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第27話 ヘイストの婚約者
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王都から何日もかけてモナウ領に入り、無事に私はモナウ家にたどり着く事が出来た。
モナウ家の人達はエッカートお兄様だけでなく、家族全員が私に優しかった。
奥様もわたしの事を実の娘の様に可愛がり、甘やかしてくださった。
私の生い立ちを知ってくれているからかもしれないけど、使用人までもが私を温かく迎えてくれただけでなく、過保護じゃないかと口に出してしまうくらいに優しくて、とても幸せな時間を過ごせた。
女学校の方も途中からの入学とはいえ、モナウ家の娘という事で好意的に受け入れてくれて、少しだけ心配していたいじめみたいなものなんて一切なかった。
ヘイスト様は全寮制の男子校に入られたそうで、今のところ脱走を試みたような事はないらしい。
なぜ、それがわかるかというと、ジェレミー殿下の息のかかった人が、その学園に潜入していて、何かあれば報告してきてくれるんだそう。
ちなみにヘイスト様は、転入してから30日以上経っても友人が出来ていないようだった。
なぜかというと「自分はこんな所に来るべき人間じゃないんだ」と自己紹介の時点で言ってしまったんだそう。
好きでその学校に入学してきた人達にしてみれば、「じゃあ入ってくるな」と言い返したいのが本音だったみたい。
だけど、王子じゃなくなったといっても、相手は公爵令息だから、周りの人間はヘイスト様に何か言うわけでもないけれど、必要以上に話しかけもしないらしくて、普段は教室で1人で寂しそうにしているとの事で、少しだけ可哀想に思えたけれど、自業自得でもあるし、しょうがないと思った。
わたしの第二の学園生活は貴族しかいない学校だったからか、婚約者や恋人のいる人ばかりで、休み明けに顔を合わすと、それぞれの婚約者との話で花を咲かせた。
人の恋の話って幸せなものを聞くと、あたたかい気持ちになるので、とても楽しかった。
もちろん、自分達の事を話し終えた友人達からは、わたしの話をする様に求められたから、ジェレミー殿下との話をした。
ジェレミー殿下は公務が近くであると、何とか時間を作ってわたしに会いに来てくれた。
モナウ家の談話室でお茶を飲んでお話するくらいしか出来なかったけれど、会えると幸せな気持ちになったし、話をするのがとても楽しかった。
もちろん、私も長期休みの時は王都に帰って、別邸でお世話になった。
ジェレミー殿下は仕事で忙しい日の方が多いので、その間は、わたしはわたしで王太子妃の教育を少しずつ受けていった。
ヘイスト様の学園のお休みの日はわかっていたので、彼が休みに入る前に、わたしは早めのお休みをとり、王都へ出発し、帰りもヘイスト様よりも遅くに帰る事にして、彼に会わない様に調整した。
休みの間はヘイスト様も王都に戻ってきていて、毎日、わたしに会いたいと訪ねてきていたそうだけれど、門番が対処してくれて、滞在中は彼の姿を一度も見る事なく済んだ。
王都に戻っていた、とある日の事、ジェレミー殿下が早くに仕事を終えられたという事で、わたしの部屋に遊びに来てくれた。
「ヘイストのせいでせっかくの王都なのに遊びに出かけさせてあげられなくてごめんね」
「とんでもないです。遊びに行きたいという気持ちよりもヘイスト様に会いたくないという気持ちの方が強いですから」
「ヘイストに君から、その言葉を言ってもらっても、彼には理解出来ないんだろうね…。門番にヘイストが何て言っているか知ってる?」
「……どんな事でしょう?」
「離れて、より愛が深まったらしいよ」
「……迷惑ですね」
ヘイスト様はわたしに対して意地になっている様な気もしてきた。
だって、わたしにはそう大した魅力なんてないもの。
ヘイスト様は赤い瞳が嫌いだと言っていたし、わたしだって当てはまるはず。
それなのに、いつまでわたしと復縁しようとしたがるのかしら…。
そんな事を考えていると、ジェレミー殿下が微笑んで言う。
「こっちも何も考えていないわけじゃないよ。ファブロー公爵にはヘイストの新しい婚約者を探す様に伝えてある。その人と上手くいけば、アニエスにも付きまとわなくなるだろうから」
「相手がお気の毒な気もしますが…」
「だから、彼の事を好きだという女性を探している」
そう言われて、キャロライン達の事を思い出した。
「あの、キャロライン…、いえ、セバン元子爵令嬢達はどうなっているのでしょうか」
「……平民として暮らしているよ。幸せではなさそうだけどね」
「どういう事でしょう?」
「ご両親が離婚されて、実の母に捨てられた人もいる」
「……そうなんですか」
問題を起こした娘を切り捨てたというところかしら。
それが3人の内のどの家庭の話なのかはわからないけれど、聞いていても気分が悪くなる話だった。
自分で話題にしておきながらも、これ以上は聞かなくてもわかる気がして、話題を変えた。
それから、約1年後。
卒業を控え、わたしが王都に向かう準備を少しずつ開始し始めた頃、ジェレミー殿下から手紙が届いた。
そこにはヘイスト様の婚約者をファブロー公爵が見つけたと書かれてあり、その相手の名前が書かれていた。
