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11 妹のプライド
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数時間後、お父様が疲れた顔で別邸にやって来た。
もう、夜も遅くなってきたので、アズアルド殿下とトーリ様は客室で休んでもらっているとの事だった。
本来なら、長旅の疲れもあるだろうから、お父様にも今日は休んでほしかったけれど、そういうわけにはいかないと、別邸の方で軽い食事をとりながら、お兄様達の話をしてくれた。
ノーラル様は別にお兄様を焚き付けたわけではなく、ルピノの事を思って言ってみただけだと言って、自分の関与を否定した。
お兄様も自分が勘違いしただけだと、ノーラル様を庇い、私を独房にいれた事に関しては正しい事をしたと主張したんだそう。
ノーラル様へのポイント稼ぎなのか、心から彼女を守ろうとしたのか、それに関しては、お父様も判断がついていないみたいだった。
最終的に疑わしいものは罰せず方式になり、ノーラル様に罰はないけれど、お兄様への罰として、ノーラル様は私が閉じ込められていた独房に入れられる事になったらしい。
そして、その世話をするのがお兄様なんだそう。
この件で、お兄様はノーラル様に嫌われてしまうかもしれない。
そうなると、余計にノーラル様はお父様に執着しようとするかも…。
だって、このままだと、お兄様は廃嫡されてしまうだろうから。
私の家には弟も妹もいないから、本来ならば、私がこの家を継いだ方が良いのでしょうけど、アズアルド殿下との話が進みかけている以上、それは無理だから、お父様は私の従兄弟の家などをまわり、そこから隣国へ渡ったとの事で、かなり疲労と心労がたまっている様に見えた。
だから、話を終えた後は、とにかく、今日は休んだ方が良いと進言した。
次の日の朝、ルピノが別邸の入り口で叫んでいるのが聞こえてきた。
「お姉様に会いたいの! 中にいれてちょうだい!」
「申し訳ございませんが、ルピノ様、当主様より、ルピノ様やボラウン様を別邸内に入れない様にと指示を受けております」
「あなたよりも私の方が偉いって事はわかってる!?」
「存じております」
「なら、中にいれなさいよ!」
ルピノは無茶苦茶な事を言っていた。
騎士よりもルピノが偉いにしても、ルピノよりもお父様の方が偉いんだから、騎士がルピノを中にいれるはずがない。
彼女は自分が責任を取るのだと言いたいのだろうけれど、本当にそうかはわからないし、命令違反になるから、そんな事を言われても騎士だって困るわよね。
しょうがないので、身支度を済ませて、座り込みを始めそうなルピノと話をする為に、エントランスホールまでおりていくと、執事に止められた。
でも、どうせ、外に出るには彼女と顔を合わせないといけないので、とりあえず話を聞いてあげる事にした。
「おはよう、ルピノ。私に何か用?」
「何か用じゃないわ! 今、お母様がどうなっているのか知ってるんですか!?」
「それは私のせいじゃないわ。文句を言うならお兄様に言ってちょうだい」
「文句は言っていますよ! だけど、お母様に嫌われたとかなんとか言って話にならないんです!」
困ったお兄様だわ。
後で、お父様に連絡して叱ってもらわないと…。
といっても、叱ったくらいではどうにもならないのでしょうけれど…。
昔のお兄様はそんな人じゃなかった。
恋って、人を変えてしまうのね。
ふぅ、と小さくため息を吐くと、ルピノは自分に対してため息を吐いたのだと勘違いして、もっと怒り始める。
「セイン殿下に連絡しましたから!」
「助かるわ。ちょうど婚約破棄についてのお話をしたかったの。あなたも一緒にお話しましょう。ご希望なら、アズアルド殿下達にも入っていただいてもいいんじゃない?」
「そんなに偉そうにしているのも今のうちよ。アズアルド殿下が国に帰られる前に、私は彼を絶対におとしてみせるわ。もちろん、国に帰られても私のものにするまでは諦めない! 私のプライドをかけるわ!」
「あなた、それだったら、もうプライドなんてないんじゃないの? 学生時代、どれだけアズアルド殿下に相手にされなかったの」
さらっと言ってしまったけれど、彼女にとっては言われたくない言葉だったらしく、歯ぎしりをしてルピノは怒る。
「余裕ぶっていられるのも今の内ですから! お父様にも伝えておきますけど、セイン殿下が今日の昼に会いたいと言ってましたので、よろしくお願いしますね!」
