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11 家族の訴え
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ちょっと待って。
お兄様は今、なんて言ったの?
昨日、あんなことをしておいてよく言えるものだわ。
「お兄様、今、自分が何を言ったのか理解されていますか」
我に返ったわたしがお兄様を睨みつけると、ヘラヘラと笑いながら話しかけてくる。
「ほら、僕にとってリウは大事な妹だけど、ファーラは双子だからさ、そっちを優先しないといけないと思って今まで話を合わせてやっていたんだよ」
「ふざけたことを言わないでください。そんな話をわたしが信じると思うのですか?」
「信じてくれよ。僕は本当はリウと仲良くしたかったんだよ!」
伯父様の遺産がわたしに渡るとわかったからか、お兄様はわたしとの関係を改善しようとし始めた。
典型的な手のひら返しだし、魂胆が丸わかりなので許す人なんているのかしら。
伯父様の手紙で感動していたのに、お兄様のせいで白けてしまった。
本当に最悪だわ。
「わたしはお兄様と仲良くしたいと思いません」
「そんな冷たいことを言わないでくれよ。血の繋がった兄妹じゃないか」
「血の繋がった兄妹でも、わかりあえない時があります。そして、今がそのわかり合えない時です」
一度、言葉を区切り、お兄様を睨みつけながら話を続ける。
「お兄様、わたしがあなたを許すだなんてありえません。自分が何をしたか、もうお忘れですか」
「ちょっとした意地悪をしただけだよ」
「ちょっとした意地悪ですって? では、わたしも同じことをお兄様たちにしても良いということですか」
「そ、それとこれとは別だよ。そんなことはしちゃいけない」
お兄様は笑みを引きつらせて否定した。
「してはいけないことをしておいて、よくちょっとした意地悪だなんて言えますわね。大体、意地悪だってしてはいけないものです」
「あれは彼らの暴走であって、僕らが指示したわけじゃない」
「よくもそんなことを」
レイ様たちが来てくれなかったら、わたしは本当に隣国に売り飛ばされていたかもしれない。
自分たちがやったことに、まったく悪気を感じていないだなんて、本当に最低な人たちだわ。
お兄様とお姉様は両親の教え通りに育ち、わたしだけが両親を反面教師にして育ったから、こんなにも考え方に違いが出るのかしら。
「リウ、今まで済まなかったな」
お父様が歩み寄ってくると、お母様も笑顔を作って近づいてくる。
「色々と誤解があったけれど、これからは仲良くしましょう。私たちは家族なんだから。あなたが平民と仲良くしようとしなければ、私たちだって優しくできていたのよ」
「ふざけないでください。仲良くできるわけがないでしょう。それにわたしは平民と仲良くすることをやめるつもりはありません」
冷たく言い放ったあと、コーミナ先生に尋ねる。
「遺言書の通りなら、新たなファーシバル公爵はわたしの婚約者になるわけですわね?」
「そうでございます。引き継ぎの書類にはすでにロイド様のサインをいただいています。そちらにリウ様の婚約者であるレイ様がサインをすれば良いだけです」
コーミナ先生が頷いたのを確認して、レイ様を見つめる。
「驚きだが、僕が辞退したら碌でもない人物が公爵になる恐れがある。なら、僕のほうが良いだろう」
レイ様はお父様とお兄様を見て言った。
お姉様が婚約者を交換してくれて本当に助かったわ。
もし、交換してくれていなかったら、フサス様が公爵になるところだった。
伯父様はわたしならフサス様をコントロールできると思ってくれていたみたいだけど、あの人と夫婦生活を送るのは辛かったと思う。
「そ、そうだ。辞退しろ! 二人共、辞退してくれ!」
「「お断りします」」
わたしとレイ様の声が重なった。
相手がお父様たちでなければ、わたしもレイ様も辞退していた可能性はある。
でも、今の状況ではあり得ない。
「なんて冷たい奴らなんだ……! このままではネイロス家は大変なことになるんだぞ!」
「お父様、先程、お話されていたことを覚えていらっしゃいますか?」
「先程、話していたことだと?」
お父様は聞き返してきたあと、今更、そんなことをしても無駄なのに口を押さえた。
「遺言書の開示が終われば、あなたと私たちはなんの縁もゆかりも無いものにさせてもらうわ、とお母様は言っていましたし、お父様たちも笑って頷いていましたよね」
