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41 罰が当たった人たち①
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ドーナモイ伯爵令息を警察に引き渡しはしなかったけれど、わたしたちに助けを求めてくることがないようにドーナモイ伯爵家に送り返した。
彼がまた家を追い出されて、わたしの所に来ても困るので、わたしのお父様からの抗議文付きで家に帰した。
だから、たとえまた家から追い出されたとしても、わたしたちの前に現れることはないはずだ。
そうなった時はドーナモイ伯爵家自体が困ることになる。
現在の伯爵や嫡男は常識のある人らしいので、なんの考えもなく、また放り出すというような馬鹿な真似はしないと思われる。
案内どころではなくなり、フィルと共にレイドック邸に帰ると伝書鳩が来ていたので、一緒に手紙を確認することにした。
ドーナモイ伯爵令息が言っていた通り、昨晩、オズックたちは何者かに襲われそうになっていた。
警戒していた護衛騎士たちにより事なきを得たけれど、男たちを捕まえた護衛騎士たちは全員、解雇されてしまったと書かれていた。
「オズック様の実力を確かめるために、お金を出して襲わせたまでは良いけれど、周りにいた護衛騎士たちが仕事をしたのね」
「仕事をしたのに、それで解雇されるなんておかしいだろ」
「それはわたしもそう思うわ。何のための護衛騎士かわからないじゃないの」
応接室のソファに並んで座り、メイドにお茶を淹れてもらってから話を続ける。
「ルララ辺境伯はそのことに何も疑問を感じなかったのかしら」
「娘至上主義だと思っていたけど、実際は無関心なのかもしれないな」
「事情を調べもせずに、娘の言う通りにしてるってこと?」
「じゃないかなと思う」
「そうよね。あなたとの婚約の破棄だって、普通は疑問に思うはずだもの」
娘が可愛くて言いなりになっていると思われていたけれど、実際はルララ辺境伯家の名に傷をつけることが嫌なだけなのかもしれない。
娘を可愛がっているように見せることで、良い父親として周りに見せようとしていて、ワガママな娘であっても、子育てを失敗したと思われたくないというところかしら。
「ドーナモイ伯爵家は下手なことをすると、ルララ辺境伯家とレイドック侯爵家から睨まれてしまうことになるから困ったもんだろうな」
「しかも、見捨てることもできないんですものね」
見捨てるために追い出したのでしょうけれど、お父様が抗議をしてくれるから、そういうわけにもいかなくなった。
「ドーナモイ伯爵家の件は、今後の動きを見ることにしようか。あと、結局、エルモード伯爵令息はルララ辺境伯令嬢を守ることができるという証明はできなかったんだな」
「そうね。ルララ辺境伯令嬢はオズック様が助けてくれると思っていたんじゃないかしら。だけど、フィルの時のように動いてはくれなかった。それは、護衛騎士が先に動いたからと思ったのかもね」
「今は、ルララ辺境伯令嬢には護衛騎士がいない状況になるのか」
「その場にいた護衛騎士たちが解雇されたようだから、全員が解雇されたわけではないと思うわ」
報告書を読んでいる限りでは、そうとしか思えないので答えた。
「また同じことをする可能性があるよな」
「でも、ドーナモイ伯爵令息が雇ったなんて嘘は、もう使えないはずよ」
「俺の時のように首謀者はわからないようにするんじゃないか?」
「残った護衛騎士たちは、いかにも怪しそうな集団が相手なら、オズック様たちを助けようとしないかもしれないわね」
「自分たちも解雇されてしまう可能性が高いからな」
フィルは頷いて口元に笑みを浮かべて話を続ける。
「オズックがどうするか楽しみだな」
エルモード伯爵令息ではなく、オズック呼びに変えたフィルの表情は、先程までの笑みは無くなり、冷たいものに変わっていた。
※
いつもお読みいただきありがとうございます!
終わりまでもう少しだけお付き合いくださいませ。
彼がまた家を追い出されて、わたしの所に来ても困るので、わたしのお父様からの抗議文付きで家に帰した。
だから、たとえまた家から追い出されたとしても、わたしたちの前に現れることはないはずだ。
そうなった時はドーナモイ伯爵家自体が困ることになる。
現在の伯爵や嫡男は常識のある人らしいので、なんの考えもなく、また放り出すというような馬鹿な真似はしないと思われる。
案内どころではなくなり、フィルと共にレイドック邸に帰ると伝書鳩が来ていたので、一緒に手紙を確認することにした。
ドーナモイ伯爵令息が言っていた通り、昨晩、オズックたちは何者かに襲われそうになっていた。
警戒していた護衛騎士たちにより事なきを得たけれど、男たちを捕まえた護衛騎士たちは全員、解雇されてしまったと書かれていた。
「オズック様の実力を確かめるために、お金を出して襲わせたまでは良いけれど、周りにいた護衛騎士たちが仕事をしたのね」
「仕事をしたのに、それで解雇されるなんておかしいだろ」
「それはわたしもそう思うわ。何のための護衛騎士かわからないじゃないの」
応接室のソファに並んで座り、メイドにお茶を淹れてもらってから話を続ける。
「ルララ辺境伯はそのことに何も疑問を感じなかったのかしら」
「娘至上主義だと思っていたけど、実際は無関心なのかもしれないな」
「事情を調べもせずに、娘の言う通りにしてるってこと?」
「じゃないかなと思う」
「そうよね。あなたとの婚約の破棄だって、普通は疑問に思うはずだもの」
娘が可愛くて言いなりになっていると思われていたけれど、実際はルララ辺境伯家の名に傷をつけることが嫌なだけなのかもしれない。
娘を可愛がっているように見せることで、良い父親として周りに見せようとしていて、ワガママな娘であっても、子育てを失敗したと思われたくないというところかしら。
「ドーナモイ伯爵家は下手なことをすると、ルララ辺境伯家とレイドック侯爵家から睨まれてしまうことになるから困ったもんだろうな」
「しかも、見捨てることもできないんですものね」
見捨てるために追い出したのでしょうけれど、お父様が抗議をしてくれるから、そういうわけにもいかなくなった。
「ドーナモイ伯爵家の件は、今後の動きを見ることにしようか。あと、結局、エルモード伯爵令息はルララ辺境伯令嬢を守ることができるという証明はできなかったんだな」
「そうね。ルララ辺境伯令嬢はオズック様が助けてくれると思っていたんじゃないかしら。だけど、フィルの時のように動いてはくれなかった。それは、護衛騎士が先に動いたからと思ったのかもね」
「今は、ルララ辺境伯令嬢には護衛騎士がいない状況になるのか」
「その場にいた護衛騎士たちが解雇されたようだから、全員が解雇されたわけではないと思うわ」
報告書を読んでいる限りでは、そうとしか思えないので答えた。
「また同じことをする可能性があるよな」
「でも、ドーナモイ伯爵令息が雇ったなんて嘘は、もう使えないはずよ」
「俺の時のように首謀者はわからないようにするんじゃないか?」
「残った護衛騎士たちは、いかにも怪しそうな集団が相手なら、オズック様たちを助けようとしないかもしれないわね」
「自分たちも解雇されてしまう可能性が高いからな」
フィルは頷いて口元に笑みを浮かべて話を続ける。
「オズックがどうするか楽しみだな」
エルモード伯爵令息ではなく、オズック呼びに変えたフィルの表情は、先程までの笑みは無くなり、冷たいものに変わっていた。
※
いつもお読みいただきありがとうございます!
終わりまでもう少しだけお付き合いくださいませ。
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