50 / 59
46 嘆く国王 ①
しおりを挟む
見た夢を忘れないうちに書いていき、思い出せるものがなくなったところで、私は小さく息を吐きました。
今まで予知夢のことを、人を助けるためや悪事を未然に防ぐためのものだと思っていました。
今回の両親の夢は何を暗示しているのでしょうか。
神様、これは助けるべきということですか?
少しは痛い目に遭うべきだと思いますが、馬に蹴られたら命に関わりますものね。蹴られたシーンしか見ていませんが、きっと命を落としてしまうのでしょう。
家族への憎しみにかられて、見殺しにするかどうか確かめているのでしょうか。
お姉様は私たちと話をしたあと、減刑を求めて、今までのことを正直に話したそうです。
お姉様の証言でお母様も予知夢についての嘘に加担していたことがわかり、取り調べを受けることになりました。
お母様はお姉様の力を本当に信じていたので、周りを騙すつもりはなかったと言っているとのことです。
私のメモを盗み見ておいてよく言いますよね。
さすがにお母様はお姉様を見捨てることはなく『昔は本当に予知夢が見れていた』『今はパニックになっているだけで、落ち着いたら見られるようになるはずだ』と庇う発言はしているようです。
お父様については、我関せずといった様子らしく、今は財政状態が火の車になっている伯爵家をどう存続させるかのことしか頭にないようです。
私が嫁入りして家を出ていき、お姉様の悪事がバレたことで、テイズ伯爵家の信用は地に落ちています。今までの金遣いの荒さもあり、今となってはどうしようもない状態で、事業の資金繰りに困っているようです。
夢の中の両親は今までに見たことがない、地味な服装で、繁華街にいるようでした。金貸しにお金を借りに行ったのかもしれません。
とりあえず、二人には予知夢を見たので外を出歩かないようにと伝える手紙を書きました。
朝食の時間になってもお義父様は帰ってきておらず、お義母様と心配していたところ、王城から遣いの人がやって来ました。
お義母様にはお義父様から、私には国王陛下からだと言って、手紙を渡されました。
国王陛下といえども王妃陛下の暗殺を企んでいた可能性があるということで検閲が入っており、封が破られていたので、その場で確認することができました。
読んでみますと『予知夢を見たら、内容を直接私に連絡をするように』とのことです。
私がどんな夢を見たか、知りたくてたまらないようです。お義父様からの手紙には、国王陛下は王妃陛下の暗殺について否認しているとのことですから、まだ国王のままでいるようです。きっと、その座を譲る気もないのでしょう。
会議が続き、お義父様の仕事もたまってきていたため、昨日の晩からジェリク様は仕事量を増やしています。昨日は遅くまで仕事をしておられたのか、ダイニングルームに現れたジェリク様は疲れた顔をしていました。
「あの、何かお手伝いできることがありましたら、遠慮なくおっしゃってくださいね!」
機密情報などの関係上、守秘義務の契約を交わしていない義理の娘が手伝って良いものかわかりません。
遠慮しつつジェリク様に言うと、笑顔を見せてくれました。
「その気持ちだけで十分だ。シアリンは予知夢のことがあるだろう? そちらを優先してくれたらいい」
「ありがとうございます。走り書きのメモを清書し終えたら、王城に届けに行こうと思っています。その後に改めて仕事の話をしても良いですか?」
「予知夢の内容を書いた紙はシアリンが直接届けないといけないのか?」
ジェリク様は手紙が来たことを知らないので不思議そうです。
「予知夢を見たら、直接話をするようにと国王陛下からの命令なのです」
そう答えて手紙を見せると、ジェリク様は眉根を寄せました。
「一人で行くつもりなのか?」
「ジェリク様はお忙しそうですし、一人で行ってきます。ですが、一人で会うつもりはありません。その前に王妃陛下にお会いしてから行きます」
「まだ会議中かもしれない」
「お義父様の手紙には休憩時間もあると書かれていたようですし、休憩時間を待つか、会議が終わるまで待とうと思います。それに、国王陛下も会議に出られているでしょうし」
「……そうか」
ジェリク様は少し考えたあと、私の頬に優しく触れて続けます。
「少しだけ時間をくれないか。俺も一緒に行くよ。その前に途中の仕事を片付けてくる。朝食も先にとっておいてくれ」
「そ……、そんな! でしたら、待ちますので朝食は一緒に食べましょう! 食べないことも休憩しないことも体に良くないです!」
「……わかった」
とりあえず、両親のことは頭の隅に追いやり、朝食と仕事を終わらせたジェリク様と共に、私は王城へと向かったのでした。
今まで予知夢のことを、人を助けるためや悪事を未然に防ぐためのものだと思っていました。
今回の両親の夢は何を暗示しているのでしょうか。
神様、これは助けるべきということですか?