視線を移しながら話すと、目が合った家族は気まずそうに目をそらした。
「もう用事は終わりましたわよね。お帰りください」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! この家の財産を当てにしていたことはリウも知っているだろう!」
お父様がわたしに手を伸ばしてきた。わたしが後ろにさがると同時に、レイ様がお父様の腕を掴んで捻り上げた。
「リウに乱暴しようとするのはやめてください」
「い、痛い! 放せ! いや、放してくれ! 暴力をふるうつもりはない! 話がしたいだけだ!」
「縁を切ったのですから、話すことなんてお互いにないでしょう」
レイ様はそう言うと、わたしに視線を送ってきた。
お客様がお帰りになる時に、レイ様はこんな風に無言で視線を送ってきていた。
「お帰りですわね」
笑顔で扉を開け、お父様だけでなく困惑の表情を浮かべている三人にも話しかける。
「興味がなかったので聞き流しておりましたが、ネイロス邸を売るのはいつとおっしゃっていましたでしょうか。荷物はまとめていますわよね。でしたら、これから住む場所を早く探したほうが良いかと思われます」
「ここに置いてくれたら良いじゃないの! 善良な人間ならそうするわ!」
お母様の訴えに笑顔を絶やさずに応える。
「家族と縁を切るだなんて、よっぽどのことですわよね。縁を切ってきた家族を住まわせる必要がありますか? それから、わたしは善良ではありませんので、ご希望には添えません。お帰りくださいませ」
「正式な発表は後日、レイ様からしていただきますので、それまでは関係者以外には口外しないようにお願いいたします」
私の話のあとにコーミナ先生は付け加えるように言うと頭を下げた。
お父様はレイ様の手を振り払って、声を荒らげる。
「口外するも何も認められない!」
「公爵閣下二人の承認があるのに覆るわけがないでしょう。お客様のお帰りだから邸の外までご案内してもらえる?」
お父様の叫びに言葉を返し、メイドにお願いすると「承知しました」と頷いた。
「待ってくれ! 話をさせてくれ!」
「「話すことなんてありません」」
わたしとレイ様が声を揃えると、警備兵は抵抗するお父様たちを押さえつけて、ファーシバル邸内から追い出してくれた。
お兄様は今、なんて言ったの?
昨日、あんなことをしておいてよく言えるものだわ。
「お兄様、今、自分が何を言ったのか理解されていますか」
我に返ったわたしがお兄様を睨みつけると、ヘラヘラと笑いながら話しかけてくる。
「ほら、僕にとってリウは大事な妹だけど、ファーラは双子だからさ、そっちを優先しないといけないと思って今まで話を合わせてやっていたんだよ」
「ふざけたことを言わないでください。そんな話をわたしが信じると思うのですか?」
「信じてくれよ。僕は本当はリウと仲良くしたかったんだよ!」
伯父様の遺産がわたしに渡るとわかったからか、お兄様はわたしとの関係を改善しようとし始めた。
典型的な手のひら返しだし、魂胆が丸わかりなので許す人なんているのかしら。
伯父様の手紙で感動していたのに、お兄様のせいで白けてしまった。
本当に最悪だわ。
「わたしはお兄様と仲良くしたいと思いません」
「そんな冷たいことを言わないでくれよ。血の繋がった兄妹じゃないか」
「血の繋がった兄妹でも、わかりあえない時があります。そして、今がそのわかり合えない時です」
一度、言葉を区切り、お兄様を睨みつけながら話を続ける。
「お兄様、わたしがあなたを許すだなんてありえません。自分が何をしたか、もうお忘れですか」
「ちょっとした意地悪をしただけだよ」
「ちょっとした意地悪ですって? では、わたしも同じことをお兄様たちにしても良いということですか」
「そ、それとこれとは別だよ。そんなことはしちゃいけない」
お兄様は笑みを引きつらせて否定した。
「してはいけないことをしておいて、よくちょっとした意地悪だなんて言えますわね。大体、意地悪だってしてはいけないものです」
「あれは彼らの暴走であって、僕らが指示したわけじゃない」
「よくもそんなことを」
レイ様たちが来てくれなかったら、わたしは本当に隣国に売り飛ばされていたかもしれない。
自分たちがやったことに、まったく悪気を感じていないだなんて、本当に最低な人たちだわ。
お兄様とお姉様は両親の教え通りに育ち、わたしだけが両親を反面教師にして育ったから、こんなにも考え方に違いが出るのかしら。
「リウ、今まで済まなかったな」
