【完結】あなた方が後悔しても私にはどうでもいいことです

風見ゆうみ

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17 今度こそ縁を断ち切る

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 リックと話し合ったことを両陛下に伝えたところ、まずは私の実力を知りたいと言われた。
 王太子妃の座をかけるようなものだから、負ける要素があっては困る。そのことは納得できるので、王妃陛下からの審査を受けることを承諾した。
 結果、及第点だったため、公平のないように私に行った審査の内容は元姉に伝えられた。

 話を聞いた元姉は私との勝負を喜んで受けた。
 向こうは常識がなくとも貴族の娘である。
 それに幼い頃に貴族としての教育を私が受けていないと考えた家族は、これで色んなことが挽回できると考えたようだ。
 私が負けた時には、ジヤ陛下と会うようにと条件まで付けてきた。
 リックが王太子だったことで、私の立てていた未来のプランは崩れてしまったが、リックたちと出会わなければ、こんな生活を送れてはいなかった。

 このことを忘れずに感謝して生きなくちゃいけないわ。

 元姉がクプンマ王国の王城を訪ねてくる当日の朝、私はそんなことを考えながら、仕事場に行く準備をした。

 元姉が来るのを拒んでいるかのように、今日は天気が悪く、1時間ほど前から雨と風が急に強くなった。

 出かけるのは憂鬱だが、これを理由に仕事を投げ出すわけにはいかない。雷が鳴っていないだけでもマシだ。

 大きめの傘をさしていても、ほとんど意味がないくらいにびしょ濡れの状態で王城の前にたどり着いた。
 すると、入り口に見覚えのある馬車が停まっていることに気がついて足を止める。
 チャルブッレ辺境伯家の紋が描かれた馬車で、元姉が訪ねてきたのだとわかり、私は裏口へと急いだ。
 ロングブーツを履いていたので、素足はそこまで濡れなかったが、茶色のロングスカートの裾はびしょ濡れだ。
 髪からも雫が落ちてくるし、風のせいで髪はかなり乱れている。急いで調理場近くにある更衣室に駆け込むと、私と同じようにびしょ濡れになったメイドたちがいた。

「わがままなお嬢様がいらっしゃるんでしょう? 私は担当なの。本当に憂鬱だわ」

 朝の挨拶後、チャルブッレ家の馬車が停まっていたことを話すと、メイド服に着替え終えた一人の女性が大きなため息を吐いた。
 
 元姉の評判はワウキロヤ様との件で、クルリン王国内部でも酷いものとなった。クプンマ王国でも妹から婚約者を奪い取っただけでなく、妹をいじめていた姉として、悪い印象でしかない。
 メイドたちは私が元家族だったことなど知らない。だから、噂を楽しそうに話す。

「フレデリック殿下が思いを寄せている女性は今日来る方の妹だという噂よ」
「婚約破棄をした方よね。今はどうされているのかしら」

 他国のことだからか、メイドたちは私の過去の名前を知らない。同じ名前でリックの紹介だとわかれば、その相手がすぐに私だとわかるでしょう。 
 いや、その前に勝負をするのだから、その時にバレてしまうわね。

 それにしても、リックは本当に私のことが好きなのかしら。

 これ以上聞くのも申し訳ないと思った私は、仕事用のロングスカートに素早く履き替え、急いで髪の毛を整えた。
 メイドたちより先に更衣室を出ると、イセンさんが困った顔をして近づいてきた。

「リファーラ様、おはようございます。1時間後、第一応接室に来るようにと王妃陛下からの伝言です。料理長にはあなたが抜ける旨は話しておきました」
「ありがとうございます。1時間後ですね。承知いたしました」

 この日が来るまでに、私もやれるだけのことはやった。
 王妃陛下がどんな課題を出してくるかはわからない。だけど、人の命を軽んじるような人には絶対に負けないと決めている。

 今度こそ縁を断ち切る。

 そう心に誓い、まずは仕事場に向かった。

 
 
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