少しは痛い目に遭うべきだと思いますが、馬に蹴られたら命に関わりますものね。蹴られたシーンしか見ていませんが、きっと命を落としてしまうのでしょう。
家族への憎しみにかられて、見殺しにするかどうか確かめているのでしょうか。
お姉様は私たちと話をしたあと、減刑を求めて、今までのことを正直に話したそうです。
お姉様の証言でお母様も予知夢についての嘘に加担していたことがわかり、取り調べを受けることになりました。
お母様はお姉様の力を本当に信じていたので、周りを騙すつもりはなかったと言っているとのことです。
私のメモを盗み見ておいてよく言いますよね。
さすがにお母様はお姉様を見捨てることはなく『昔は本当に予知夢が見れていた』『今はパニックになっているだけで、落ち着いたら見られるようになるはずだ』と庇う発言はしているようです。
お父様については、我関せずといった様子らしく、今は財政状態が火の車になっている伯爵家をどう存続させるかのことしか頭にないようです。
私が嫁入りして家を出ていき、お姉様の悪事がバレたことで、テイズ伯爵家の信用は地に落ちています。今までの金遣いの荒さもあり、今となってはどうしようもない状態で、事業の資金繰りに困っているようです。
夢の中の両親は今までに見たことがない、地味な服装で、繁華街にいるようでした。金貸しにお金を借りに行ったのかもしれません。
とりあえず、二人には予知夢を見たので外を出歩かないようにと伝える手紙を書きました。
朝食の時間になってもお義父様は帰ってきておらず、お義母様と心配していたところ、王城から遣いの人がやって来ました。
お義母様にはお義父様から、私には国王陛下からだと言って、手紙を渡されました。
国王陛下といえども王妃陛下の暗殺を企んでいた可能性があるということで検閲が入っており、封が破られていたので、その場で確認することができました。
読んでみますと『予知夢を見たら、内容を直接私に連絡をするように』とのことです。
私がどんな夢を見たか、知りたくてたまらないようです。お義父様からの手紙には、国王陛下は王妃陛下の暗殺について否認しているとのことですから、まだ国王のままでいるようです。きっと、その座を譲る気もないのでしょう。
会議が続き、お義父様の仕事もたまってきていたため、昨日の晩からジェリク様は仕事量を増やしています。昨日は遅くまで仕事をしておられたのか、ダイニングルームに現れたジェリク様は疲れた顔をしていました。
「あの、何かお手伝いできることがありましたら、遠慮なくおっしゃってくださいね!」
機密情報などの関係上、守秘義務の契約を交わしていない義理の娘が手伝って良いものかわかりません。
遠慮しつつジェリク様に言うと、笑顔を見せてくれました。
「その気持ちだけで十分だ。シアリンは予知夢のことがあるだろう? そちらを優先してくれたらいい」
「ありがとうございます。走り書きのメモを清書し終えたら、王城に届けに行こうと思っています。その後に改めて仕事の話をしても良いですか?」
「予知夢の内容を書いた紙はシアリンが直接届けないといけないのか?」
ジェリク様は手紙が来たことを知らないので不思議そうです。
「予知夢を見たら、直接話をするようにと国王陛下からの命令なのです」
そう答えて手紙を見せると、ジェリク様は眉根を寄せました。
「一人で行くつもりなのか?」
「ジェリク様はお忙しそうですし、一人で行ってきます。ですが、一人で会うつもりはありません。その前に王妃陛下にお会いしてから行きます」
「まだ会議中かもしれない」
「お義父様の手紙には休憩時間もあると書かれていたようですし、休憩時間を待つか、会議が終わるまで待とうと思います。それに、国王陛下も会議に出られているでしょうし」
「……そうか」
ジェリク様は少し考えたあと、私の頬に優しく触れて続けます。
