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5 訪ねてきた友人
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部屋に監禁されて二日目の朝、水を持ってくるために部屋に入ることを許されたメイドが、エプロンのポケットの中から布に包まれたパンを差し出してきた。
「残り物で申し訳ございませんが、よろしければどうぞ」
「ありがとう。気持ちは嬉しいけど、こんなことをしたことがロン様たちにわかったら、あなたに処分が下るかもしれないわ」
「私のほうは気になさらないでください。何があったのかはわかりませんが、丸一日以上、水しか飲ませてくれないだなんて、旦那様や大奥様はなんて酷い仕打ちをされるのでしょうか」
「水を飲ませてくれているだけマシなのかもしれないわ」
お腹は減ったけれど、そのために謝ったりするのは嫌だ。
ロン様が考え直さない限りというか、ミシェルと関係を持った以上、関係を続けるつもりはない。
私に魅力がないから子作りできないというのではなく、私を傷つけたくないからできないだなんて意味がわからない。
だから、ここで音を上げるわけにはいかない。
「多くの使用人は奥様のことを心配しております。何かありましたら遠慮なくお申し付けください」
「ありがとう」
メイドも長居はできないので、簡単な会話をしたあとに急いで部屋を出て行った。
もらったパンは冷えて固くなっていたけれど、空腹の状態だからか、とても美味しく感じられた。
ロン様もお義母様も私が離婚を諦めるまでは部屋から出してくれるつもりはないらしい。
どうして、お義母様は離婚を嫌がるのかわからない。
世間体が良くないからかしら。
私の部屋は三階にあるため、窓から抜け出すには厳しい状況だった。
近くに木々はないし、カーテンを結んで下りることも、途中でカーテンが千切れてしまう可能性があるから怖くてできない。
失敗すれば、もっと悪い状況に陥るだけだ。
次の手を考えていた時、邸の外が騒がしいことに気が付いた。
ちょうど門が見える位置に部屋があるので、窓を開けて見てみると、馬車が一台停まっているのが見えた。
目を細めると、馬車には施されている家紋が何とか見えた。
馬車の側面にはエイト公爵家の家紋があった。
ミオ様はエイト公爵家の令嬢だ。
私からの手紙を読んで、様子を見に来てくれたのかもしれない。
窓に張り付くようにして馬車を見ていると、門が開き、馬車がゆっくりと中に入ってきた。
それと同時に足音が近づいてくることに気が付いた。
慌てて窓から離れると、お義母様の金切り声が聞こえてきた。
「さっさとこの荷物をどこかへやりなさい! エイト公爵家のミオ様がシェリルさんに会いに来ているのよ!」
「承知しました!」
自分が荷物を置かせておいて、よく言うわ。
命令された騎士が部屋の扉の前に置かれていた荷物を動かしてくれたせいで、しばらくして扉が開いた。
中に入ってきたお義母様は、私の鼻先に指を突きつけて言う。
「いいですね、シェリルさん。エイト公爵令嬢があなたに会いたいということで部屋から出しますが、閉じ込められていたなんて馬鹿なことを言わないでくださいね。あなたが悪いことをしたから、自主的に部屋に閉じこもったと言うのですよ!」
「……わかりました」
閉じ込められていたことは言って良いのね。
そう思ったけれど、聞く必要もないので口には出さない。
お義母様は言いたいことだけ言うと、ミオ様を迎えにでも行くのか、踵を返して部屋を出て行ったのだった。
私は簡単に身だしなみを整えると、ミオ様が通されている応接室に向かおうとした。
応接室に辿り着く手前で、目の前にロン様が現れてお願いしてくる。
「頼むよ、シェリル。僕から離れて行かないでくれ」
「その原因を作ったのはあなたです」
「誘ってきたのはミシェルなんだ!」
