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3 爵位を継ぐのが目的? 他の人を探してくれない?
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「何を言っているんだ…。冗談は存在だけにしてくれよ。それとも昨日のショックで頭がおかしくなったのか?」
「冗談は存在だけにしてくれ? あなた、よく、そんな事を人に言えるわね? あなた、一々、人を傷付ける言葉を言わないと気がすまない人間なの? まあ、いいわ。頭がおかしくなったという事にしておきましょう。あ、昼食は部屋に持ってきてね」
私がミゲルの相手をする事にして、メアリーに声を掛けると、彼女は首を大きく縦に振って、部屋から出て行った。
メアリーを見送ってから、ミゲルに尋ねる。
「で、何の用ですか?」
「新婚なのに、妻が起きてこないのを心配しない夫だと怪しまれるだろう。僕の気を引きたいのかもしれないが逆効果だから止めてくれ」
「嫌ってもらえるのは嬉しいけど、私もあなたの顔は見たくないし、これからはちゃんと起きるようにするわ。昨日は色々とあって疲れたの。じゃあね」
扉を閉めると、外からミゲルの不満そうな声が聞こえてくる。
「おい! 何を考えているんだよ! 君のお父上が心配してるぞ!」
「ルキアは僕の顔を見ると気分が悪くなるそうです。って伝えておいてくれる?」
「ふざけるなよ!」
ミゲルは勝手に扉を開けて、中に入ってくると、ルキアの部屋の様子を眺める。
「ほとんど何もないじゃないか」
「人の部屋に無断で入ってきておいて、入って一言目が部屋の感想を言うなんて呆れるわ」
実際、ミゲルのいう通り、ルキアの部屋には無駄なものは一切置かれていないといった感じだった。
ルキアは元の世界の言葉でいえば、ミニマリストだったのかもしれない。
服に関しては別かもしれないけど。
それにしても、なぜ、私はこの状況をすんなり受け入れられているのか謎だわ。
小説や漫画の読みすぎ?
あまりやりすぎて、悪役令嬢にならない様に気を付けないと。
だって、この体は私のものじゃなくて、ルキアのものだもの。
そういえば、ルキアはどうなってしまったのかなあ…。
「さっきも言ったけれど、昨日とはまるで別人だな。そんな器用な事が出来るなら、最初からそうしておけば、いじめられるなんて恥ずかしい目に合わずにすんだのに…」
「……は?」
聞き捨てならない事を言われて、声を低くして聞き返すと、ミゲルは鼻で笑ってから言う。
「いじめられるなんて恥じゃないか。普通の人間はいじめられないんだから」
「そんな訳ないでしょう」
もし。
この国の法律に、不愉快な事を言われた場合は、その相手を殴っても良いというものがあったなら、迷わずに鈍器を使って殴っていたと思う。
けれど、ルキアの記憶を探っても、そんな事が許される世の中ではなさそう…。
まあ、当たり前か。
「自分を正当化するのはやめた方がいい」
「何も言ってないでしょ」
「いじめられるのはいじめられる側に問題が」
「それ以上言うと、殴るわよ」
睨みつけると、ミゲルは怯んだのか、口を閉じた。
「どうして、いじめを正当化するのかわからないのよ。もちろん、いじめられる方にも原因はあるかもしれないけど、いじめなんかしなきゃいい事だし、いじめられてるのは恥だなんておかしいでしょ。いじめる方がおかしいんだから、普通はそっちが恥じるべきなんじゃないの?」
「そ、それは、そうかもしれないが、原因があるからで…」
「じゃあ、私があなたをいじめれば、あなたも私と同じ立場になるんだけど? 同じ立場になっても、そんな事が言えるかしら?」
聞き返すと、ミゲルは私を睨んだけれど、それ以上は何も言わない。
顔を見るだけで気分が悪くなるので、彼から目を背けて言う。
「とりあえず、出ていって?」
「駄目だ。君のお父上が、僕達の関係を疑っている。君が、うまくやってくれないせいで…」
