価値がないと言われた私を必要としてくれたのは、隣国の王太子殿下でした

風見ゆうみ

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33 ルピノの行方

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 出入国在留管理局の収容所が襲われたという連絡が私の耳に入ったのは、アザレアにルピノの話を色々と聞いた2日後の事だった。

 収容所が襲われ、ルピノだけがいなくなったという事を教えてくれたのは、アズだった。

「夕食をとりながら話そうか」

 部屋に来てくれたアズと一緒にダイニングルームに向かった。

 アズが手配してくれていたのか、私達が席につくとすぐに料理が運ばれてきた。

 食事の合間に話をする。

「ルピノはどうなったんでしょうか?」
「それがわからない。腹が立つことに見張らせていた人間も昏倒させられて、何が起こったのかわかってないんだ」
「……そうなのですね。その方の命に別状はないのですか?」
「ああ。それは大丈夫みたいだ。相手はプロを雇ったんだろう。こっちは王室に仕えている人間を見張りに使うわけにはいかないから、一般の人間に見張りを頼んでいた。まさか、相手がここまでするとは思わなかった」

 アズは悲しそうな顔になって目を伏せた。

 無関係の人を巻き込んでしまったことを悔やんでいるのだと思われた。

 それを思わないといけないのは私なのに。

 私がルピノの命を助けようとしたら、関係のない人に怪我をさせてしまった。
 本当に申し訳ないわ。

「ルピノを攫った相手が誰かはわかっているのですか?」
「それが難しいところなんだ」
「難しい……?」
「ああ。収容所の近くでヤイネバ卿の姿を見かけたという職員の証言もあるし、シイナレンラジ家の次期当主である、フィールの姿を見たという証言もあるんだ」
「……どういう事でしょう?」

 ヤイネバ卿とシイナレンラジ家の次期当主であるフィール様が手を組んだということ?

「わからない。手を組んだのか、それとも、フィールがヤイネバ卿にルピノ嬢を強引に攫い、その後に、フィールが彼女を奪って連れて行ったか」

 アズはこめかみをおさえて言った。

「ヤイネバ卿やフィール様は今はどうされているのです?」
「ヤイネバ卿に関しては姿を確認できていない。フィールに関しては屋敷から出ていない」
「アズとしては、どちらの可能性が高いと思っているのですか? ヤイネバ卿達が手を組んでいる可能性の方が高いと思っているのですか?」
「手を組んでいるふりをしているんじゃないかと思っている」
「……今、ルピノは無事なのでしょうか」

 彼女を心配する私もどうかと思うけれど、人として心配するのは、おかしくはないわよね? 

「無事は無事だと思うよ。どうやら、二人の目的はルピノ嬢のようだから」
「ということは……、フィール様はルピノのことを……?」
「そうみたいだ。フィールはルピノ嬢と年が変わらないし、彼女の虜になったのかもしれない」
「二人に接点はあったのでしょうか?」
「シイナレンラジ家を見張っている人間が言うには、たぶん、ルピノ嬢が別邸に来た時に彼女を見て、一目惚れをしたんじゃないかって」
「ルピノは見た目は可愛いですものね」

 ただ、見ているだけなら、多くの男性にとってはルピノはかなり魅力的に見えると思うからしょうがないわ。

「このまま、放置しても良いのでしょうか?」
「ヤイネバ卿が国に連れ帰ってしまっているのなら、深追いするつもりはない。そのことを伝えたかった。せっかく守ろうとしていたのに、本当にごめん」
「謝らないでください。私は何もできていませんから」

 首を横に振ると、アズは表情を引き締めて言う。

「もし、フィールが関わっていて、その証拠を押さえられそうなら、今度こそ、シイナレンラジ家を潰す。その時は、ルピノ嬢を助け出せると思う」
「そうなればルピノを罪人として、国へ送り返し、罪を償ってもらうことにしなければなりませんね。でも、それが1番良いと思いますわ」

 出来れば、これ以上、誰も犠牲になることなく問題事が終息しますように。

 そう願った。




※次話はルピノ視点です。
話が終わりに近付きましたので、申し訳ございませんが更新を朝と夜の2回に変更させていただきます。



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