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26 類は友を呼ぶ ①
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王妃陛下との約束の時間に遅れることがあってはいけません。そのため、私たちは朝早くから出発し、朝の10時前には王都に着くことができました。
今から向かうには時間が早すぎるため、朝から夕方まで営業している、貴族に人気のカフェで休憩してから向かうことになりました。
公爵家で休めばいいのですが、先日、私がこのカフェに行ってみたいと言っていたことを、ジェリク様は覚えてくれていたみたいです。
カフェの店員は、ジェリク様がやって来たことに大いに喜びましたが、隣にいる私を見て、どこか戸惑った様子です。
私とリブレット男爵の結婚は多くの方に知られていますが、私とジェリク様の結婚は王族と一部の貴族、そして、リブレット男爵家の領民しか知りません。
私とジェリク様の結婚は噂として貴族の間に出回ってはいるようですが、公式な発表をしていないため、信じていない人もたくさんいて、店員もその一人だったのでしょう。
気持ちはわからなくもないです。私は、予知夢を見れると嘘をついていた人間扱いですから、男爵とはお似合いでも公爵令息とはお似合いではないのでしょう。
こうやって一緒にいる時点で噂は本当だったのかと理解してほしいものです。
店の奥の席に通してもらい、店員が注文を聞き終えて去っていくと、ジェリク様は苦笑します。
「今日はトレジット公爵家に泊まることにしよう。遅くなったが、君と俺が結婚したことをトレジット公爵家から正式に発表してもらおう。どんな輩がいるかわからないから、しばらくの間は、おばあさまも公爵家に来てもらうことにする」
「公爵家にいるほうが安全ですものね。ただ、お祖母様のお年を考えると、あまり移動はさせたくないのですが……」
「そうだな。なら、これから住む家はトレジット公爵家に移そうか」
「わがままを言って申し訳ございません」
「わがままなんかじゃない。おばあさまを思うのなら当たり前のことだ」
ジェリ様が優しく微笑み、私の頬に触れました。
個室のないカフェなので、他のお客さんも多くいるため、ジェリク様の笑顔を見た人の驚きの声が聞こえてきます。
「ジェリク様とシアリン様の話は本当だったんだな」
「でも、シアリン様は嘘つきなんでしょう? そんな人を妻にするなんて信じられないわ」
ひそひそと話す声が耳に届き、そちらに目を向けると、話をしていた男女は「「ひっ!」」と悲鳴を上げて立ち上がりました。
「きょ、今日は帰ろう」
「そうね!」
私は何も言っていませんのに、二人は慌てた様子で店から出ていってしまいます。
いきなりどうしたのかと思って、ジェリク様を見ると、私に向けられたことのない冷たい目で二人を睨みつけていました。
「ジェリク様」
「……どうした?」
私が声を掛けると、ジェリク様は別人のように優しい顔になって私を見つめます。
感情のコントロールが上手くできていない気もしますが、特別扱いしてもらえている気がして幸せです。
「連れてきてくださり、ありがとうございます」
「喜んでくれたのなら良かった。周りの声は気にするな。どうせ、近いうちに真実を知るんだ」
「気にしておりませんよ」
運ばれてきた紅茶を飲んで微笑むと、ジェリク様はホッとしたような顔になりました。
それから、好きなお茶の話をしていると時間が迫ってきていることに気づきました。
邪魔もありましたし、滞在時間はほんの少しでしたが、ジェリク様とデートできたみたいで嬉しい時間でした。
「ジェリク様、そろそろ向かいましょうか」
「そうだな。……その前に、父上たちに連絡を入れておきたいんだ。俺は一度外に出るから店の中で待っていてくれ」
「承知いたしました。では、メイク直しをしてきます」
「わかった」
ジェリク様は付き人に支払いを指示し、伝令と話をするために外へ出ていきました。
世話係のメイドに頼んでメイクを直してもらい、席に戻ろうとした時でした。
店の中にお姉様の友人たちが入ってきたのです。男女合わせて5人のグループで、たしか、伯爵家と子爵家しかいません。
真後ろにジェリク様が立っていますが、そのことには気づいていないようでした。
ジェリク様は存在感があるはずですのに、完全に気配を消しておられます。
うしろぉぉ!