ヘイスト様の新しい婚約者の名前は、ファブロー公爵家の派閥の侯爵令嬢と同じ名前であり、実際にそうだと書かれていて、そして、その侯爵令嬢は、わたしが王城に住む事になった時には、わたしの侍女になりたいと希望しているとの事だった。
モナウ家の人達はエッカートお兄様だけでなく、家族全員が私に優しかった。
奥様もわたしの事を実の娘の様に可愛がり、甘やかしてくださった。
私の生い立ちを知ってくれているからかもしれないけど、使用人までもが私を温かく迎えてくれただけでなく、過保護じゃないかと口に出してしまうくらいに優しくて、とても幸せな時間を過ごせた。
女学校の方も途中からの入学とはいえ、モナウ家の娘という事で好意的に受け入れてくれて、少しだけ心配していたいじめみたいなものなんて一切なかった。
ヘイスト様は全寮制の男子校に入られたそうで、今のところ脱走を試みたような事はないらしい。
なぜ、それがわかるかというと、ジェレミー殿下の息のかかった人が、その学園に潜入していて、何かあれば報告してきてくれるんだそう。
ちなみにヘイスト様は、転入してから30日以上経っても友人が出来ていないようだった。
なぜかというと「自分はこんな所に来るべき人間じゃないんだ」と自己紹介の時点で言ってしまったんだそう。
好きでその学校に入学してきた人達にしてみれば、「じゃあ入ってくるな」と言い返したいのが本音だったみたい。
だけど、王子じゃなくなったといっても、相手は公爵令息だから、周りの人間はヘイスト様に何か言うわけでもないけれど、必要以上に話しかけもしないらしくて、普段は教室で1人で寂しそうにしているとの事で、少しだけ可哀想に思えたけれど、自業自得でもあるし、しょうがないと思った。
わたしの第二の学園生活は貴族しかいない学校だったからか、婚約者や恋人のいる人ばかりで、休み明けに顔を合わすと、それぞれの婚約者との話で花を咲かせた。
人の恋の話って幸せなものを聞くと、あたたかい気持ちになるので、とても楽しかった。
もちろん、自分達の事を話し終えた友人達からは、わたしの話をする様に求められたから、ジェレミー殿下との話をした。
ジェレミー殿下は公務が近くであると、何とか時間を作ってわたしに会いに来てくれた。
モナウ家の談話室でお茶を飲んでお話するくらいしか出来なかったけれど、会えると幸せな気持ちになったし、話をするのがとても楽しかった。
もちろん、私も長期休みの時は王都に帰って、別邸でお世話になった。
ジェレミー殿下は仕事で忙しい日の方が多いので、その間は、わたしはわたしで王太子妃の教育を少しずつ受けていった。
ヘイスト様の学園のお休みの日はわかっていたので、彼が休みに入る前に、わたしは早めのお休みをとり、王都へ出発し、帰りもヘイスト様よりも遅くに帰る事にして、彼に会わない様に調整した。
休みの間はヘイスト様も王都に戻ってきていて、毎日、わたしに会いたいと訪ねてきていたそうだけれど、門番が対処してくれて、滞在中は彼の姿を一度も見る事なく済んだ。
王都に戻っていた、とある日の事、ジェレミー殿下が早くに仕事を終えられたという事で、わたしの部屋に遊びに来てくれた。
「ヘイストのせいでせっかくの王都なのに遊びに出かけさせてあげられなくてごめんね」
「とんでもないです。遊びに行きたいという気持ちよりもヘイスト様に会いたくないという気持ちの方が強いですから」
「ヘイストに君から、その言葉を言ってもらっても、彼には理解出来ないんだろうね…。門番にヘイストが何て言っているか知ってる?」
「……どんな事でしょう?」
「離れて、より愛が深まったらしいよ」
「……迷惑ですね」
ヘイスト様はわたしに対して意地になっている様な気もしてきた。
だって、わたしにはそう大した魅力なんてないもの。
ヘイスト様は赤い瞳が嫌いだと言っていたし、わたしだって当てはまるはず。
それなのに、いつまでわたしと復縁しようとしたがるのかしら…。
そんな事を考えていると、ジェレミー殿下が微笑んで言う。
「こっちも何も考えていないわけじゃないよ。ファブロー公爵にはヘイストの新しい婚約者を探す様に伝えてある。その人と上手くいけば、アニエスにも付きまとわなくなるだろうから」
「相手がお気の毒な気もしますが…」
「だから、彼の事を好きだという女性を探している」
そう言われて、キャロライン達の事を思い出した。
「あの、キャロライン…、いえ、セバン元子爵令嬢達はどうなっているのでしょうか」
「……平民として暮らしているよ。幸せではなさそうだけどね」
「どういう事でしょう?」
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自分で話題にしておきながらも、これ以上は聞かなくてもわかる気がして、話題を変えた。
それから、約1年後。
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そこにはヘイスト様の婚約者をファブロー公爵が見つけたと書かれてあり、その相手の名前が書かれていた。
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