃなくて、赤い瞳を持っているから婚約者が見つからなかった。だから無理矢理、アニエスをヘイスト殿下から奪った様にしたいんじゃないかしら?」
「誰がそんな事を言うの…? 信じられないわ」
眉を顰めて誰にとも無く呟いた。
ヘイスト殿下がキャロラインを信じてどうこうという話は社交界では噂になっていないの?
それはおかしいわよね…?
あれだけパーティー会場で派手に泣いていたんだから。
ヘイスト殿下は婚約発表までしたのよ…?
「きっと誰かが流したんだと思うけれど、こういう噂は出処がつかめないのよね…。だけど、婚約破棄をしたヘイスト殿下の話が何も言われていないのなら、噂を流した犯人、もしくは流させた犯人はわかるわよね」
ローニャが難しい顔をして言うので聞いてみる。
「でも、どうしてそんな噂を流そうとするのかしら?」
「わからないわ。何かメリットがあるからでしょうね…」
メリット?
ジェレミー殿下の評判を落として、何のメリットがあるの?
わたしとヘイスト殿下を一緒にさせたいの?
それは何の為に…?
「アニエス、噂の事はきっとジェレミー殿下が何とかされると思うわ」
「そうね…。今日、お話をする予定だから、その時に聞いてみる事にするわ」
ローニャはわたしの言葉を聞いて、大きく首を縦に振った。
この噂の事を聞いて、ヘイスト殿下が馬鹿な考えを持たなければいいんだけど…。
モヤモヤした気持ちのまま時間が経ったところで、予定よりも早くに、ジェレミー殿下がわたしの部屋に来てくれた。
ローテーブルをはさんで向かい合って座って話す事にして、ソフィーがお茶を入れてくれている間に、早速、わたしはファブロー公爵からの手紙をジェレミー殿下に見せて尋ねる。
「ファブロー公爵は一体、何がしたいのでしょうか? それに変な噂が社交場で流れているという話も聞きました」
「噂の事については私も聞いている。それについては、そんな事実はないと公表をしたし、これ以上、そんな噂を信じて流す様な人間がいたら処罰する通達を出したよ。躍起になって否定しても犯人の思うツボだと思っている」
「本当の事だからムキになっていると思われるかもしれないという事ですね?」
「そういう事。スキャンダルに関して、世間が面白がるのは多少はしょうがないと思っているし、強く言い過ぎると言論の自由を訴えてくるしね」
自分の言いたい事を何でもかんでも言っても良いと思っている人が少なからずいるから大変なのよね。
そういう人を処罰すると、他に王家をよく思っていない人が理不尽な理由で裁いたとか言いだしかねないし…。
「ゴシップ紙が私達の話を面白おかしく書こうとしていた様だから、それについては止めさせたけどね」
「庶民は好きでしょうけれど、王家としては嘘を広められるのは困るかと思いますので、それはしょうがない事だと思います」
「ありがとう。でも、君を巻き込んでしまってごめんね」
「謝らないで下さい。悪いのは変な噂を流した人間です。そんな事をさせるなという人もいるかもしれませんが、そんな事をする人間を責めないのはおかしいですから。でも、どうしてファブロー公爵はこんな事を…?」
「たぶん、叔父上は私の失脚を望んでいる。まずはヘイストを王にさせたいんだろう」
ジェレミー殿下の言葉に驚いて聞き返す。
「どうしてですか!? ヘイスト殿下が国王になったりしたら、国が無茶苦茶になりそうなんですが…」
「それを狙っているんじゃないかな」
「どういう事ですか…?」
「今のところ、我が国の王位継承順位は、私、ヘイスト、その後は叔父上になる」
「ファブロー公爵が継がれた場合は、次の王位継承順位はファブロー公爵のお子さんという事でしょうか」
「そうなるね」
ファブロー公爵は、自分が国王になりたいから嫌がらせをしているの?
頭の中でそう考えたところで、ジェレミー殿下がその答えを教えてくれた。
「叔父上は自分の家族を憎んでいる。だから、父上の子供である、ヘイストや私の事も憎いんだよ」
「どういう事ですか…? もしかして、ファブロー公爵が好きだったという、赤い瞳の女性の事にも関係するのでしょうか…?」
わたしの質問にジェレミー殿下は頷き、彼自身も聞いた話になるけれどと付け加えてから話し始めてくれた。
安楽椅子に座って本を読んだりして時間を潰していたけれど、読書ばかりでは目が疲れてしまったので、ソフィーに話し相手になってもらう事にした。
「ソフィーからしてみたら、ファブロー公爵はどんな方なの?」
「人伝に聞いた話になりますが、女性からは人気がありますよ。公爵という地位もありますし、陛下の弟君ですから」
「玉の輿にのりたい女性に人気だという事?」
「世間的にはファブロー公爵が赤い瞳を差別している事は知られておりませんし、元奥様と別れた原因につきましても円満離婚になっておりますから詳しい理由はわからないんです」
ファブロー公爵と奥様が別れた理由は、やはり噂にもなっていないのね…。
奥様は親権も放棄されているし、別れられた時も離縁されたという話題にはなったけれど、悪い噂は出ていなかったのよね…。
といっても、何年も前の話だから、わたしが社交界の話題に疎かっただけかもしれないけれど。
「教えてくれてありがとう」
「とんでもございません。お役に立てず申し訳ございません」
「そんな事はないわよ」
わたしが笑顔で首を横に振った時、部屋の扉がノックされた。
ジェレミー殿下がいらっしゃるには時間が早すぎるし警戒すると、ソフィーが小声で言う。
「私が確認いたします」
ヘイスト殿下だったら、わたしは部屋にいないと言ってもらおうと思ったら、相手はローニャだった。
ローニャは突然やって来た事をわびてから、わたしに衝撃的な事を教えてくれた。
「大変よ。昨日、ファブロー公爵家の派閥の貴族の夜会が行われたんだけど…」
ローニャが部屋に入ってくるなり焦った顔で続ける。
「誰が流したかはわからないけれど、あなたとヘイスト殿下、それからジェレミー殿下の変な噂が流れているみたい」
「変な噂っていうのは、どういう噂?」
「アニエスとヘイスト殿下は愛し合っているのに、ジェレミー殿下に無理矢理別れさせられたんだって」
「何よ、それ。どうしてそんな訳のわからない噂が…?」
「ジェレミー殿下は病弱なんかじゃなくて、赤い瞳を持っているから婚約者が見つからなかった。だから無理矢理、アニエスをヘイスト殿下から奪った様にしたいんじゃないかしら?」
「誰がそんな事を言うの…? 信じられないわ」
眉を顰めて誰にとも無く呟いた。
ヘイスト殿下がキャロラインを信じてどうこうという話は社交界では噂になっていないの?
