【本編完結】家族に裏切られた私が嫁いだ相手は、姉が長年片思いしていた公爵令息でした

風見ゆうみ

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35  姉の思惑と妹の狙い ③

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 お姉様の話から時は少し遡ります。

 お姉様が捕まった次の日の朝、別々の部屋で眠っていたジェリク様が朝食を一緒にとろうと迎えに来てくれました。
 そして、ダイニングルームで食事をしながら教えてくれたのは、お姉様が両親や悪友たたちに連絡をとったことでした。
 悪友たちは王都に留まっていたため、すぐに連絡が取れたようです。

「お姉様の友人たちは、自分の家に戻らなかったのですね」
「家に報告するよりも、俺や君に許してもらったほうが良いと考えたようだな」
「まあ、自分のせいで家が没落してしまう可能性があるなんて、両親に言えない気持ちはわからないでもないですが、私が許すと思っていることが何だか嫌な気持ちになりますね」

 慈悲深い人なら、反省したと聞けば許すかもしれません。ですが、私はそうではないのですよね。

「俺はシアリンの望むようにしたいと思っているが、父上は許すつもりはないと言っていたし、結果は同じなんだがな」
「ジェリク様個人のお気持ちはどうなのです?」
「本音を言えば、君に不快な思いをさせた相手を許す気持ちなど微塵もない」
「それなのに、私が許すと言えば許すおつもりなのですか?」

 どちらを選んでも私のことを考えてくれてのことですから、ありがたいことは確かです。ただ、好奇心といいますか、気になって聞いてみると、ジェリク様は微笑んで答えます。

「俺はシアリンの意思を尊重したいだけだ。君が許すと言うのなら許そう。だが、君を侮辱したことは許さない。それについては俺の感情の問題だ」
「ということは、私が許しても怒りが少しおさまるだけ、といった感じでしょうか」
「そうだな」

 私のためではなく、自分のために動くという感じでしょうか。……となると、結局は許さないということですね。

「現在、お姉様はどこにいるのでしょう」
「王城から王城近くにある留置場に移された」
「では、お姉様に呼び出された悪友たちはそちらに向かいますよね? ここから近いのでしょうか」
「そう遠くない」

 運ばれてきた料理には手を付けず、ジェリク様は私を見つめて問いかけます。

「どうするつもりだ?」
「現場を押さえようかと思いまして」
「……義姉が君を誘惑するように誰かに頼むところをか?」
「はい。後からでも確認はとれるかと思いますが、その場で言質をとるのも良いかと」
「君の前でバカ正直に話すとはさすがに思えないが」
「さすがにそこまで馬鹿ではないと思います。というか思いたいです。ですから、扉の外にいても聞こえる場所なら良いなと思いますが、駄目ならその場で悪友たちに証言してもらうつもりです」

 留置場に行ったことがありませんので、どんな所なのかはわかりません。ですが、プライバシーがしっかり守られているとは思えないのです。

「どんな話をするかわからないから、面会の時には誰かが付いている。それでも話をするだろうか」
「その場合は部屋から出てもらい、わざと話をする機会を作ってあげてはどうでしょう」
「小声で話をしたら、何を話しているのかわからないんじゃないか?」
「先程もお伝えしましたが、お姉様と話す相手が、言われたことを話してくれれば良いだけです」
「……素直に話すだろうか」
「お姉様を守ろうとするのは、お母様くらいでしょう。お父様にはお金を渡すと約束すればいくらでも話しそうな気がします」

 自分で言っておきながら、あの人と血が繋がっているのかと思うと、何だか泣きたくなりました。

「テータ男爵令息は義姉に下心がありそうだった。彼はどうだろうな」
「愛を取るのか、家族や今の地位を守るのか確認してみようかと思います」

 この後、私が留置場へ向かおうとすると、ジェリク様も一緒に来てくださることになりました。そして、留置場に着き、ちょうど馬車から降りた所で鉢合わせたテータ男爵令息に私はこう伝えたのです。

「お姉様に何を言われたのか、真実を伝えてくれるのであれば、トラジット公爵家からの制裁を弱めてもらうように

 許すとは言っていませんが、テータ男爵は私の言葉に何度も頷き、必ず協力すると答えました。そして、お姉様が彼の待つ部屋の中に入った時に、私とジェリク様は、彼女たちがいる部屋の前に立ったのです。

 そして、しばらくすると部屋の中からテータ男爵令息の叫び声が聞こえてきました。

 お姉様はやはり、私を誘惑するように彼に話をしたようです。

「残念でしたね、お姉様」

 あなたはテータ男爵令息が自分を裏切るはずがないと思い込んでいたのでしょう?
 裏切ることはあっても、裏切られたことがなかったから、そんな心配はしていなかったのですよね。

 遅くなりましたが、お姉様が予知夢を見れる見れない談義を終わらせる時がやってきました。

 両親については改めて対応させてもらうことにして、まずはお姉様に自分がしたことの重大さを伝え、大人しく罰を受けてもらいましょうか。

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