「何言ってるのよ。あなたが、下手くそなだけじゃない? 大体、疑われたくないなら、昨日は私を部屋に戻すべきじゃなかったわね。あなたが、ソファーか何かで寝れば良かっただけ」
「どうして僕が!」
「は? ここは私の実家よ。あなたなんて、離縁してしまえば終わりなんだけど? というか、今すぐ、離縁してくれない?」
「そんなの出来るわけないだろう! 僕は、爵位を継ぐのが目的なんだ!」
「なら、私じゃなくてもいいでしょう。他の人を探してくれない? あなた、性格は最悪だけど、見た目は良いから、きっと他に貰い手があるわよ」
はっきり言うと、ミゲルは顔を真っ赤にして、私を睨んだ。
「とにかく部屋から出ていって。お父様には後で私から話をしておくから」
「一体、何があったって言うんだ!? もしかして、君はルキアの影武者か何かか!?」
「影武者って…。というか、中身が違う事は確かだし、そっくりさんでもない事は確か。この身体はルキアのものよ。偽者じゃない」
「一体、どうなってるんだ? このままじゃ、僕の思う通りにならないじゃないか!」
「癇癪をおこすのは止めて。怒るのは勝手だけど、部屋から出て行ってよ。書類上は夫婦でも、あなたも私もお互いにそうだとは思ってない。だから、この部屋に、あなたが入っているのはおかしいのよ」
早く出ていけと言わんばかりに手を振ると、ミゲルは舌打ちしてから、私に言う。
「とにかく、夕食は一緒に取ろう。あと、君のお父上にはちゃんと話をして、誤解をといておいてくれよ?」
「誤解も何も、本当の事なんだけど」
「うるさい!」
ミゲルはそう叫ぶと、大股で歩いて部屋を出ていくと、乱暴に扉を閉めた。
私も若い頃は物に当たってたなぁ。
いや、扉を乱暴に閉めるのは今でもやってるか。
ただ、人がやってるのを見ると、駄目だと思うし、これからは私も気を付けないと。
そんな事を思っていると、メアリーではない、違うメイドが昼食をワゴンに乗せて持ってきてくれた。
彼女を見た瞬間、頭の中で警報が鳴った気がした。
持ってきてくれたメイドは、毒見役で、ルキアの事をあからさまに嫌っている態度を見せるメイドだったからだ。
私にもそんな態度を取るようなら、間違いなくクビだわ。
だって、毒見役がそんな態度だったら、命を預けられるわけがないじゃない。
「冗談は存在だけにしてくれ? あなた、よく、そんな事を人に言えるわね? あなた、一々、人を傷付ける言葉を言わないと気がすまない人間なの? まあ、いいわ。頭がおかしくなったという事にしておきましょう。あ、昼食は部屋に持ってきてね」
私がミゲルの相手をする事にして、メアリーに声を掛けると、彼女は首を大きく縦に振って、部屋から出て行った。
メアリーを見送ってから、ミゲルに尋ねる。
「で、何の用ですか?」
「新婚なのに、妻が起きてこないのを心配しない夫だと怪しまれるだろう。僕の気を引きたいのかもしれないが逆効果だから止めてくれ」
「嫌ってもらえるのは嬉しいけど、私もあなたの顔は見たくないし、これからはちゃんと起きるようにするわ。昨日は色々とあって疲れたの。じゃあね」
扉を閉めると、外からミゲルの不満そうな声が聞こえてくる。
「おい! 何を考えているんだよ! 君のお父上が心配してるぞ!」
「ルキアは僕の顔を見ると気分が悪くなるそうです。って伝えておいてくれる?」
「ふざけるなよ!」
ミゲルは勝手に扉を開けて、中に入ってくると、ルキアの部屋の様子を眺める。
「ほとんど何もないじゃないか」
「人の部屋に無断で入ってきておいて、入って一言目が部屋の感想を言うなんて呆れるわ」
実際、ミゲルのいう通り、ルキアの部屋には無駄なものは一切置かれていないといった感じだった。
ルキアは元の世界の言葉でいえば、ミニマリストだったのかもしれない。
服に関しては別かもしれないけど。
それにしても、なぜ、私はこの状況をすんなり受け入れられているのか謎だわ。
小説や漫画の読みすぎ?
