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23 怯える男性達
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残りの2人は特に知り合いだったわけではないようで、お手洗いに連れ込まれた男性を助けるつもりはなさそうだった。
扉が開かないとわかったあとは、慌てて中にいる人をおいて立ち去ってしまった。
といっても、彼らにも見張りがつけられているので逃げる事は出来ない。
私は目の前の男性に集中することにした。
「私をどうしようとしていたか、教えていただけませんか? それから、挨拶が遅れましたわね」
怯えている男性に、にこりと微笑む。
「私の名前はルリ・トニアと申します。男爵令嬢をお探しのようですけど、残念ながら、私は男爵令嬢ではありません」
「ルリ……、トニア様……?」
男性の顔色がみるみる内に青くなっていく。
私の顔を知らなくても、名前は知っているみたいだった。
「どうして、そんな方がここにいらっしゃるんですか!?」
「私の婚約者のアズアルド殿下の妹がシエラさんですから」
「シエラ……? 第一王女殿下の……?」
そこまで言って、男性はガタガタと震え始めた。
「そ、そう言われてみれば、シエラ様はキトロフ伯爵家に降嫁されて……。で、では、こ、この邸は……!?」
「キトロフ伯爵邸よ? あなた、何も知らずにここまでいらっしゃったの?」
「も、も、申し訳ございません! 何も知らなかったんです!」
男性は尻餅の状態から体勢を変えて、私の前で額を付けて懇願する。
「お許しください! 私はただの平民で、頼まれた仕事をやろうとしていただけなんです!」
「頼まれた仕事とは、どんなお仕事? 女性を襲おうとする事がお仕事だなんて、どんな職業か教えていただきたいわ」
「そ、そ、それは……!!」
男性はもう逃げられないと諦めたのか観念して、なぜ自分がこの邸にくることになったのか、その経緯を話をすると言った。
すぐに騒ぎを聞きつけたキトロフ伯爵が来てくれたこともあり、キトロフ邸の一室を借りて、わたしが捕まえた男性と、逃げた2人を集めて、キトロフ伯爵が尋問を開始した。
3人共に、私のことを男爵令嬢だと思い込んでいた。
私を襲って傷をつけられたら、報酬をもらえると聞いて、この邸にやって来たらしかった。
マーニャ嬢の手引きにより邸内に入り、私がターゲットだと教えられ、手を出そうとしたんだそう。
どうして、会ったばかりの人間の話をそう簡単に信じられるのかしら?
「男爵令嬢であろうが平民であろうが、女性を襲おうとするだなんてありえない」
話を聞き終えたキトロフ伯爵は眉を寄せて続ける。
「しかもキトロフ邸内で不祥事を起こそうとするとはな……」
今、初めて知ったふりをして、キトロフ伯爵はそう言うと、近くに控えていた執事に命令する。
「手引したのはマーニャだな。マーニャを呼んできてくれ」
「承知いたしました。それから、この男達はいかが致します?」
「王太子妃候補のルリ様を襲おうとしたんだ。ただでは済まさない。だが、まだ連れて行かなくていい」
キトロフ伯爵の執事への言葉を聞いた男性達は、顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしながら、キトロフ伯爵と私に「許してください」と叫んだ。
そして、しばらくして、上機嫌でマーニャ嬢が部屋に入ってきた。
けれど、ロープでぐるぐる巻きにされた男性達を見て、慌てて部屋から出ていこうとした。
「マーニャ、なぜ逃げる?」
キトロフ伯爵に問われ、マーニャ嬢は立ち止まり、こちらには振り返らずに答える。
「……知らない男性がいるからです」
「そうか。その知らない男性を邸内にいれたのはお前なんだが?」
その言葉を聞いたマーニャ嬢は、びくりと体を震わせたのだった。
扉が開かないとわかったあとは、慌てて中にいる人をおいて立ち去ってしまった。
といっても、彼らにも見張りがつけられているので逃げる事は出来ない。
私は目の前の男性に集中することにした。
「私をどうしようとしていたか、教えていただけませんか? それから、挨拶が遅れましたわね」
怯えている男性に、にこりと微笑む。
「私の名前はルリ・トニアと申します。男爵令嬢をお探しのようですけど、残念ながら、私は男爵令嬢ではありません」
「ルリ……、トニア様……?」
男性の顔色がみるみる内に青くなっていく。
私の顔を知らなくても、名前は知っているみたいだった。
「どうして、そんな方がここにいらっしゃるんですか!?」
「私の婚約者のアズアルド殿下の妹がシエラさんですから」
「シエラ……? 第一王女殿下の……?」
そこまで言って、男性はガタガタと震え始めた。
「そ、そう言われてみれば、シエラ様はキトロフ伯爵家に降嫁されて……。で、では、こ、この邸は……!?」
「キトロフ伯爵邸よ? あなた、何も知らずにここまでいらっしゃったの?」
「も、も、申し訳ございません! 何も知らなかったんです!」
男性は尻餅の状態から体勢を変えて、私の前で額を付けて懇願する。
「お許しください! 私はただの平民で、頼まれた仕事をやろうとしていただけなんです!」
「頼まれた仕事とは、どんなお仕事? 女性を襲おうとする事がお仕事だなんて、どんな職業か教えていただきたいわ」
「そ、そ、それは……!!」
男性はもう逃げられないと諦めたのか観念して、なぜ自分がこの邸にくることになったのか、その経緯を話をすると言った。
すぐに騒ぎを聞きつけたキトロフ伯爵が来てくれたこともあり、キトロフ邸の一室を借りて、わたしが捕まえた男性と、逃げた2人を集めて、キトロフ伯爵が尋問を開始した。
3人共に、私のことを男爵令嬢だと思い込んでいた。
私を襲って傷をつけられたら、報酬をもらえると聞いて、この邸にやって来たらしかった。
マーニャ嬢の手引きにより邸内に入り、私がターゲットだと教えられ、手を出そうとしたんだそう。
どうして、会ったばかりの人間の話をそう簡単に信じられるのかしら?
「男爵令嬢であろうが平民であろうが、女性を襲おうとするだなんてありえない」
話を聞き終えたキトロフ伯爵は眉を寄せて続ける。
「しかもキトロフ邸内で不祥事を起こそうとするとはな……」
今、初めて知ったふりをして、キトロフ伯爵はそう言うと、近くに控えていた執事に命令する。
「手引したのはマーニャだな。マーニャを呼んできてくれ」
「承知いたしました。それから、この男達はいかが致します?」
「王太子妃候補のルリ様を襲おうとしたんだ。ただでは済まさない。だが、まだ連れて行かなくていい」
キトロフ伯爵の執事への言葉を聞いた男性達は、顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしながら、キトロフ伯爵と私に「許してください」と叫んだ。
そして、しばらくして、上機嫌でマーニャ嬢が部屋に入ってきた。
けれど、ロープでぐるぐる巻きにされた男性達を見て、慌てて部屋から出ていこうとした。
「マーニャ、なぜ逃げる?」
キトロフ伯爵に問われ、マーニャ嬢は立ち止まり、こちらには振り返らずに答える。
「……知らない男性がいるからです」
「そうか。その知らない男性を邸内にいれたのはお前なんだが?」
その言葉を聞いたマーニャ嬢は、びくりと体を震わせたのだった。
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