それはおかしいわよね…?
あれだけパーティー会場で派手に泣いていたんだから。
ヘイスト殿下は婚約発表までしたのよ…?
「きっと誰かが流したんだと思うけれど、こういう噂は出処がつかめないのよね…。だけど、婚約破棄をしたヘイスト殿下の話が何も言われていないのなら、噂を流した犯人、もしくは流させた犯人はわかるわよね」
ローニャが難しい顔をして言うので聞いてみる。
「でも、どうしてそんな噂を流そうとするのかしら?」
「わからないわ。何かメリットがあるからでしょうね…」
メリット?
ジェレミー殿下の評判を落として、何のメリットがあるの?
わたしとヘイスト殿下を一緒にさせたいの?
それは何の為に…?
「アニエス、噂の事はきっとジェレミー殿下が何とかされると思うわ」
「そうね…。今日、お話をする予定だから、その時に聞いてみる事にするわ」
ローニャはわたしの言葉を聞いて、大きく首を縦に振った。
この噂の事を聞いて、ヘイスト殿下が馬鹿な考えを持たなければいいんだけど…。
モヤモヤした気持ちのまま時間が経ったところで、予定よりも早くに、ジェレミー殿下がわたしの部屋に来てくれた。
ローテーブルをはさんで向かい合って座って話す事にして、ソフィーがお茶を入れてくれている間に、早速、わたしはファブロー公爵からの手紙をジェレミー殿下に見せて尋ねる。
「ファブロー公爵は一体、何がしたいのでしょうか? それに変な噂が社交場で流れているという話も聞きました」
「噂の事については私も聞いている。それについては、そんな事実はないと公表をしたし、これ以上、そんな噂を信じて流す様な人間がいたら処罰する通達を出したよ。躍起になって否定しても犯人の思うツボだと思っている」
「本当の事だからムキになっていると思われるかもしれないという事ですね?」
「そういう事。スキャンダルに関して、世間が面白がるのは多少はしょうがないと思っているし、強く言い過ぎると言論の自由を訴えてくるしね」
自分の言いたい事を何でもかんでも言っても良いと思っている人が少なからずいるから大変なのよね。
そういう人を処罰すると、他に王家をよく思っていない人が理不尽な理由で裁いたとか言いだしかねないし…。
「ゴシップ紙が私達の話を面白おかしく書こうとしていた様だから、それについては止めさせたけどね」
「庶民は好きでしょうけれど、王家としては嘘を広められるのは困るかと思いますので、それはしょうがない事だと思います」
「ありがとう。でも、君を巻き込んでしまってごめんね」
「謝らないで下さい。悪いのは変な噂を流した人間です。そんな事をさせるなという人もいるかもしれませんが、そんな事をする人間を責めないのはおかしいですから。でも、どうしてファブロー公爵はこんな事を…?」
「たぶん、叔父上は私の失脚を望んでいる。まずはヘイストを王にさせたいんだろう」
ジェレミー殿下の言葉に驚いて聞き返す。
「どうしてですか!? ヘイスト殿下が国王になったりしたら、国が無茶苦茶になりそうなんですが…」
「それを狙っているんじゃないかな」
「どういう事ですか…?」
「今のところ、我が国の王位継承順位は、私、ヘイスト、その後は叔父上になる」
「ファブロー公爵が継がれた場合は、次の王位継承順位はファブロー公爵のお子さんという事でしょうか」
「そうなるね」
ファブロー公爵は、自分が国王になりたいから嫌がらせをしているの?
頭の中でそう考えたところで、ジェレミー殿下がその答えを教えてくれた。
「叔父上は自分の家族を憎んでいる。だから、父上の子供である、ヘイストや私の事も憎いんだよ」
「どういう事ですか…? もしかして、ファブロー公爵が好きだったという、赤い瞳の女性の事にも関係するのでしょうか…?」
わたしの質問にジェレミー殿下は頷き、彼自身も聞いた話になるけれどと付け加えてから話し始めてくれた。
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