「少しだけ時間をくれないか。俺も一緒に行くよ。その前に途中の仕事を片付けてくる。朝食も先にとっておいてくれ」
「そ……、そんな! でしたら、待ちますので朝食は一緒に食べましょう! 食べないことも休憩しないことも体に良くないです!」
「……わかった」
とりあえず、両親のことは頭の隅に追いやり、朝食と仕事を終わらせたジェリク様と共に、私は王城へと向かったのでした。
2,442
あなたにおすすめの小説
【完結】妹に全部奪われたので、公爵令息は私がもらってもいいですよね。
曽根原ツタ
恋愛
ルサレテには完璧な妹ペトロニラがいた。彼女は勉強ができて刺繍も上手。美しくて、優しい、皆からの人気者だった。
ある日、ルサレテが公爵令息と話しただけで彼女の嫉妬を買い、階段から突き落とされる。咄嗟にペトロニラの腕を掴んだため、ふたり一緒に転落した。
その後ペトロニラは、階段から突き落とそうとしたのはルサレテだと嘘をつき、婚約者と家族を奪い、意地悪な姉に仕立てた。
ルサレテは、妹に全てを奪われたが、妹が慕う公爵令息を味方にすることを決意して……?
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
婚約者に突き飛ばされて前世を思い出しました
天宮有
恋愛
伯爵令嬢のミレナは、双子の妹キサラより劣っていると思われていた。
婚約者のルドノスも同じ考えのようで、ミレナよりキサラと婚約したくなったらしい。
排除しようとルドノスが突き飛ばした時に、ミレナは前世の記憶を思い出し危機を回避した。
今までミレナが支えていたから、妹の方が優秀と思われている。
前世の記憶を思い出したミレナは、キサラのために何かすることはなかった。
『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』
放浪人
恋愛
「もう、余計なことは喋りません(処刑されたくないので!)」
王太子の婚約者エリスは、無実の罪を着せられた際、必死に弁解しようと叫び散らした結果「見苦しい」と断罪され、処刑されてしまった。 死に戻った彼女は悟る。「口は災いの元。二度目の人生は、何があっても口を閉ざして生き延びよう」と。
しかし、断罪の場で恐怖のあまり沈黙を貫いた結果、その姿は「弁解せず耐え忍ぶ高潔な令嬢」として称賛されてしまう。 さらに、人間嫌いの冷徹宰相クラウスに「私の静寂を理解する唯一の女性」と盛大な勘違いをされ、求婚されてしまい……!?
「君の沈黙は、愛の肯定だね?」(違います、怖くて固まっているだけです!) 「この国の危機を、一目で見抜くとは」(ただ臭かったから鼻を押さえただけです!)
怯えて黙っているだけの元悪役令嬢と、彼女の沈黙を「深遠な知性」と解釈して溺愛する最強宰相。 転生ヒロインの妨害も、隣国の陰謀も、全て「無言」で解決(?)していく、すれ違いロマンティック・コメディ! 最後はちゃんと言葉で愛を伝えて、最高のハッピーエンドを迎えます。
結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。
しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。
友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。
『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。
取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。
彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる