【本編完結】家族に裏切られた私が嫁いだ相手は、姉が長年片思いしていた公爵令息でした

風見ゆうみ

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46  嘆く国王 ①

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 見た夢を忘れないうちに書いていき、思い出せるものがなくなったところで、私は小さく息を吐きました。
 今まで予知夢のことを、人を助けるためや悪事を未然に防ぐためのものだと思っていました。
 今回の両親の夢は何を暗示しているのでしょうか。
 神様、これは助けるべきということですか? 
 少しは痛い目に遭うべきだと思いますが、馬に蹴られたら命に関わりますものね。蹴られたシーンしか見ていませんが、きっと命を落としてしまうのでしょう。 
 家族への憎しみにかられて、見殺しにするかどうか確かめているのでしょうか。

 お姉様は私たちと話をしたあと、減刑を求めて、今までのことを正直に話したそうです。
 お姉様の証言でお母様も予知夢についての嘘に加担していたことがわかり、取り調べを受けることになりました。
 お母様はお姉様の力を本当に信じていたので、周りを騙すつもりはなかったと言っているとのことです。
 私のメモを盗み見ておいてよく言いますよね。
 さすがにお母様はお姉様を見捨てることはなく『昔は本当に予知夢が見れていた』『今はパニックになっているだけで、落ち着いたら見られるようになるはずだ』と庇う発言はしているようです。

 お父様については、我関せずといった様子らしく、今は財政状態が火の車になっている伯爵家をどう存続させるかのことしか頭にないようです。
 私が嫁入りして家を出ていき、お姉様の悪事がバレたことで、テイズ伯爵家の信用は地に落ちています。今までの金遣いの荒さもあり、今となってはどうしようもない状態で、事業の資金繰りに困っているようです。

 夢の中の両親は今までに見たことがない、地味な服装で、繁華街にいるようでした。金貸しにお金を借りに行ったのかもしれません。
 とりあえず、二人には予知夢を見たので外を出歩かないようにと伝える手紙を書きました。

 朝食の時間になってもお義父様は帰ってきておらず、お義母様と心配していたところ、王城から遣いの人がやって来ました。

 お義母様にはお義父様から、私には国王陛下からだと言って、手紙を渡されました。
 国王陛下といえども王妃陛下の暗殺を企んでいた可能性があるということで検閲が入っており、封が破られていたので、その場で確認することができました。

 読んでみますと『予知夢を見たら、内容を直接私に連絡をするように』とのことです。

 私がどんな夢を見たか、知りたくてたまらないようです。お義父様からの手紙には、国王陛下は王妃陛下の暗殺について否認しているとのことですから、まだ国王のままでいるようです。きっと、その座を譲る気もないのでしょう。

 会議が続き、お義父様の仕事もたまってきていたため、昨日の晩からジェリク様は仕事量を増やしています。昨日は遅くまで仕事をしておられたのか、ダイニングルームに現れたジェリク様は疲れた顔をしていました。

「あの、何かお手伝いできることがありましたら、遠慮なくおっしゃってくださいね!」

 機密情報などの関係上、守秘義務の契約を交わしていない義理の娘が手伝って良いものかわかりません。
 遠慮しつつジェリク様に言うと、笑顔を見せてくれました。

「その気持ちだけで十分だ。シアリンは予知夢のことがあるだろう? そちらを優先してくれたらいい」
「ありがとうございます。走り書きのメモを清書し終えたら、王城に届けに行こうと思っています。その後に改めて仕事の話をしても良いですか?」
「予知夢の内容を書いた紙はシアリンが直接届けないといけないのか?」

 ジェリク様は手紙が来たことを知らないので不思議そうです。

「予知夢を見たら、直接話をするようにと国王陛下からの命令なのです」

 そう答えて手紙を見せると、ジェリク様は眉根を寄せました。

「一人で行くつもりなのか?」
「ジェリク様はお忙しそうですし、一人で行ってきます。ですが、一人で会うつもりはありません。その前に王妃陛下にお会いしてから行きます」
「まだ会議中かもしれない」
「お義父様の手紙には休憩時間もあると書かれていたようですし、休憩時間を待つか、会議が終わるまで待とうと思います。それに、国王陛下も会議に出られているでしょうし」
「……そうか」

 ジェリク様は少し考えたあと、私の頬に優しく触れて続けます。

「少しだけ時間をくれないか。俺も一緒に行くよ。その前に途中の仕事を片付けてくる。朝食も先にとっておいてくれ」
「そ……、そんな! でしたら、待ちますので朝食は一緒に食べましょう! 食べないことも休憩しないことも体に良くないです!」
「……わかった」

 とりあえず、両親のことは頭の隅に追いやり、朝食と仕事を終わらせたジェリク様と共に、私は王城へと向かったのでした。

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