「勝手に決断したのもあなたです。相談してくれていたら、また違うことになっていたでしょう」
止めていた足を動かし、ロン様の横を通り過ぎた時、彼は膝から崩れ落ちて泣き始めた。
「残り物で申し訳ございませんが、よろしければどうぞ」
「ありがとう。気持ちは嬉しいけど、こんなことをしたことがロン様たちにわかったら、あなたに処分が下るかもしれないわ」
「私のほうは気になさらないでください。何があったのかはわかりませんが、丸一日以上、水しか飲ませてくれないだなんて、旦那様や大奥様はなんて酷い仕打ちをされるのでしょうか」
「水を飲ませてくれているだけマシなのかもしれないわ」
お腹は減ったけれど、そのために謝ったりするのは嫌だ。
ロン様が考え直さない限りというか、ミシェルと関係を持った以上、関係を続けるつもりはない。
私に魅力がないから子作りできないというのではなく、私を傷つけたくないからできないだなんて意味がわからない。
だから、ここで音を上げるわけにはいかない。
「多くの使用人は奥様のことを心配しております。何かありましたら遠慮なくお申し付けください」
「ありがとう」
メイドも長居はできないので、簡単な会話をしたあとに急いで部屋を出て行った。
もらったパンは冷えて固くなっていたけれど、空腹の状態だからか、とても美味しく感じられた。
ロン様もお義母様も私が離婚を諦めるまでは部屋から出してくれるつもりはないらしい。
どうして、お義母様は離婚を嫌がるのかわからない。
世間体が良くないからかしら。
私の部屋は三階にあるため、窓から抜け出すには厳しい状況だった。
近くに木々はないし、カーテンを結んで下りることも、途中でカーテンが千切れてしまう可能性があるから怖くてできない。
失敗すれば、もっと悪い状況に陥るだけだ。
次の手を考えていた時、邸の外が騒がしいことに気が付いた。
ちょうど門が見える位置に部屋があるので、窓を開けて見てみると、馬車が一台停まっているのが見えた。
目を細めると、馬車には施されている家紋が何とか見えた。
馬車の側面にはエイト公爵家の家紋があった。
ミオ様はエイト公爵家の令嬢だ。
私からの手紙を読んで、様子を見に来てくれたのかもしれない。
窓に張り付くようにして馬車を見ていると、門が開き、馬車がゆっくりと中に入ってきた。
それと同時に足音が近づいてくることに気が付いた。
慌てて窓から離れると、お義母様の金切り声が聞こえてきた。
「さっさとこの荷物をどこかへやりなさい! エイト公爵家のミオ様がシェリルさんに会いに来ているのよ!」
「承知しました!」
自分が荷物を置かせておいて、よく言うわ。
命令された騎士が部屋の扉の前に置かれていた荷物を動かしてくれたせいで、しばらくして扉が開いた。
中に入ってきたお義母様は、私の鼻先に指を突きつけて言う。
「いいですね、シェリルさん。エイト公爵令嬢があなたに会いたいということで部屋から出しますが、閉じ込められていたなんて馬鹿なことを言わないでくださいね。あなたが悪いことをしたから、自主的に部屋に閉じこもったと言うのですよ!」
「……わかりました」
閉じ込められていたことは言って良いのね。
そう思ったけれど、聞く必要もないので口には出さない。
お義母様は言いたいことだけ言うと、ミオ様を迎えにでも行くのか、踵を返して部屋を出て行ったのだった。
私は簡単に身だしなみを整えると、ミオ様が通されている応接室に向かおうとした。
応接室に辿り着く手前で、目の前にロン様が現れてお願いしてくる。
「頼むよ、シェリル。僕から離れて行かないでくれ」
「その原因を作ったのはあなたです」
「誘ってきたのはミシェルなんだ!」
「勝手に決断したのもあなたです。相談してくれていたら、また違うことになっていたでしょう」
止めていた足を動かし、ロン様の横を通り過ぎた時、彼は膝から崩れ落ちて泣き始めた。
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