と言ってあげたい気分ですが、ジェリク様に何らかの意図があるのでしょうし黙っておくことにします。
5人は前方にいた私に気がつくと、一瞬で笑顔を消し去りました。そして、その中の一人である、長い茶色の髪を一つにまとめた男性が目を吊り上げて話しかけてきます。
「ラーナからジェリク様を奪ったらしいな」
「ジェリク様がお姉様のものだったことはありませんので奪ってはいません」
「ということは、噂は嘘なのか? どうして嘘ばかりつくんだ?」
「お姉様が嘘をついているという可能性は考えないのですか?」
「ラーナは清らかな女性だ。嘘をつくような人じゃない! 奪っていないということは相手はジェリク様じゃないんだな? それなら今すぐみんなの前で、自分とジェリク様は何の関係もないと言って謝るんだ!」
お姉様の友人たちは私を見て嘲笑していますが、他のお客さんは哀れみの目で5人を見つめていました。赤色の髪の女性が一本前に出て話し始めます。
「ジェリク様が嘘つきを相手にするわけなわよね。ラーナ様がここに来たら、このことをお話して安心してもらいましょう」
「私はお姉様からジェリク様を奪ってはいませんが、結婚はしましたよ」
「ふざけないで! 今、ラーナ様は王太子殿下と一緒に国王陛下に謁見中よ。あなたのことを報告しているんでしょうね! 王族に嘘をついた罪で、あなたは国外追放よ!」
「いや、処刑に決まっている! 謁見を終えたあとのラーナと、ここで会う約束をしているんだ。ラーナをいじめた君がどうなるのか話を聞くのが楽しみだ」
私はサブル殿下に掴みかかられる予定のお姉様が、どうなるのか気になりますね。それにしても、お姉様は本当に不思議な人です。国王陛下が自分を助けてくれるという自信はどこから出てくるのでしょうか。
国王陛下とサブル殿下は似ているそうですし、まさか女性の好みも同じなのでしょうか。
何も言わずに目をパチパチさせていると、その態度に苛立ったのか、男性が「おい、聞いているのか!」と叫びました。
「聞いておりますが、詳しいことを調べずに言いたいことを言うと、あとで悔やむことになりますよ?」
「人の話を聞いていない奴が偉そうに言うな!」
「シアリンは話を聞いているが、くだらなくて相手にしていないだけだ」
「……ああ?」
背後から聞こえてきた声に、鬱陶しそうな顔をして振り返った男性は、ジェリク様に気がついて慌て始めます。
「ジェ、ジェリク様!?」
さて、彼らはどんな話をジェリク様にするつもりでしょうか。
以前、家に遊びに来た彼らから、嫌がらせを受けたことがあります。時間がありませんので、今日は軽いお返しをさせてもらいましょう。
後悔して、私に謝っても許しませんからね。
今から向かうには時間が早すぎるため、朝から夕方まで営業している、貴族に人気のカフェで休憩してから向かうことになりました。
公爵家で休めばいいのですが、先日、私がこのカフェに行ってみたいと言っていたことを、ジェリク様は覚えてくれていたみたいです。
カフェの店員は、ジェリク様がやって来たことに大いに喜びましたが、隣にいる私を見て、どこか戸惑った様子です。
私とリブレット男爵の結婚は多くの方に知られていますが、私とジェリク様の結婚は王族と一部の貴族、そして、リブレット男爵家の領民しか知りません。
私とジェリク様の結婚は噂として貴族の間に出回ってはいるようですが、公式な発表をしていないため、信じていない人もたくさんいて、店員もその一人だったのでしょう。
気持ちはわからなくもないです。私は、予知夢を見れると嘘をついていた人間扱いですから、男爵とはお似合いでも公爵令息とはお似合いではないのでしょう。
こうやって一緒にいる時点で噂は本当だったのかと理解してほしいものです。
店の奥の席に通してもらい、店員が注文を聞き終えて去っていくと、ジェリク様は苦笑します。
「今日はトレジット公爵家に泊まることにしよう。遅くなったが、君と俺が結婚したことをトレジット公爵家から正式に発表してもらおう。どんな輩がいるかわからないから、しばらくの間は、おばあさまも公爵家に来てもらうことにする」
「公爵家にいるほうが安全ですものね。ただ、お祖母様のお年を考えると、あまり移動はさせたくないのですが……」
「そうだな。なら、これから住む家はトレジット公爵家に移そうか」
「わがままを言って申し訳ございません」
「わがままなんかじゃない。おばあさまを思うのなら当たり前のことだ」
ジェリ様が優しく微笑み、私の頬に触れました。
個室のないカフェなので、他のお客さんも多くいるため、ジェリク様の笑顔を見た人の驚きの声が聞こえてきます。
「ジェリク様とシアリン様の話は本当だったんだな」