「……わかったわ」
職場に顔を出さないとと思っていたから、ちょうど、良かったわ。
もう、夜も遅くなってきたので、アズアルド殿下とトーリ様は客室で休んでもらっているとの事だった。
本来なら、長旅の疲れもあるだろうから、お父様にも今日は休んでほしかったけれど、そういうわけにはいかないと、別邸の方で軽い食事をとりながら、お兄様達の話をしてくれた。
ノーラル様は別にお兄様を焚き付けたわけではなく、ルピノの事を思って言ってみただけだと言って、自分の関与を否定した。
お兄様も自分が勘違いしただけだと、ノーラル様を庇い、私を独房にいれた事に関しては正しい事をしたと主張したんだそう。
ノーラル様へのポイント稼ぎなのか、心から彼女を守ろうとしたのか、それに関しては、お父様も判断がついていないみたいだった。
最終的に疑わしいものは罰せず方式になり、ノーラル様に罰はないけれど、お兄様への罰として、ノーラル様は私が閉じ込められていた独房に入れられる事になったらしい。
そして、その世話をするのがお兄様なんだそう。
この件で、お兄様はノーラル様に嫌われてしまうかもしれない。
そうなると、余計にノーラル様はお父様に執着しようとするかも…。
だって、このままだと、お兄様は廃嫡されてしまうだろうから。
私の家には弟も妹もいないから、本来ならば、私がこの家を継いだ方が良いのでしょうけど、アズアルド殿下との話が進みかけている以上、それは無理だから、お父様は私の従兄弟の家などをまわり、そこから隣国へ渡ったとの事で、かなり疲労と心労がたまっている様に見えた。
だから、話を終えた後は、とにかく、今日は休んだ方が良いと進言した。
次の日の朝、ルピノが別邸の入り口で叫んでいるのが聞こえてきた。
「お姉様に会いたいの! 中にいれてちょうだい!」
「申し訳ございませんが、ルピノ様、当主様より、ルピノ様やボラウン様を別邸内に入れない様にと指示を受けております」
「あなたよりも私の方が偉いって事はわかってる!?」
「存じております」
「なら、中にいれなさいよ!」
ルピノは無茶苦茶な事を言っていた。
騎士よりもルピノが偉いにしても、ルピノよりもお父様の方が偉いんだから、騎士がルピノを中にいれるはずがない。
彼女は自分が責任を取るのだと言いたいのだろうけれど、本当にそうかはわからないし、命令違反になるから、そんな事を言われても騎士だって困るわよね。
しょうがないので、身支度を済ませて、座り込みを始めそうなルピノと話をする為に、エントランスホールまでおりていくと、執事に止められた。
でも、どうせ、外に出るには彼女と顔を合わせないといけないので、とりあえず話を聞いてあげる事にした。
「おはよう、ルピノ。私に何か用?」
「何か用じゃないわ! 今、お母様がどうなっているのか知ってるんですか!?」
「それは私のせいじゃないわ。文句を言うならお兄様に言ってちょうだい」
「文句は言っていますよ! だけど、お母様に嫌われたとかなんとか言って話にならないんです!」
困ったお兄様だわ。
後で、お父様に連絡して叱ってもらわないと…。
といっても、叱ったくらいではどうにもならないのでしょうけれど…。
昔のお兄様はそんな人じゃなかった。
恋って、人を変えてしまうのね。
ふぅ、と小さくため息を吐くと、ルピノは自分に対してため息を吐いたのだと勘違いして、もっと怒り始める。
「セイン殿下に連絡しましたから!」
「助かるわ。ちょうど婚約破棄についてのお話をしたかったの。あなたも一緒にお話しましょう。ご希望なら、アズアルド殿下達にも入っていただいてもいいんじゃない?」
「そんなに偉そうにしているのも今のうちよ。アズアルド殿下が国に帰られる前に、私は彼を絶対におとしてみせるわ。もちろん、国に帰られても私のものにするまでは諦めない! 私のプライドをかけるわ!」
「あなた、それだったら、もうプライドなんてないんじゃないの? 学生時代、どれだけアズアルド殿下に相手にされなかったの」
さらっと言ってしまったけれど、彼女にとっては言われたくない言葉だったらしく、歯ぎしりをしてルピノは怒る。
「余裕ぶっていられるのも今の内ですから! お父様にも伝えておきますけど、セイン殿下が今日の昼に会いたいと言ってましたので、よろしくお願いしますね!」
「……わかったわ」
職場に顔を出さないとと思っていたから、ちょうど、良かったわ。
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