あまりやりすぎて、悪役令嬢にならない様に気を付けないと。
だって、この体は私のものじゃなくて、ルキアのものだもの。
そういえば、ルキアはどうなってしまったのかなあ…。
「さっきも言ったけれど、昨日とはまるで別人だな。そんな器用な事が出来るなら、最初からそうしておけば、いじめられるなんて恥ずかしい目に合わずにすんだのに…」
「……は?」
聞き捨てならない事を言われて、声を低くして聞き返すと、ミゲルは鼻で笑ってから言う。
「いじめられるなんて恥じゃないか。普通の人間はいじめられないんだから」
「そんな訳ないでしょう」
もし。
この国の法律に、不愉快な事を言われた場合は、その相手を殴っても良いというものがあったなら、迷わずに鈍器を使って殴っていたと思う。
けれど、ルキアの記憶を探っても、そんな事が許される世の中ではなさそう…。
まあ、当たり前か。
「自分を正当化するのはやめた方がいい」
「何も言ってないでしょ」
「いじめられるのはいじめられる側に問題が」
「それ以上言うと、殴るわよ」
睨みつけると、ミゲルは怯んだのか、口を閉じた。
「どうして、いじめを正当化するのかわからないのよ。もちろん、いじめられる方にも原因はあるかもしれないけど、いじめなんかしなきゃいい事だし、いじめられてるのは恥だなんておかしいでしょ。いじめる方がおかしいんだから、普通はそっちが恥じるべきなんじゃないの?」
「そ、それは、そうかもしれないが、原因があるからで…」
「じゃあ、私があなたをいじめれば、あなたも私と同じ立場になるんだけど? 同じ立場になっても、そんな事が言えるかしら?」
聞き返すと、ミゲルは私を睨んだけれど、それ以上は何も言わない。
顔を見るだけで気分が悪くなるので、彼から目を背けて言う。
「とりあえず、出ていって?」
「駄目だ。君のお父上が、僕達の関係を疑っている。君が、うまくやってくれないせいで…」
「何言ってるのよ。あなたが、下手くそなだけじゃない? 大体、疑われたくないなら、昨日は私を部屋に戻すべきじゃなかったわね。あなたが、ソファーか何かで寝れば良かっただけ」
「どうして僕が!」
「は? ここは私の実家よ。あなたなんて、離縁してしまえば終わりなんだけど? というか、今すぐ、離縁してくれない?」
「そんなの出来るわけないだろう! 僕は、爵位を継ぐのが目的なんだ!」
「なら、私じゃなくてもいいでしょう。他の人を探してくれない? あなた、性格は最悪だけど、見た目は良いから、きっと他に貰い手があるわよ」
はっきり言うと、ミゲルは顔を真っ赤にして、私を睨んだ。
「とにかく部屋から出ていって。お父様には後で私から話をしておくから」
「一体、何があったって言うんだ!? もしかして、君はルキアの影武者か何かか!?」
「影武者って…。というか、中身が違う事は確かだし、そっくりさんでもない事は確か。この身体はルキアのものよ。偽者じゃない」
「一体、どうなってるんだ? このままじゃ、僕の思う通りにならないじゃないか!」
「癇癪をおこすのは止めて。怒るのは勝手だけど、部屋から出て行ってよ。書類上は夫婦でも、あなたも私もお互いにそうだとは思ってない。だから、この部屋に、あなたが入っているのはおかしいのよ」
早く出ていけと言わんばかりに手を振ると、ミゲルは舌打ちしてから、私に言う。
「とにかく、夕食は一緒に取ろう。あと、君のお父上にはちゃんと話をして、誤解をといておいてくれよ?」
「誤解も何も、本当の事なんだけど」
「うるさい!」
ミゲルはそう叫ぶと、大股で歩いて部屋を出ていくと、乱暴に扉を閉めた。
私も若い頃は物に当たってたなぁ。
いや、扉を乱暴に閉めるのは今でもやってるか。
ただ、人がやってるのを見ると、駄目だと思うし、これからは私も気を付けないと。
そんな事を思っていると、メアリーではない、違うメイドが昼食をワゴンに乗せて持ってきてくれた。
彼女を見た瞬間、頭の中で警報が鳴った気がした。
持ってきてくれたメイドは、毒見役で、ルキアの事をあからさまに嫌っている態度を見せるメイドだったからだ。
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