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第28話 敵か味方か
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学校を卒業してから、約30日後、モナウ家の人達に別れを告げ、わたしは王都に戻ってきた。
王城での生活に耐えられなくなったら、心が壊れてしまう前にモナウ家に帰ってくる様にと何度も念押ししてくれた優しい家族とのお別れは辛かったけれど、覚悟していた事ではあったし、ジェレミー殿下の婚約者である以上、王都に戻る事は避けられない話だった。
前もって日を決めて連絡しておけば、里帰りする事は許されているので、また優しい家族のもとに帰るのを楽しみにして、王太子妃教育を頑張る事にした。
王太子妃教育というのは、国によっては全くしないところもあれば、幼い頃から受けさせられる国もあったりと色々で、本来ならこの国では王太子妃教育はもっと早くから受けていなければならなかった。
ただ、わたしの場合は特殊なケースで、ジェレミー殿下との婚約が決まったのが学生の時だった事も考慮されて、卒業後の今からとなった。
ヘイスト様の婚約者だったという事で、ある程度のマナーは、わたしを冷遇していたロロアル家でも講師の先生を付けてくれていたから何とかなりそうなので良かった。
大変なのは、外国の言葉だった。
陸続きの場所は同じ言語なのだけれど、そうでない島国などの国は独自の言語を持っていて、王族と会話するにも通訳が必要な場合が多い。
ジェレミー殿下はすでに他国の言葉を10カ国語も覚えているらしく、通訳なしで話せるらしくて、自国語しか話せないわたしにも、他の国の言葉を少なくとも3カ国語は話せるようになるようにという課題が官僚達から課せられた。
いつか王妃になった際に、通訳が必要がなく話せるようになれれば、聡明な王妃として相手にも好印象を与えられるからという外交的な理由だった。
そこで、提案されたのは他国語を話せる侍女を付けたらどうかという話になった。
日常生活で他国語を話せば、より覚えられるのではないかという事だった。
本来なら現地に行って学ぶ方がいいのだろうけれど、そうなると警備、宿泊費などが馬鹿にならないので、長い時間一緒に過ごす事になる侍女を他国語が話せる人にしようという事になったそう。
そこで白羽の矢が立ったのが、ヘイスト殿下の新たな婚約者、ミシェル・ゲリドンだった。
ゲリドン侯爵令嬢は5カ国語の会話も読み書きも出来るらしく、わたしが学ぼうとしている言語に関しては、特にネイティブに近いらしく、ヘイスト様の婚約者だという事に懸念はあったけれど、適役がいないという事と、2人きりにならないという制約付きで、ゲリドン侯爵令嬢が侍女の1人に選ばれた。
「ごめんね。たぶん、君に何かする様な人ではないと思う。ヘイストの事を好きみたいだから、君に嫌がらせをするんじゃないかと心配して確認したんだが、そうではなさそうだ。ただ、もし、何かおかしいとか何かされる事があったら教えて欲しいんだ」
ゲリドン侯爵令嬢がやって来る前日、ジェレミー殿下は申し訳無さそうな顔でわたしにそう言った。
そして次の日、その言葉の意味がわかる事になる。
「アニエス様の侍女になれるなんて本当に光栄ですわ」
簡単な挨拶の後、ゲリドン侯爵令嬢は続けた。
「ヘイスト様の事はわたくしにお任せ下さい。わたくしが必ず、ヘイスト様を幸せにしてさしあげますわ! ですから、アニエス様の事を教えて下さいませ! もちろん、任された仕事をおろそかにする様な事は致しません。ただ、わたくしはアニエス様の様になって、ヘイスト様の心をわたくしのものにしたいのです!」
「……わ、わかったわ。これから、よろしくね」
どうやら彼女は、ヘイスト様に好かれているわたしを憎んでいるのではなく、わたしの様になって、ヘイスト様に自分を好きになってもらおうとしている様だった。
王城での生活に耐えられなくなったら、心が壊れてしまう前にモナウ家に帰ってくる様にと何度も念押ししてくれた優しい家族とのお別れは辛かったけれど、覚悟していた事ではあったし、ジェレミー殿下の婚約者である以上、王都に戻る事は避けられない話だった。
前もって日を決めて連絡しておけば、里帰りする事は許されているので、また優しい家族のもとに帰るのを楽しみにして、王太子妃教育を頑張る事にした。
王太子妃教育というのは、国によっては全くしないところもあれば、幼い頃から受けさせられる国もあったりと色々で、本来ならこの国では王太子妃教育はもっと早くから受けていなければならなかった。
ただ、わたしの場合は特殊なケースで、ジェレミー殿下との婚約が決まったのが学生の時だった事も考慮されて、卒業後の今からとなった。
ヘイスト様の婚約者だったという事で、ある程度のマナーは、わたしを冷遇していたロロアル家でも講師の先生を付けてくれていたから何とかなりそうなので良かった。
大変なのは、外国の言葉だった。
陸続きの場所は同じ言語なのだけれど、そうでない島国などの国は独自の言語を持っていて、王族と会話するにも通訳が必要な場合が多い。
ジェレミー殿下はすでに他国の言葉を10カ国語も覚えているらしく、通訳なしで話せるらしくて、自国語しか話せないわたしにも、他の国の言葉を少なくとも3カ国語は話せるようになるようにという課題が官僚達から課せられた。
いつか王妃になった際に、通訳が必要がなく話せるようになれれば、聡明な王妃として相手にも好印象を与えられるからという外交的な理由だった。
そこで、提案されたのは他国語を話せる侍女を付けたらどうかという話になった。
日常生活で他国語を話せば、より覚えられるのではないかという事だった。
本来なら現地に行って学ぶ方がいいのだろうけれど、そうなると警備、宿泊費などが馬鹿にならないので、長い時間一緒に過ごす事になる侍女を他国語が話せる人にしようという事になったそう。
そこで白羽の矢が立ったのが、ヘイスト殿下の新たな婚約者、ミシェル・ゲリドンだった。
ゲリドン侯爵令嬢は5カ国語の会話も読み書きも出来るらしく、わたしが学ぼうとしている言語に関しては、特にネイティブに近いらしく、ヘイスト様の婚約者だという事に懸念はあったけれど、適役がいないという事と、2人きりにならないという制約付きで、ゲリドン侯爵令嬢が侍女の1人に選ばれた。
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そして次の日、その言葉の意味がわかる事になる。
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