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50 家族ならば ①
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「昔のことは忘れたなぁ」
とぼけるお父様を一瞥したあと、お義父様やジェリク様が調べてくれた話をお義母様に話します。
「お父様は昔から賭け事が好きだったようですね」
「賭け事ですって? でも、ほとんど家にいたわよ? 賭博場には行く暇はなかったはずだわ」
「賭け事は違法になりますが、賭博場以外でもできます。お父様は現金ではなく、王妃陛下からお姉様にいただいた品物を賭け事に使っていたのです」
お金ではなく物を賭けていたそうで、お父様は負けたとしても、自分の懐は全く痛まなかったわけです。
「……そういえば、贈り物をもらって帰って来ていたわ。だけど、それは全部シアリンのものだと、この人は言っていたのよ!」
お母様は怒りで顔を真っ赤にして、お父様を指さしました。すると、慌てた顔で首や手を左右に振ります。
「そ、そんなことは知らない! いや、覚えていないんだ。最近は色々なことが多すぎて記憶が飛んでしまっているから諦めてくれ!」
「お父様、言い逃れしようとしても無駄ですよ。ジェリク様たちがお父様と一緒に賭け事をしていた人たちに証言をとってくれていますし、必要なら証言すると言ってくれているそうです」
お父様の賭け事仲間は、最初は自分たちの身の可愛さもあり、お義父様たちからの問いかけに「仕事をしていただけです」と答えていたそうです。最近になって、テイズ伯爵家の雲行きが怪しいと感じ始め、自分たちを見逃してもらうという条件で情報提供をしたわけです。
お母様は私とお父様を交互に見つめたあと、私に話しかけてきます。
「プレゼントの件はわかったわ! でも、それなら現金はどこへ行ったの!? 旅費の分まで物で返してもらったわけではないのでしょう?」
「そちらの使い道はお父様に聞いてください」
私とお母様に睨まれたお父様は、へらへら笑いながら話し始めます。
「だから言っているだろう。昔のことなんて忘れた! 私ももう年なんだ。仕方がないだろう」
「そうですか。では、隠居なさってはいかがでしょうか」
「するわけないだろう!」
「大して昔のことでもないですし、そう簡単に忘れられるようなことでもありません。それを覚えていないということは、仕事にも支障をきたしてもおかしくないと思いますので隠居するべきでは?」
わざとらしく首を傾げると、お父様は話題を変えます。
「跡継ぎも決まってないのに、隠居なんてできるか! ああ、こんなことをしている場合じゃない! ラーナを見に行かなくては!」
「喜んで見に行くものではありませんよ」
「うるさい! 行くぞ!」
「待ちなさい! 現金は何に使ったの!?」
お母様がヒステリックな声を上げた時、馬が驚いたのかいななきました。
暴れそうになる馬を騎士が手綱で制御すると、ジャフさんが馬に優しく声をかけて落ち着かせました。
「私たちは助かったのね」
落ち着いてきた馬を見つめながら、お母様は呟くと笑顔で私の両腕を掴みます。
「ありがとう、シアリン。この調子でラーナのことも助けてあげてちょうだい」
「一応お伝えしておきますが、私はお母様たちを助けたわけではありません」
「……何を言っているの?」
「私が助けたのは、お母様たちではなく馬や御者です」
「「は?」」
私の言葉を聞いたお父様とお母様は、声を揃えて聞き返してきたのでした。
━━━━━━━
お読みいただきありがとうございます!
本日は夜も更新いたします。
昨日から「そんなにも彼女が大事なら、私から捨てて差し上げましょう」という新作を投稿しております。
ご興味ありましたら、読んでいただけますと幸いです。
とぼけるお父様を一瞥したあと、お義父様やジェリク様が調べてくれた話をお義母様に話します。
「お父様は昔から賭け事が好きだったようですね」
「賭け事ですって? でも、ほとんど家にいたわよ? 賭博場には行く暇はなかったはずだわ」
「賭け事は違法になりますが、賭博場以外でもできます。お父様は現金ではなく、王妃陛下からお姉様にいただいた品物を賭け事に使っていたのです」
お金ではなく物を賭けていたそうで、お父様は負けたとしても、自分の懐は全く痛まなかったわけです。
「……そういえば、贈り物をもらって帰って来ていたわ。だけど、それは全部シアリンのものだと、この人は言っていたのよ!」
お母様は怒りで顔を真っ赤にして、お父様を指さしました。すると、慌てた顔で首や手を左右に振ります。
「そ、そんなことは知らない! いや、覚えていないんだ。最近は色々なことが多すぎて記憶が飛んでしまっているから諦めてくれ!」
「お父様、言い逃れしようとしても無駄ですよ。ジェリク様たちがお父様と一緒に賭け事をしていた人たちに証言をとってくれていますし、必要なら証言すると言ってくれているそうです」
お父様の賭け事仲間は、最初は自分たちの身の可愛さもあり、お義父様たちからの問いかけに「仕事をしていただけです」と答えていたそうです。最近になって、テイズ伯爵家の雲行きが怪しいと感じ始め、自分たちを見逃してもらうという条件で情報提供をしたわけです。
お母様は私とお父様を交互に見つめたあと、私に話しかけてきます。
「プレゼントの件はわかったわ! でも、それなら現金はどこへ行ったの!? 旅費の分まで物で返してもらったわけではないのでしょう?」
「そちらの使い道はお父様に聞いてください」
私とお母様に睨まれたお父様は、へらへら笑いながら話し始めます。
「だから言っているだろう。昔のことなんて忘れた! 私ももう年なんだ。仕方がないだろう」
「そうですか。では、隠居なさってはいかがでしょうか」
「するわけないだろう!」
「大して昔のことでもないですし、そう簡単に忘れられるようなことでもありません。それを覚えていないということは、仕事にも支障をきたしてもおかしくないと思いますので隠居するべきでは?」
わざとらしく首を傾げると、お父様は話題を変えます。
「跡継ぎも決まってないのに、隠居なんてできるか! ああ、こんなことをしている場合じゃない! ラーナを見に行かなくては!」
「喜んで見に行くものではありませんよ」
「うるさい! 行くぞ!」
「待ちなさい! 現金は何に使ったの!?」
お母様がヒステリックな声を上げた時、馬が驚いたのかいななきました。
暴れそうになる馬を騎士が手綱で制御すると、ジャフさんが馬に優しく声をかけて落ち着かせました。
「私たちは助かったのね」
落ち着いてきた馬を見つめながら、お母様は呟くと笑顔で私の両腕を掴みます。
「ありがとう、シアリン。この調子でラーナのことも助けてあげてちょうだい」
「一応お伝えしておきますが、私はお母様たちを助けたわけではありません」
「……何を言っているの?」
「私が助けたのは、お母様たちではなく馬や御者です」
「「は?」」
私の言葉を聞いたお父様とお母様は、声を揃えて聞き返してきたのでした。
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ご興味ありましたら、読んでいただけますと幸いです。
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