お父様が歩み寄ってくると、お母様も笑顔を作って近づいてくる。
「色々と誤解があったけれど、これからは仲良くしましょう。私たちは家族なんだから。あなたが平民と仲良くしようとしなければ、私たちだって優しくできていたのよ」
「ふざけないでください。仲良くできるわけがないでしょう。それにわたしは平民と仲良くすることをやめるつもりはありません」
冷たく言い放ったあと、コーミナ先生に尋ねる。
「遺言書の通りなら、新たなファーシバル公爵はわたしの婚約者になるわけですわね?」
「そうでございます。引き継ぎの書類にはすでにロイド様のサインをいただいています。そちらにリウ様の婚約者であるレイ様がサインをすれば良いだけです」
コーミナ先生が頷いたのを確認して、レイ様を見つめる。
「驚きだが、僕が辞退したら碌でもない人物が公爵になる恐れがある。なら、僕のほうが良いだろう」
レイ様はお父様とお兄様を見て言った。
お姉様が婚約者を交換してくれて本当に助かったわ。
もし、交換してくれていなかったら、フサス様が公爵になるところだった。
伯父様はわたしならフサス様をコントロールできると思ってくれていたみたいだけど、あの人と夫婦生活を送るのは辛かったと思う。
「そ、そうだ。辞退しろ! 二人共、辞退してくれ!」
「「お断りします」」
わたしとレイ様の声が重なった。
相手がお父様たちでなければ、わたしもレイ様も辞退していた可能性はある。
でも、今の状況ではあり得ない。
「なんて冷たい奴らなんだ……! このままではネイロス家は大変なことになるんだぞ!」
「お父様、先程、お話されていたことを覚えていらっしゃいますか?」
「先程、話していたことだと?」
お父様は聞き返してきたあと、今更、そんなことをしても無駄なのに口を押さえた。
「遺言書の開示が終われば、あなたと私たちはなんの縁もゆかりも無いものにさせてもらうわ、とお母様は言っていましたし、お父様たちも笑って頷いていましたよね」
視線を移しながら話すと、目が合った家族は気まずそうに目をそらした。
「もう用事は終わりましたわよね。お帰りください」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! この家の財産を当てにしていたことはリウも知っているだろう!」
お父様がわたしに手を伸ばしてきた。わたしが後ろにさがると同時に、レイ様がお父様の腕を掴んで捻り上げた。
「リウに乱暴しようとするのはやめてください」
「い、痛い! 放せ! いや、放してくれ! 暴力をふるうつもりはない! 話がしたいだけだ!」
「縁を切ったのですから、話すことなんてお互いにないでしょう」
レイ様はそう言うと、わたしに視線を送ってきた。
お客様がお帰りになる時に、レイ様はこんな風に無言で視線を送ってきていた。
「お帰りですわね」
笑顔で扉を開け、お父様だけでなく困惑の表情を浮かべている三人にも話しかける。
「興味がなかったので聞き流しておりましたが、ネイロス邸を売るのはいつとおっしゃっていましたでしょうか。荷物はまとめていますわよね。でしたら、これから住む場所を早く探したほうが良いかと思われます」
「ここに置いてくれたら良いじゃないの! 善良な人間ならそうするわ!」
お母様の訴えに笑顔を絶やさずに応える。
「家族と縁を切るだなんて、よっぽどのことですわよね。縁を切ってきた家族を住まわせる必要がありますか? それから、わたしは善良ではありませんので、ご希望には添えません。お帰りくださいませ」
「正式な発表は後日、レイ様からしていただきますので、それまでは関係者以外には口外しないようにお願いいたします」
私の話のあとにコーミナ先生は付け加えるように言うと頭を下げた。
お父様はレイ様の手を振り払って、声を荒らげる。
「口外するも何も認められない!」
「公爵閣下二人の承認があるのに覆るわけがないでしょう。お客様のお帰りだから邸の外までご案内してもらえる?」
お父様の叫びに言葉を返し、メイドにお願いすると「承知しました」と頷いた。
「待ってくれ! 話をさせてくれ!」
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わたしとレイ様が声を揃えると、警備兵は抵抗するお父様たちを押さえつけて、ファーシバル邸内から追い出してくれた。
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