「でも、シアリン様は嘘つきなんでしょう? そんな人を妻にするなんて信じられないわ」
ひそひそと話す声が耳に届き、そちらに目を向けると、話をしていた男女は「「ひっ!」」と悲鳴を上げて立ち上がりました。
「きょ、今日は帰ろう」
「そうね!」
私は何も言っていませんのに、二人は慌てた様子で店から出ていってしまいます。
いきなりどうしたのかと思って、ジェリク様を見ると、私に向けられたことのない冷たい目で二人を睨みつけていました。
「ジェリク様」
「……どうした?」
私が声を掛けると、ジェリク様は別人のように優しい顔になって私を見つめます。
感情のコントロールが上手くできていない気もしますが、特別扱いしてもらえている気がして幸せです。
「連れてきてくださり、ありがとうございます」
「喜んでくれたのなら良かった。周りの声は気にするな。どうせ、近いうちに真実を知るんだ」
「気にしておりませんよ」
運ばれてきた紅茶を飲んで微笑むと、ジェリク様はホッとしたような顔になりました。
それから、好きなお茶の話をしていると時間が迫ってきていることに気づきました。
邪魔もありましたし、滞在時間はほんの少しでしたが、ジェリク様とデートできたみたいで嬉しい時間でした。
「ジェリク様、そろそろ向かいましょうか」
「そうだな。……その前に、父上たちに連絡を入れておきたいんだ。俺は一度外に出るから店の中で待っていてくれ」
「承知いたしました。では、メイク直しをしてきます」
「わかった」
ジェリク様は付き人に支払いを指示し、伝令と話をするために外へ出ていきました。
世話係のメイドに頼んでメイクを直してもらい、席に戻ろうとした時でした。
店の中にお姉様の友人たちが入ってきたのです。男女合わせて5人のグループで、たしか、伯爵家と子爵家しかいません。
真後ろにジェリク様が立っていますが、そのことには気づいていないようでした。
ジェリク様は存在感があるはずですのに、完全に気配を消しておられます。
うしろぉぉ!
と言ってあげたい気分ですが、ジェリク様に何らかの意図があるのでしょうし黙っておくことにします。
5人は前方にいた私に気がつくと、一瞬で笑顔を消し去りました。そして、その中の一人である、長い茶色の髪を一つにまとめた男性が目を吊り上げて話しかけてきます。
「ラーナからジェリク様を奪ったらしいな」
「ジェリク様がお姉様のものだったことはありませんので奪ってはいません」
「ということは、噂は嘘なのか? どうして嘘ばかりつくんだ?」
「お姉様が嘘をついているという可能性は考えないのですか?」
「ラーナは清らかな女性だ。嘘をつくような人じゃない! 奪っていないということは相手はジェリク様じゃないんだな? それなら今すぐみんなの前で、自分とジェリク様は何の関係もないと言って謝るんだ!」
お姉様の友人たちは私を見て嘲笑していますが、他のお客さんは哀れみの目で5人を見つめていました。赤色の髪の女性が一本前に出て話し始めます。
「ジェリク様が嘘つきを相手にするわけなわよね。ラーナ様がここに来たら、このことをお話して安心してもらいましょう」
「私はお姉様からジェリク様を奪ってはいませんが、結婚はしましたよ」
「ふざけないで! 今、ラーナ様は王太子殿下と一緒に国王陛下に謁見中よ。あなたのことを報告しているんでしょうね! 王族に嘘をついた罪で、あなたは国外追放よ!」
「いや、処刑に決まっている! 謁見を終えたあとのラーナと、ここで会う約束をしているんだ。ラーナをいじめた君がどうなるのか話を聞くのが楽しみだ」
私はサブル殿下に掴みかかられる予定のお姉様が、どうなるのか気になりますね。それにしても、お姉様は本当に不思議な人です。国王陛下が自分を助けてくれるという自信はどこから出てくるのでしょうか。
国王陛下とサブル殿下は似ているそうですし、まさか女性の好みも同じなのでしょうか。
何も言わずに目をパチパチさせていると、その態度に苛立ったのか、男性が「おい、聞いているのか!」と叫びました。
「聞いておりますが、詳しいことを調べずに言いたいことを言うと、あとで悔やむことになりますよ?」
「人の話を聞いていない奴が偉そうに言うな!」
「シアリンは話を聞いているが、くだらなくて相手にしていないだけだ」
「……ああ?」
背後から聞こえてきた声に、鬱陶しそうな顔をして振り返った男性は、ジェリク様に気がついて慌て始めます。
「ジェ、ジェリク様!?」
さて、彼らはどんな話をジェリク様にするつもりでしょうか。
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